• 利用案内
  • サービス概要
  • 東京本館
  • 関西館
  • 国際子ども図書館
  • アクセス
  • 複写サービス
  • 登録利用者制度
  • オンラインサービス
  • オンラインサービス一覧
  • 国会関連情報
  • 蔵書検索
  • 電子図書館
  • 調べ方案内
  • 電子展示会

書誌データの基本方針と書誌調整:What's 書誌調整?

第5回 主題アクセス(下)

What's 書誌調整?

 今回は「分類」についての話から始めよう。
 こんな経験はないだろうか。公共図書館の開架書架には、同じような内容の本が固まって並んでいて、さらに、その同じ固まりの本には、背などに貼付されているラベルに同一の数字や記号が記入されている。このような仕組みを「書架分類」といい、ラベルに記入されている数字や記号が「分類記号」である。「書架分類」を施すことにより、書架に並んでいる本へ直接的に「主題アクセス」できるわけだ。しかし、「書架分類」には限界がある。複数の主題を含む資料には対応できない、閉架書庫内の資料や貸出中の資料は検索できない、など。この限界をカヴァーするために、資料のいわば「身代わり」である目録からも「分類」によって検索できるような仕組みを施す。これを「書誌分類」という。
 さて、前回示した例を再び見てみよう。書誌分類は『日本十進分類法』(NDC)による。

<例1>
書名:牛海綿状脳症(BSE)講演会集録
件名:牛海綿状脳症
分類:649.5
<例2>
書名:「狂牛病」何が問題か!
件名:牛肉;食品衛生;牛海綿状脳症
分類:648.21

 実は、牛海綿状脳症(BSE)そのものを示す分類記号は、NDCには存在しない。例1の「649.5」は、「獣医診断学・内科学・伝染病学」を示す。よって、BSEにはこの分類が該当すると解釈できる。逆にいえば、「649.5」という記号によって、BSE以外の家畜伝染病も検索される。例2の「648.21」は「食肉衛生」を表す。つまり、この本は、BSEという疾患そのものが主題というより、BSEについて、その影響による食肉の衛生という観点から扱ったものだといえよう。また、「648.21」という記号で検索すれば、食肉衛生を主題とする資料を網羅できる。
 大まかに比較するならば、「分類」は、主題を学問分野や観点によりグルーピングするのに有益であり、「件名」は、主題を観点にとらわれずに特定的に、いわばピン・ポイントで検索するのに向いている。それぞれの利点をふまえ、使い分けることで、また、組み合わせて用いることで、より効果的な「主題アクセス」が可能になるはずだ。
 そして近年、新しい情報環境下でのさらに効率的な「主題アクセス」を目指して、様々な標準化、高度化の動きがある。近年の動向を、これもキャッチフレーズ風に表現するなら、「ネットワークと多言語」とでもなるであろうか。カード目録が主流であった時代の仕組みを、ネットワークが発達した現代に適合したものへ、いかに変えていくか。「主題アクセス」という、広い意味で「ことば(概念)」を扱う仕組みは、各言語文化の独自性を保持しつつ、いかに「ことば」の壁を越えられるか。例えば、アメリカで誕生し現在では欧米を中心に世界で広く使われている「デューイ十進分類法」(DDC)は、ネットワーク環境下での最初の改訂(22版)を行った。また、ヨーロッパでは、各国の言語による「件名」を横断的に検索可能にする試みがなされている。

(『国立国会図書館月報』2003.12 No.513)

このページの先頭へ