過去の読みの基準類
読みの分かち書き基準(1992年8月〜2008年3月)
目的
- この基準は、国立国会図書館が作成するJAPAN/MARC、特に和図書データベースの各種標目(書名、シリーズ名、団体著者名等)のカナ・ローマ字表記に用いる分かち書きを対象とする。
- 日本語の分かち書きについては、従来からさまざまな方法が行われているが、この基準は、JAPAN/MARCの検索語の付与・選定を行うさいの判断のめやすとするものであり、JAPAN/MARCの安定的かつ効率的な検索を確保することを目的とする。
- そのため、日本語の分かち書きでしばしば行われている文節単位の分かち書きと品詞単位の分かち書きは採用せず、検索語となるべき有意の単位の語を、分かち書きの単位の語として選定する。
総則
- 分かち書きの主たる単位となる語は、自立して意味を持つ語とし、検索語となるべき語については、最小単位の意味のまとまりをもって、分かち書きを行う。
- 自立語のうち、名詞、接続詞、感動詞は分かち書きを行う。
- 名詞のうち、複合名詞は意味のまとまりの単位で分かち書きを行う。
- 自立語のうち、連体詞、副詞は原則として分かち書きを行うが、他の品詞と接続して慣用されることが多い語は、他の品詞と接続した形で分かち書きを行う。
- 自立語のうち、活用のある動詞、形容詞、形容動詞は、付属語とともに、分かち書きを行う。
- 非自立語のうち、名詞に続く助詞、助動詞は分かち書きを行う。
- 非自立語の複合形は、複合形の単位で分かち書きを行う。
凡例
- この分かち書き基準では品詞単位での分かち書きは採用しないが、基準は便宜上品詞順に構成し、解説する。
- 分かち書きを行うべき語は、「分割する」「分離する」「複合形をもって1語とする」の表現で規定する。
- JAPAN/MARCでは分かち書きはカナ、ローマ字の読みのサブフィールドでのみ行われているが、この基準では主として漢字で実例を示し、分かち書きを行う箇所に△印を記す。
- 基準間の参照関係や優先順位は、可能な範囲で記す。
細則
1.名詞(代名詞を含む)
1.1 普通名詞
1.1.1 単一の名詞は、分割する。
私 ; 日本 ; 雪
注: ここで言う単一の名詞とは、意味の単位としての分割が不可能な名詞である。
1.1.2 名詞としての実質的な意味の薄れた形式名詞も、独立して用いられた場合は分割する。
時 ; こと ; もの
例: 生まれた△時△に ; 行う△こと△を
注: 単一の名詞ではあっても、形式名詞のうち、本来の名詞としての機能を著しく欠き付属語とともに慣用されている名詞は、付属語との複合形をもって1語とする。
まま ; ゆえ ; よう ; ところ ; ため ;
とおり ; もん(ものの音便形) ; ふう
例: 風△の△ままに ; 話した△ところで ; 言う△とおりに
1.2 複合名詞
1.2.1 複合名詞のうち、以下のものは、複合形をもって1語とする。
- 他の品詞から名詞への転成語
はやわかり ; 人間くささ
- 転音を伴う名詞
風花(カザバナ) ; 白雪(シラユキ)
- 漢字2字で表記する畳語、対語、並立語
人々 ; 父母 ; 海山
注: 漢字3字以上で構成する畳語、対語、並立語はそれぞれの語を分割する。
人△人△人 ; 海△山△川 ; 英△米△独△仏
注: ただし、漢字3字以上で構成されていても、音読みの熟語として慣用されている語は分割しない。
市町村 ; 陸海空
- かなで表記する畳語は、かな2字の繰り返しは分割せず、3字以上は分割する。
ますます ; はらはら ; もっと△もっと ; ばらん△ばらん
- 漢字3字以下の訓読みを含む複合名詞(訓読み語、湯桶読み語、重箱読み語)
細道 ; 組合 ; 黒魔術 - 漢字3字以下の略語、略称、省略形
労組 ; 経団連 ; 原水爆 - 漢字3字以下の連濁音をともなう複合名詞
湯豆腐 ; 柱時計 ; 酒造(サケズクリ) ; 魔女狩り
注: 漢字4字以上で構成する場合は、訓読みを含む複合名詞、略語等、連濁音をともなう複合名詞なども、語の構成単位に分割する。
労働△組合 ; 原水爆△禁止 ; 株式△会社 - 内部に助詞、活用語を含む短い複合語
息の根 ; 鬼が島 ; 教え子 ; 女の子 - 動植物名
サルノコシカケ ; タツノオトシゴ ; カラスムギ
注: 自立した動植物名で、分割しても意味を損なうおそれのないものについては分割する。
ニホン△ツキノワグマ - その他、分割すると意味のまとまりを損なう複合名詞
図書館員 ; 海水浴場 ; 作曲者名
1.2.2 複合名詞のうち、複合名詞の内部に漢字2字以上、もしくは、3拍以上の意味のまとまりが二つ以上あり、分割して意味を損なわない複合名詞は分割する。
情報△処理 ; 内閣△総理△大臣
1.2.3 漢字1字、2拍以下であっても、語構成要素の冒頭に意味上自立した性格のつよい名詞が存在する複合名詞は、名詞の各要素を分割する。
核(原子核の意味での) 核△物理 ; 核△平和△利用
性(男女の区別の意味での) 性△教育 ; 性△革命
夢△判断 ; 星△観測 ; 稲△品種
注: 後続の語構成要素としてこれらの名詞が接続する場合は、分割しない。
原子核 ; 白昼夢 ; 南十字星
1.2.4 接頭語、接尾語など1字の造語要素と結び付いている複合名詞は、以下のように分かち書きを行う。
- 自立性がよわく、直後の後続語を修飾するか、性格を規定する形容語としての接頭語で、熟語と接続し、3字熟語を構成する以下のような語は分離せず、複合形をもって1語とする。
真 ; 御 ; 非 ; 無 ; 不 ; 反 ; 未 ; 大 ; 中 ; 小 ; 新 ; 旧 ; 全 ; 微 ; 超 ; 諸 ; 名 ; 単 ; 急 ; 暖 ; 主 ; 最 ; 現 ; 原 ; 軽 ; 重 ; 有 ; 多 ; 少 ; 半 ; 正 ; 高 ; 低 ; 総 ; 副 ; 再 ; 前 ; 後 ; 本 ; 今 ; 対 ; 準 ; 好 ; 悪 ; 数 ; 長 ; 短 ; 仮 など
例: 真犯人 ; 非人間 ; 無政府 ; 反体制 ; 新幹線
- a.に列挙した接頭語のうち、意味上の関係が後続語以降の名詞にも及び、後続語との関係が希薄になっている場合、接頭語を分割する。(参照:1.2.4.3c)
大△国語△辞典 ; 反△帝国△主義
- 熟語である後続語と相対的に独立した関係をもつ以下のような接頭語は、分離する。
各△議員 ; 同△法案 ; 元△ボクサー ; 両△首脳 ; 当△施設
注: 同じ接頭語であっても、意味のつながりの強弱で、分かち書きを行う場合とそうでない場合がある。 判断のつきにくい場合は、接頭語と後続語の間の発音上の切れ目の有無で判断する。
同年配 ; 新幹線 ; 本場所 ; 旧体制 (音の切れ目なし)同△報告書 ; 新△外科学 ; 本△委員会 ; (音の切れ目あり)
旧△ソ連邦
1.2.4.2 <接尾語>
- 数詞に付属する接尾語は、数詞との複合形をもって1語とする。
一回 ; 20日 ; 百円 - b. 自立性がよわく、直前の語と結合し、3字熟語を形成する以下の接尾語は、複合形をもって1語とする。
的 ; 者 ; 人 ; 会 ; 区 ; 長 ; 党 ; 部 ; 員 ; 中 ; 省 ; 所 ; 間 ; 化 ; 機 ; 局 ; 社 ; 車 ; 号 ; 生 ; 性 ; 駅 ; 店 ; 家 ; 力 ; 半 ; 後 ; 国 ; 団 ; 法 ; 内 ; 線 ; 戦 ; 権 ; 式 ; 県 ; 館 ; 本 ; 書 ; 品 ; 派 ; 金 ; 署 ; 発 ; 期 ; 場 ; 地 ; 用 ; 台 ; 隊 ; 室 ; 費 ; 学 など
例: 平和的 ; 殺人者 ; 商売人
- 漢字1字、もしくは3拍以下の名詞が後続の語構成要素として結合する語は複合形をもって1語とする。
水遊び ; 魔女狩り ; 村祭り - 前出語と相対的に独立した関係をもっている接続語は、分離する。
東京△発 ; 教育△等 ; 犬猫△など ; 校長△宛
注: 例示を示す等(トウ)、など、は分離するが、複数を示す等(ラ)、達(タチ)、共 (ドモ)などは分離しない。
少年△等(ショウネン△トウ) ; 少年等(ショウネンラ)
- 「史」「誌」は以下のように分かち書きを行う。
e1. 地名に付属する「史」「誌」は地名との複合形をもって1語とする。
日本史 ; ローマ史 ; 仙台誌
e2. 地名に行政単位等を示す語が付属する場合は、行政単位等を示す語と「史」「誌」との複合形をもって1語とし、地名を分割する。
愛知△県史 ; 世田谷△区史 ; 大阪△府誌
e3. 団体名等の地名以外の固有名に付属する「史」「誌」は分離する。
帝国△図書館△史 ; ソニー△株式△会社△史
- 「案」「考」「稿」「抄」「選」「展」「論」「伝」「記」などの語は、以下のように分かち書きを行う。
f1. 2字熟語に接続する場合は、分離しない。
基準案 ; 人間考 ; 絵画展
f2. 3字以上の熟語およびカタカナ語に接続する場合は、分離する。
評価書△案 ; 考古学△考 ; 地域△研究△論 ; テレビ△考
注: 平仮名で表記される語は、該当する漢字に当てはめて判断する。
f3. 固有の作品名および熟語として確立した語は分離しない。
智恵子抄 ; ヨブ記 ; 史的△唯物論
注: 論考のように熟語として用いられる語は、熟語を単位に分離する。
教科書△論考
- 遺跡名に付属する接尾語の「跡」は、分離する。
廃寺△跡
- 名詞に後続する「って」は、分離する。
恋△って ; 湾岸△戦争△って
注: 代名詞、指示詞に後続する「って」は、分離しない。
僕って ; これって
1.2.4.3 <接頭語・接尾語の複合形>
- 2字熟語に自立性のよわい、2字の形容語としての接頭語が接続する場合は、2字の接頭語の複合形をもって1語とする。
中長距離 ; 中高年齢 ; 小中学校
- 2字熟語に1字の接頭語と1字の接尾語が接続し、接頭語の後続語が自立した意味のまとまりをもっている場合は、接頭語を分離する。
前△次官補 ; 新△予算案 (参照:1.2.4.1a)
注: 接頭語と後続語の意味上の結び付きが強く、接頭語を切り離すと、語の意味が損われる場合は、分離しない。
有資格者 ; 不退去罪 ; 非人間的 ; 軽自動車
- 2字熟語に2字の接尾語が接続する場合は、接尾語との複合形をもって1語とする。
自家用車 ; 旅館業法 ; 書式例集
注: 「宛」「跡」「案」「考」「稿」「史」「抄」「選」「展」「等」「発」「論」「記」など、特に規定した接尾語は、それぞれの分かち書きの規定に従う。
- 接頭語、接尾語を含めて5字以上の熟語は、原則として2以上の単位に分割する。
超大△望遠鏡 ; 非△自由△主義的
注: 熟語内部に省略を含むなどの理由により、分割によって語の意味を損う場合は分割しない。
小中学校長 ; 都道府県立 ; 中高年齢者 ; 市区町村別
1.3 固有名詞
- 人名の姓と名は、分割する。
谷崎△潤一郎 ; 毛△沢東 ; ヘルマン△ヘッセ
姓名分離の原則は、1.3.1b注、e、gの規定に優先する。
- 人名に後続する敬称、官職、位階などは、分割する。
湯川△秀樹△博士 ; 清△少納言 ; 芭蕉△翁 ; アーサー△王
注: 人名に後続する敬称、官職、位階などのうち、王、公、院、尼など、漢字1字の接尾語が姓もしくは名の一部に後続し、歴史的に定着している場合は、人名と複合形をもって1語とする。(例外規定)
長屋王 ; 恵信尼
- 人名に先行する接頭語は、分離する。
故△大平△正芳
- 人名に後続する接尾語のうち、集、伝、考、稿、論、展、作、訳、著などの接尾語は、分離する。
チェーホフ△集 ; 大江△健三郎△論 ; ビアズレー△展 ; モネ△作
- 人名に後続する接尾語のうち、家門、氏族、人名を冠した傾向などを示す、家、氏、派、流、的、風、系、式などは、人名との複合形をもって1語とする。
チボー家 ; 今川氏 ; ワーグナー派 ; 小笠原流
- 人名に後続する接尾語のうち、呼びかけ、敬称等に用いる、さん、様、君、殿、氏(シ)などは、分離する。
鈴木△君 ; 山田△様
注: 人名以外の語に後続するさん、君等は分離しない。
おしゃかさま ; ぞうさん ; ねずみくん
- 人名に後続する接尾語のうち、フィクションの登場人物で接尾語を含めた形で通称される名前や愛称等は複合形をもって1語とする。
サザエさん ; おそまつくん
1.3.2 団体名の分かち書きは、団体名を構成する各品詞の分かち書きを適用する。
国立△国会△図書館 ; 戦争△を△語り継ぐ△会 ; 黎明会
1.3.3 地理的名称は以下のように分かち書きを行う。
- 地名に山、海、川、湖、湾、島など1字の接尾語が接続し、固有の地理的名称を形成する場合は分離しない。
富士山 ; 日本海 ; 信濃川 ; 十和田湖
- 地名に的、派、流、風、系などの1字の接尾語が接続し、形容語的に用いられる場合、もしくは1字の接尾語が接続し、新たな熟語を構成する場合は、接尾語との複合形をもって1語とする。
日本的 ; ヴェネチア派 ; カナダ人 ; 瀬戸物 ; スペイン語
- 地名に先行する1字の接頭語は、接頭語を含めて一つの意味のまとまりを形成する場合は、接頭語との複合形をもって1語とする。
小京都 ; 環太平洋
注: 接頭語の意味が後続語以後の語に及ぶ場合、もしくは接頭語が地名との直接の意味のまとまりを構成しない場合は、接頭語を分離する。
対△アメリカ△貿易 ; 新△フランス△絵画
- 地名に平野、砂漠、海峡、山脈、盆地など、2字以上の熟語が接続する場合は、それぞれを分割する。
関東△平野 ; ゴビ△砂漠 ; 奥羽△山脈 ; 十和田△湖畔
- 複合語である固有の地理的名称に付属する接尾語は分離する。
ガダルカナル海△沖
- 地名に1字の接頭語である方位詞が接続する場合は、接頭語との複合形をもって1語とする。
東ヨーロッパ ; 下伊那 ; 奥秩父 ; 内モンゴル
注: 2字以上の熟語の方位詞が接続する場合は、それぞれを分割する。
東南△アジア ; 中央△アルプス
- 地名に1字の接尾語である方位詞が接続する場合は、接尾語を分離する。
藤沢△西△高校
- 行政単位を示す都、道、府、県、市、町、村、区、郡、藩、国、州などの接尾語は地名との複合形をもって1語とする。
東京都 ; パリ市 ; ワシントン州
- 行政単位に立、史、誌、庁などの接尾語が付属する場合は、慣例により行政単位の名称と接尾語との複合形を1語として、地名と分割する。
大阪△府立 ; 世田谷△区誌
例外: 北海道庁
1.3.4 医学用語は以下のように分かち書きを行う。
- 疾患を示す「炎」「腫」「症」「斑」「病」など漢字1字の接尾語は、疾患の名称として1語とする。
角膜炎 ; 高血圧症 ; 紫斑病
- 医学の専門分野を示す接尾語の単一の「科」名は分離しない。
神経科 ; 泌尿器科 ; 産婦人科
注: ただし、複合的な専門分野や特定の専門科内の専攻を示す「科」名は、それぞれの要素を分割する。
精神△衛生科 ; 小児△内科 ; 脳神経△外科(*) ;
理学△療法科 ; 耳鼻△咽喉科
(*) 1993年12月に「脳△神経△外科」と訂正
- 疾患を示す漢字2字以上の熟語は分割する。
血液△疾患 ; 離脱△症候群
- 体内器官名・組織名と疾患名の分かち書きは、漢字1字で表記される器官名・組織名と疾患名等は分離せず、漢字2字以上で表記される器官名等とは分離する。
胃癌 ; 心不全 ; 脳卒中 ; 脳腫瘍 ; 肺繊維症 ; 直腸△癌 ;
腎機能△不全 ; 動脈△硬化 ; 網膜△剥離
- 語の冒頭に存在する「癌」は、分離する。
癌△細胞 ; 癌△治療
1.3.5 数詞は以下のように分かち書きを行う。
(数字の読みは、「アクセス・ポイントのかな標記要領」を参照のこと。)
1.3.5.1 カナ読みする場合(1997年まで)
- 二桁以下の単独の数詞は、分割する。
24△の
- 三桁以上多数桁にわたる整数は、二桁を単位に分割する。
365日(サンビャク△ロクジュウゴニチ)
- 小数、分数は分割しない。
1/2(ニブンノイチ) ; 3.0(サンテンゼロ)
- 接頭語である序数詞「第」は以下のように分かち書きを行う。
第三△帝国 ; 第一△世代 (接尾語の助数詞のない場合)
第△三次△産業 ; 第△8回△大会 (接尾語の助数詞のある場合)
- 接尾語である助数詞は、数詞との複合形をもって1語とする。
100%(ヒャクパーセント) ; 12回(ジュウニカイ)
1.3.5.2 カナ読みしない場合(1998年から)
- 整数は分割しない。
365日(365ニチ)
- 小数、分数は分割しない。
1/2(ニブンノイチ) ; 3.0(3.0)
注: 分数は例外としてすべてカナ読みする。
- 接頭語である序数詞「第」は以下のように分かち書きを行う。
第2△遺跡(ダイ2△イセキ) (接尾語の助数詞のない場合)
第△8回△大会(ダイ△8カイ△タイカイ) (接尾語の助数詞のある場合)
- 接尾語である助数詞は、数詞との複合形をもって1語とする。
100%(100%) ; 12回(12カイ)
1.3.5.3 コンピュータ等の機種にかかわる数詞の読みと分かち書き、および部隊名等の読みと分かち書きは別に定める。
1.3.6 外来語の分かち書きは別に定める。
1.4 代名詞は以下のように分かち書きを行う。
- 人称代名詞は分割する。
私△は ; 僕△の ; 誰△が
- 指示代名詞と形式名詞の複合形は分離しない。
このまま ; それゆえ ; あのとおり ; そんなもん
- 指示代名詞と助詞は、以下のように分かち書きを行う。(参照:9.3)
あれ△が ; そこ△を ; いずこに ; それから
2. 動詞
2.1 単一の動詞の連体形と後続の名詞は分割する。
走る△人 ; 来る△時
注: 終止形、命令形も原則として分離するが、付属語を伴うものは付属語との複合形をもって1語とする。
来るね ; 言えよ
2.2 動詞に付属語が後続する場合は、付属語との複合形をもって1語とする。
魅せられた ; つかまえて
2.3 複合動詞は複合形をもって1語とする。
歩き続ける ; 起ち上がる
注: サ行変格活用動詞(語幹+する)は複合形をもって1語とする。(語幹+させる、できる)も同様とする。
対立する ; 思考する ; 動機付けさせる ; 実現できる
注: 独立した動詞としての「する」や行為・動作の対象とならない「する」は分割する。
明日△する ; 社会△生活△する ; 女の子△しよう
注: 1字の名詞を伴い、特定の行為・動作・状態を表すのに慣用されている動詞は複合形をもって1語とする。
身につく ; 気にする ; 頭にくる
注: 連用形+助詞の連用修飾語に続く自立した意味をもつ接合動詞は、連用形+助詞と接合動詞をそれぞれ分割する。
泣いて△綴った ; 食べて△育つ
注: 連用修飾語としての動詞に、動詞本来の意味を失った補助動詞が接続する場合は、補助動詞との複合形をもって1語とする。
知っておきたい ; 隠してある
3. 形容詞
3.1 名詞に近い機能をもつ形容詞は、分割する。
強い△のが△勝つ
3.2 形容詞の終止形、連体形は原則として分割する。
地球△は△丸い ; かわいい△女
3.3 形容詞の連用形が自立した動詞に接続する場合は、分割する。
遠く△呼ぶ
注: 動詞と形容詞の連用形との複合形が一つの意味のまとまりをなすか、形容詞が補助動詞と接続する場合は、複合形をもって1語とする。
美しくあれ ; おはようございます
3.4 複合形容詞は複合形をもって1語とする。
名高い ; 理解しやすい
3.5 名詞に「らしい」が付き、転成した形容詞は1語とする。(参照:10.1)
人間らしい
3.6 形容詞の活用語尾が付属語に接続する場合は、付属語との複合形をもって1語とする。
楽しければ ; 青かった
関係△ない ; 勇気△が△ない
注: 助動詞の「ない」は分割しない。
形容詞の「ない」と助動詞の「ない」の区別は、形容詞の「ない」は、前に「が」「さえ」を挿入することが可能であり、助動詞の「ない」は、「ず」「ぬ」に置き換えが可能であることで区別する。(参照:10.4)
歩けない ; 疲れない
注: 形容詞の「ない」のうち、形容詞、形容動詞の連用形に続く「ない」や、他の品詞とのまとまりで慣用されている「ない」は分割しない。
青くない ; 静かでない ; じゃない
4. 形容動詞
4.1 形容動詞は名詞+助動詞の「だ」や連体詞と区別がつきにくいため、以下のように分かち書きを行う。
- 語幹が漢字1字であるか、漢字1字の形容動詞の活用語尾に付属語がつく場合は、活用語尾および付属語を含めて1語とする。
楽な△仕事 ; 大いなる△遺産 ; 静かだった△日々 - 語幹が漢字2字以上の熟語である場合、語尾が「な」の連体形のみ活用語尾を含めて1語とする。
幸福な△王子 ; 孤独な△群集 ; あまりに△人間的な - 語幹が漢字2字以上の熟語で連体形以外の場合は、語幹と活用語尾を分割する。また、活用語尾に付属語がつく場合、活用語尾と付属語は複合形をもって1語とする。
真実△だ ; 平和△に△生きる ; 健康△ならば - 語幹が熟語の形容動詞の連体形であっても、名詞に近い働きをする「の」が付属する場合、活用語尾+「の」を1語とする。
健康△なの△が△一番
4.2 指示形容動詞は活用語尾+付属語を含めて分かち書きを行う。
こんなだ ; そんなだ ; あんなだ ; どんなだ
(こんなだろう ; こんなだったら ; こんなで ; こんなに ;
こんな ; こんなら)
5. 副詞
たった△ひとり△の ; もっと△遠く
5.2 「と」「に」で終わる副詞のうち、語幹が漢字2字以上の熟語である場合は、語幹と語尾を分割する。
整然△と△パレードする
5.3 指示副詞に以下の動詞が後続する場合は、複合形を1語とする。
〔こう、そう、ああ、どう〕 + 〔いう、する、なる〕
例: こうする ; ああいえば ; どうなった
6. 連体詞
あらゆる△女△は ; 小さな△家
6.2 連体詞のうち、1字の漢字を含めて代名詞的機能をもつ語や熟語として使用される以下のような語は、複合形をもって1語とする。
我が家 ; 我が輩 ; 我が身 ; 我が国 ; 彼女 ; その他 ;
その上 ; その場
注: 2拍以上の自立的な意味を持つ語が後続する場合は、分離する。
わが△孫 ; わが△暮らし ; その△人 ; ある△時
6.3 指示連体詞に助動詞「ようだ」が後続する場合は、複合形をもって1語とする。
〔この、その、あの、どの〕 + 〔ようだ〕
例: このような ; あんなようで ; どのように
7. 接続詞
晴れ△または ; イヴァン△もしくは△獅子△を
8. 感動詞
さらば△夏△の△日 ; 悲しみ△よ△こんにちは
9. 助詞
荒野△の△狼 ; 犬△を△連れた ; 辺境△から
9.2 活用語の活用語尾に続く助詞は、活用語との複合形をもって1語とする。
雨△が△やんでも ; 誰△に△住みよいか
9.3 指示代名詞と助詞の分かち書きは以下のように行う。
指示代名詞〔これ、ここ、こちら、こっち、それ、その、そちら、そっち、あれ、あそこ、あちら、あっち、どれ、どこ、どちら、どっち、いずこ……〕+格助詞のうち主格を示す「が」、連用修飾を示す「を」、並立語を示す「と」「や」、副助詞のうち、題目を示す「は」、終助詞のうち疑問を示す「か」については、指示代名詞と助詞を分離する。
これ△が△パリ ; ここ△を△出て ; これ△と△あれ△と ;
そこ△は ; ここに ; いずこへ ; それから ; これも
9.4 複数の助詞の重なる場合は、複合形をもって1語とする。
への ; との ; にの ; とは ; からの ; までの
10. 助動詞
灯△だ ; 大雨△らしい
注: 名詞に接尾語の「らしい」がつくと、形容詞として1語とする。(参照:3.5)
こどもらしい ; 人間らしく
10.2 活用語の活用語尾に続く助動詞は、活用語との複合形をもって1語とする。
失われた△時 ; 死せる△魂 ; 封印された△天使
10.3 例示、たとえの助動詞「ようだ」が、「の△ようだ」の場合、以下のように分かち書きを行う。
太陽△の△ような ; 天使△の△ように
10.4 助動詞の「ない」は活用語尾との複合形をもって1語とする。(参照:3.7)
明けない△夜 ; 解けない△謎