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書誌データの基本方針と書誌調整:What's 書誌調整?

第3回 典拠ってなんだ

What's 書誌調整?

今回は検索の手がかりとなる言葉である「標目」の中でも「著者標目」と「著者名典拠」の関係について考えてみよう。
森鴎外の著作を探すような場合、「森鴎外」を著者として検索すれば、資料の一覧が表示される。インターネットによる全文検索が一般的な昨今、本に表示してあるとおりの著者名から引ければ、わざわざ著者標目から探す必要はないのでは?と思うかもしれない。では、同じ名の人が大勢いたらどうだろう?同じ人が幾つものペンネームを使っていたら?外国人のカナ書きの方法は一通りか?イニシャルはいつもイニシャルだろうか?本に表示されている著者の形で検索できるだけでいいといえるだろうか?
仮に3人の「国会太郎」がそれぞれ本を著していたとする。国会太郎で検索し、3人の著作があわせて30冊表示された場合、自分が探したい著者の作品がどれなのか、30冊について確認しなくてはならない。あるいは30冊すべてが探していた本だと勘違いしてしまうかもしれない。そんなことがないように、著者標目を個別化している。個別化の方法として、一般的には生没年で区別することが多い。3人の国会太郎を生年で区別した場合

国会,太郎(1900-1980)

国会,太郎(1920-1992)

国会,太郎(1950-)

のような形になり、この個別の形で検索すれば、30冊の本が何冊ずつかに区別される。

典拠ファイルは標目をつけるときの「拠りどころ」とするものである。先に個別化の例であげた生没年のほかに、本名や別名、専門分野などを記録してある。例えば、本名での著作も有る森鴎外の場合、森林太郎は参照形になっている。

森,鴎外(1862-1922)
←本名:森,林太郎
作家,陸軍軍医,文博,医博

これは本には著者として森林太郎と書いてあっても、著者標目では森鴎外を使用するということだ。もちろん本に表示された形からも探せなければならない。

また、同一の人が著作によって名前を使い分けているような場合は、相互に参照をしている。この場合は両方の名前で検索しないと全著作を集めることはできないが、一つのペンネームしか知らなかったとしても、典拠ファイルのおかげで別の名前で探すという手段が得られるわけである。
翻訳書の場合、本には外国人の著者名がカナで書かれている。その表示は「ゲーテ」だったり「ゲエテ」や「ギヨオテ」だったりする。著者標目がなかったら、想像できる限りのパターンで探さなければならなくなる。本にどのように書いてあっても、典拠作業により著者標目の形を統一し、他の形は参照形に入れておけばそんな必要はなくなる。
この原理はカード時代と変わらないが,コンピュータは典拠作業の世界にも大きな変化をもたらした。一度刊行・頒布されてしまった冊子目録は修正できないし、カード目録を1枚ずつ訂正する手間は膨大である。典拠ファイルと書誌ファイルが結び付けられたOPACでは、典拠ファイルを訂正しさえすれば書誌ファイルは1件ずつ訂正しなくてすむ。これはデータを維持する上で大きな利点である。また、検索する側にとっても典拠ファイルに参照形として入っていれば一度に探せるわけで、森林太郎を見てから改めて森鴎外を引きなおすような必要はなくなったのである。
今回取り上げた著者標目のほかに標目には主題標目もある。次回はその主題標目について考えてみたい。

(『国立国会図書館月報』2003.9 No.510)

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