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書誌データの基本方針と書誌調整:What's 書誌調整?

第1回 書誌調整とは?

What's 書誌調整?

 国立国会図書館は昨年4月の機構再編により、新たに書誌調整課を設置した。「書誌調整」とはBibliographicCon-trolの訳語で、一般には「書誌コントロール」などとも訳されている。今や書誌調整は当館の書誌データ作成部門において最重要とも言うべき課題なのだが、この言葉、そもそも何を指す語なのかが分かりにくい、との声を耳にすることも多い。そこでこのコラムでは、これから12回にわたり、書誌調整をめぐる数々の話題を連載で取り上げていくこととしたい。
  書誌調整についてはいろいろな説明の仕方があるだろうが、ここではひとまず、「目録の作成と提供についての仕組みづくり」と定義してみよう。利用者が図書館資料に、より到達しやすくするために、どんな目録を作成・提供すべきか。その仕組みをつくりあげるのが書誌調整なのだ、と言えば、きっかけのイメージはつかめるだろうか。
  もう少し具体的に考えてみよう。ここに一冊の本、メルヴィルの「白鯨」がある。さて、ある図書館で、この本についてタイトルと著者名しか記録しなかったとすると、果たしてそれは適切だろうか。利用者は首を傾げるのではないだろうか。いつごろ世に出た本なのだろう。翻訳者は誰なのだろう。阿部知二、坂下昇、あるいは田中西二郎だろうか。もし田中西二郎訳だとして、それは新潮文庫版だろうか。それとも三笠書房の「世界文学選書」の一冊だろうか。
  一図書館で目録を作成する時、記録すべきことがらが欠けていたり、目録作成者によって記録の仕方がまちまちだったりすると、目録に載っているどの「白鯨」が利用者の探し求める「白鯨」なのか、見分けがつかなくなってしまう。そんな事態を避け、首尾一貫した目録を作成するためには、記録すべき事項や順序をきちんと定め、作業基準として統一し、その運用ルールを整備していく必要がある。統一したルールが必要という点では、分類の方法 その図書館としてどの分類表を採用し、どう適用するか についても同じことが言える。また、著者名・件名のかたちや読みをコントロールする(田中西二郎はタナカセイジロウと読むのか、それともニシジロウか)ために、「典拠」と呼ばれる辞書を維持管理する必要も出てくる。
  ところで、こうした努力を支える仕組みは、単に一つの図書館の内部にとどまらない。それぞれの目録が広く流通し、各図書館で他館の目録を同時に検索できるようになっても、ある図書館の「白鯨」と別の図書館の「白鯨」とが、同じ本なのか違う本なのか見分けがつかないなら、元も子もない。どの図書館でどの資料を所蔵しているかを、利用者が把握できるようにするためには、地域ごとの、あるいは国内の全図書館が、共通の方法で目録を作る仕組みも必要になる。目録作成の方法や枠組みの共通化、すなわち「標準化」は、書誌調整における重要なキーワードなのである。
  さらに言うなら、国内の目録の標準はまた、他の国々の基準とも合致したものでなければならない。世界に目を向ければ、国際的な書誌データの標準化と流通にむけた多様な仕組みを構築するための努力が重ねられている。
  次回以降は、こうした書誌調整のさまざまな側面をお伝えする予定である。

(『国立国会図書館月報』2003.5 No.506)

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