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RDA導入に向けた米国図書館の現状について―米国図書館訪問記―

塩野真弓(京都大学人間・環境学研究科総合人間学部図書館情報管理掛)


NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2013年1号(通号24号)

 米国図書館界における目録業務、特に新しい目録規則“Resource Description and Access”(RDA)採用に向けた準備状況の調査を行うため、2013年1月14日から1月18日にかけて、私を含む京都大学図書館の司書3名で米国議会図書館(LC)、Online Computer Library Center(OCLC)、オハイオ州立大学、コロンビア大学を訪問しました。以下、1. RDA導入にむけた各図書館の準備状況、2. 日本語資料の書誌作成のためのデータ活用に関する現状の2点について、報告します。

1. RDA導入に向けた各図書館の準備状況

 米国では国立図書館3館(LC、米国国立医学図書館、米国国立農業図書館)において、来る2013年3月31日からRDAを正式に導入することが発表されています[1]。LCではこの日に向けて、500名以上のカタロガーが順次研修を受けています[2]。この研修は約4週間・のべ36時間にわたる一斉授業またはオンライン・トレーニングを用いて実施されています。一斉授業の受講後には実際にRDAを用いた書誌の作成を行い、すでに研修を修了した司書のレビューを受けます。

米国議会図書館(LC)
米国議会図書館(LC)

 OCLCでは、WorldCatのマスターレコードについて、新規書誌の入力はすでにRDAの使用が可能ですが、AACR2などRDA以外の目録規則で作成した書誌レコードをRDAで書き換えることは、この調査時点では許されていませんでした。しかし3月31日を境にポリシーの変更を行い、RDAでの書き換えが可能になります[3]。なおOCLCの参加館がRDAを採用するかどうかについては、各館の判断に任せられています。各参加館は従来通りRDA以外の目録規則で作成した書誌をWorldCatに登録することや、RDAで作成された書誌を各館のローカルシステムにダウンロードして、別の目録規則で書き換えることも可能です。また既存の書誌について、マクロでRDAに自動変換する試みもありますが、すべてを機械で行えるかまだわからないそうです。また、OCLCでは、資料の内容と形式が混合していたGMD(一般資料表示。一般資料種別ともいう。)を3年後に廃止予定のため、北米のシステムベンダーに対応を要求しているとのことでした。

WorldCatの「本体」
WorldCatの「本体」

 コロンビア大学では2010年に実施されたLC等によるRDAテストにも参加するなど、経験を積んできました[4]。現在はLCが作成したウェブ教材で研修を行うとともに、独自にWikiサイトも運営し、スタッフ間でRDAについての情報共有をはかっています[5]。現在、特殊資料以外の新規書誌作成はほぼRDAに移行しています。典拠コントロールは外部業者に委託しているため、そのRDA対応にも調整が必要だったそうです。ただしOCLCのマスターレコードがAACR2に基づきフルレベルで作成されている場合には、ダウンロードの際にもRDAへの書き換えは行わずそのまま使用しているとのことです。また同大学のC.V.スター東アジア図書館で行われている日本語資料の新規書誌作成も、2012年1月からRDAへ移行しています。

コロンビア大学バトラー図書館
コロンビア大学バトラー図書館

 オハイオ州立大学トンプソン図書館では、通常の図書についてLCと同時期にRDAを採用予定です。研修にはLCのウェブ教材を利用しています。

 RDA本文はまだ改訂途中です。改訂はJoint Steering Committee for Development of RDA(RDA開発のための合同運営委員会)が行っていますが、この意思決定プロセスが興味深いものでした。年次会議で上がった案件についてSecretaryが文章にまとめ、Web上の共有スペースに入力します。それに対して各委員が「賛成」「反対」やコメントを期日までに入力していきます。その結果がRDA Toolkitに反映されます[6]。電話やメール会議では決定事項が曖昧になりがちなため、はっきりと結果を共有できる方法がとられているのです。

2. 日本語資料の書誌作成のためのデータ活用に関する現状

 米国における日本語図書の書誌入力は、オンラインで容易に書誌がダウンロードできる現在でも、現地の司書にとって簡単な作業ではありません。私自身目録を担当した経験もあり、米国での実情が気になりましたので、現地の司書にインタビューしてみました。

 オハイオ州立大学のマンガ研究図書館(Billy Ireland Cartoon Library & Museum)では日本のマンガやマンガに関する書籍が多数所蔵されています[7]。その書誌を作成する際、流用元に国立国会図書館(NDL)の書誌をOCLC Connectionから利用できるようになり、大変便利になったとのことでした。ただし、基本記入(Main Entry)を示す1XXフィールドが空欄になっているので、注意が必要だということです。NDLが和図書等に適用している「日本目録規則1987年版改訂3版」では基本記入の方式を採用していないからです。VIAF(バーチャル国際典拠ファイル)にNDLが参加したことも、典拠作成の際に役立っているそうです。

オハイオ州立大学トンプソン図書館からの眺望
オハイオ州立大学トンプソン図書館からの眺望

 コロンビア大学C.V.スター東アジア図書館では日本語資料の書誌作成について、新刊本はおもに図書館流通センター(TRC)由来のデータを利用しているそうです。また、多少古い資料や一般に流通していない資料の書誌を新規作成する際に、NDL由来のデータを利用しているとのことでした。典拠作成にはWeb NDL AuthoritiesCiNii Booksの著者名典拠を参照するそうですが、CiNii Booksの著者名典拠レコードには生没年が表示されないのが難点だということでした。

【まとめ】

 訪問した機関ではRDAの実施に向けて着々と準備が進められていました。今LCを中心に検討されている新しい書誌データモデルについても、大きな期待が寄せられています[8]。調査で出会った司書たちが、総じてこの変革期を前向きにとらえている様が印象的でした。

 米国の司書もまだRDAに習熟しておらず、RDA本文や適用細則もまだ改訂途中です。このため、RDAで記述された既存の書誌をそのまま参考にするのではなく、必ず規則自体を参照しなければRDAを用いた正しいレコードは作れません。コピーカタロギングに慣れきった私たちですが、特に変革期にはその都度基本に立ち返ることも重要だということを認識させられました。

 また、実際に米国でNDLの書誌データが利用されているところを見て、やはり日本語資料の書誌データは日本で責任を持って作成し、世界に流通させたいという思いを持ちました。そのために今後日本の目録規則や書誌データモデルについて、全国の図書館員が考えていく必要があります。

 なお、今回紙幅の都合上省略した事柄について関心をお持ちの方は、京都大学国際交流機構のWebサイトに報告書を掲載する予定ですのでご参照ください[9]
 最後になりましたが、今回の訪問でお世話になった各機関の方々および報告の機会を与えてくださった国立国会図書館収集書誌部のみなさまに御礼を申し上げます。

塩野 真弓
(しおの まゆみ 京都大学人間・環境学研究科総合人間学部図書館情報管理掛)

[1]特殊資料を除きます。ただし典拠はすべての資料についてRDAに準拠します。
LCのRDA採用について、詳細は以下に掲載されています。
Library of Congress. “Resource Description and Access (RDA): Information and Resources in Preparation for RDA (Acquisitions and Bibliographic Control, Library of Congress)”
http://www.loc.gov/aba/rda/,(参照2013-2-12)

[2]研修のスケジュールや資料は以下に掲載されています。
Library of Congress. “Library of Congress (LC) RDA Training Materials”
http://www.loc.gov/catworkshop/RDA%20training%20materials/LC%20RDA%20Training/LC%20RDA%20course%20table.html, (参照 2013-2-12)

[3]Online Computer Library Center. “Policy statement (effective 2013-3-31) [OCLC - RDA and OCLC]”
https://www.oclc.org/rda/new-policy.en.html, (参照 2013-2-12)

[4]LC等によるRDAテストの詳細については以下に掲載されています。
Library of Congress. “Testing Resource Description and Access (RDA) Archives”
http://www.loc.gov/aba/rda/rda_test_archives.html  (参照 2013-2-26)

[5]Columbia University Libraries. “RDA - Resource Description and Access - Columbia University Libraries Wiki”
https://wiki.cul.columbia.edu/display/rda2/, (参照 2013-2-12)

[6]このほかに、比較的軽微な改訂は委員が随時提案でき、同様の手続きを経て隔月に一回Toolkitに反映されます。スペルミス等の修正はSecretaryが随時行うことができます。

[7]訪問時、オハイオ州立大学マンガ研究図書館所蔵のマンガコレクションについては、一部をトンプソン図書館の所管に移し、貸し出し可能にする「Manga Project」が進行中でした。

[8]LCを中心に検討されている新しい書誌データモデルについては、以下の紹介記事があります。
渡邊隆弘「ウェブ時代の新しい書誌データモデル“BIBFRAME”」カレントアウェアネス-E No.230 2013.01.23
http://current.ndl.go.jp/e1386 (参照 2013-2-25)

[9]京都大学国際交流推進機構. “図書系職員海外調査研修 | 京都大学国際交流推進機構”
http://www.opir.kyoto-u.ac.jp/opir/s_haken/tosho/, (参照 2013-2-12)


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2013年1号(通号24号) 2013年3月28日発行
編集・発行 国立国会図書館収集書誌部
〒100-8924 東京都千代田区永田町1-10-1
E-mail: (ニュースレター編集担当)