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コンピュータ世界の変化とともに―JAPAN/MARCのあゆみ

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2012年3号(通号22号)

1.はじめに 

 2012年6月14日に開催された和中教授の講演会では、海外の最新動向の紹介とともに、当館における書誌コントロールの歴史的経緯についても触れていただきました。
 ここでは、関連して当館の書誌情報提供について、特に「JAPAN/MARC」(以下適宜「J/M」と略します)の歴史についてご紹介します。
 国立国会図書館法(以下「館法」といいます)第7条では「館長は、一年を超えない期間ごとに、前期間中に日本国内で刊行された出版物の目録又は索引を作成し、国民が利用しやすい方法により提供するものとする。」と規定しています。この「日本国内で刊行された出版物の目録」を人間が読める方式で提供しているのが全国書誌であり、機械が読める方式で提供しているのがJ/Mです。

2.J/M誕生まで 

 当館では開館直後から、館法第7条に規定された使命を果たすべく、現在の全国書誌の前身である冊子体『納本月報』(1948年刊行開始)や、印刷カード(1950年12月一般頒布開始)など書誌情報を頒布してきました。
 今ではウェブで公開するのがあたりまえの書誌情報ですが、開館当初は手書きで書誌情報を作成し、活字を組んで印刷・頒布していました。コンピュータに書誌データを入力し蓄積していけば、一つを取り出して目録カードを作るのも、排列順を自由に設定して冊子体目録を作るのも、格段に容易になります。当館業務機械化の第一歩は、書誌情報の処理を目的に1970年代にはじまりました。
 1972年には和雑誌の、1977年には和図書の書誌データ入力を機械化し、1978年には『納本週報』[1]もコンピュータで編さんするようになりました。

 このころすでに欧米各国では、その国の全国書誌を機械が読める形式で頒布することが始まっていて、日本国内でもその需要が高まってきていました。しかし、入力業務を機械化したとはいえ、これらの書誌データの形式は当館の業務用に開発されたものであり、ほかの図書館と共通の形式ではありませんでした。「機械が読める形式の全国書誌」を国内、国外の図書館で広く使ってもらうには、各館で共通に使用(または容易に変換)できる形式で頒布することが必要です。そこで、1978年に各種図書館、関係省庁、情報流通諸機関、出版界、通信事業などの代表および学識経験者を委員もしくは専門委員に委嘱し、当館の職員も加わって「国立国会図書館ジャパン・マーク審議会」が組織され、形式や利用形態についての議論が重ねられました。1979年11月に仕様についての答申が、1980年12月に利用方法についての答申が出され、それをもとに「ジャパン・マーク・テープ」の頒布が1981年4月に始まりました。同時に、形式を説明するための『JAPAN/MARC Manual』初版も刊行されました。「ジャパン・マーク・テープ」は、毎週『日本全国書誌』[2]に収録される和図書の書誌データを磁気テープに記録していました。

3.収録範囲の拡大 

 冊子体『日本全国書誌』と磁気テープのJ/Mを毎週頒布することにより、「一年を超えない期間ごとに」「国民が利用しやすい方法により提供」することはある程度達成できました。このあとは「日本国内で刊行された出版物」を網羅的に提供するために、表1のように収録範囲を拡大しつつ、各種資料に対応できるようフォーマットを改訂していきました。

フォーマット名称 拡大した収録範囲
(1998以前) (国内刊行和図書のみ)
J/M 1998フォーマット 非図書資料、外国刊行日本語資料
(1999年からはマイクロ資料、電子出版物、静止画資料、録音資料も収録開始)
J/M 2002フォーマット 地図資料、楽譜
(逐次刊行物「J/M(S)」とフォーマットを共通化)
J/M 2006フォーマット 音楽録音・映像資料
J/M 2009フォーマット (資料の収録範囲拡大はなし。他MARC番号やタイトル標目等データ収録範囲拡大)

表1 JAPAN/MARCフォーマットの変遷

 図書等の単行資料を収録するJ/M (M)とは別に、逐次刊行物は、J/M (S)として1988年8月から提供を始め、2002年には単行資料と共通のフォーマットで頒布するようになりました。
 また、2012年1月から提供をはじめたJ/M MARC21フォーマットでは、アジア言語資料も提供範囲に加わり、これで、当館に納入された国内刊行資料のすべてをJ/Mで提供できるようになりました。

4.典拠ファイルの提供

 書誌データには、資料を同定識別するための様々な情報とともに、検索の手がかりとなる情報(標目)も記録されています。標目の作成にあたっては、同一人物が資料によってさまざまな表記をされていてもまとめて検索することができるように、また、同姓同名の別人をきちんと区別できるように注意します。この「同一人物の集中」「同名異人の識別」などに大きな役割を果たしているのが典拠ファイルです[3]。当館では、この典拠ファイルを開館当初から手書きのカードで維持・活用し、書誌情報の品質管理に役立ててきましたが、書誌データと典拠データとが機械で相互に結び付くようになると、双方の同定識別はもちろん、維持管理も格段に容易になります。

 まずは、カードで維持していた典拠データを機械入力し、1979年に冊子体『国立国会図書館著者名典拠録』を刊行しました。1992年、著者名典拠データの当館内オンライン検索システムが稼働し、1991年に公表されたUNIMARC典拠フォーマットに準拠した形式で、1997年にJ/M著者名典拠フォーマットによる著者名典拠データ「J/M (A)」の頒布を開始しました。当初は日本人著者名に限っての頒布でしたが、その後団体名、外国人名典拠の整備などを行ってきました。その結果、いまでは家族名、統一タイトル、地名も含む著者名典拠と固有名典拠はすべて収録しています。

5.JAPAN/MARCフォーマットとJAPAN/MARC MARC21フォーマット 

 1977年に国際図書館連盟(IFLA)がUNIMARCフォーマット[4]を公表し、標準的な書誌情報の形式が定められたことにより、書誌情報の国際的な交換が容易になりました。しかし、日本語資料の書誌情報は、漢字と読みをどのように扱うか、という大きな問題を乗り越えなければなりませんでした。この問題について、1979年2月の第1回ジャパン・マーク審議会では、当館の業務用の形式のままでも利用したいという要望と、国際標準に合わせることを優先すべきという意見が対立しました。その後、当館の形式とUNIMARCとの比較検討を経て、UNIMARCに基本的に合わせることが決まり、UNIMARCにない入力項目を増やして漢字と読みを表現するという、「JAPAN/MARCフォーマット」が誕生しました。また、文字コードの国内標準であるJISコードを採用し、国内でデータ交換が容易にできるようにしました。

 J/Mは国際標準として公表されたUNIMARCフォーマットに準拠した形式でしたが、その後、米国のUS MARCとカナダのCAN MARCを統合するかたちで1997年にMARC21フォーマットが開発され、これが実質的に国際標準として流通するようになりました。J/Mでは、書誌・典拠とも、2012年1月からMARC21に準拠した「JAPAN/MARC MARC21フォーマット」によりデータを提供しています。
 MARC21で提供するにあたり、再び「漢字と読み」問題にぶつかりました。MARC21では、ある言語の文字と、ほかの言語の文字に置き換えた形をセットで入力する方法が「Appendix D」に示されており、J/M MARC21フォーマットでは、これに沿ったかたちで漢字と読みを扱うこととしました。
 また、JISコードでは、多くのアジア言語の文字が表現できなかったため、日本国内で刊行されたアジア言語資料は『日本全国書誌』に「アジア・・・の部」として掲載するものの、J/M収録対象外としてきました。J/M MARC21フォーマットは、Unicodeを採用してアジア言語の文字も表現可能にし、アジア言語資料も提供範囲に含めることができるようになりました。

  従来のJ/Mフォーマット J/M MARC21フォーマット
文字コード JISコード Unicode
形式 UNIMARC準拠 MARC21準拠
収録範囲 表1のとおり 表1に加え、国内刊行アジア言語資料
日本語の読み UNIMARCにない入力項目を増やして読みを格納 MARC21の「Appendix D」にしたがい読みを扱う

表2 J/Mフォーマット比較

6.利用者ニーズへの対応 

 磁気テープ形式で頒布を開始したJ/Mですが、その後パソコンやインターネットの普及により、利用者のニーズも変化してきました。J/Mの総発売元である日本図書館協会は、J/Mの書誌データをCD-ROMで利用したいという要望に応えて、1988年4月に「J-BISC」の頒布をはじめました。この「J-BISC」は、1998年には約1,100機関が購入しており、広くJ/Mデータの普及につながりました。J/M本体も、現在ではおもにCD-ROMにより頒布しています。

 J/Mデータの利用にかかわる意見交換を目的として、1982年2月、日本図書館協会の主催でJ/M利用者との懇談会が開催されました。当館に資料が納本されてからJ/Mに書誌データが収録されるまでの期間が長い、という意見が多数あり、その後1996年に当館主催で行われた利用者アンケートや利用者懇談会でも問題になっています。この点はJ/M以前の印刷カード時代から、現在にいたるまでの大きな課題です。2012年1月のシステムリニューアルを機に、作成中の書誌データを公開することにより少しでも早く書誌データを入手できるようにするとともに、NDL-OPACからのダウンロード機能も充実させるなど、より利用しやすい書誌情報の提供を実現しました。

7.おわりに―もはや「MARC」ではない?  

 和中教授が講演会で紹介されたように、米国議会図書館では、MARC21にかわる、よりセマンティック・ウェブに対応した書誌フレームワークの検討が始まっています。ウェブ世界における共通の技術を使ってウェブ世界全体に書誌情報を提供すれば、図書館だけでなくウェブでつながる様々な機関や個人へと、利活用していただける範囲がひろがります。
 国内外の潮流をながめていると、数年後には“MARC”フォーマットは主流でなくなっているのでは、という思いが頭をよぎります。
 そう遠くない将来、JAPAN“MARC”という名称は消えてしまうかもしれません。しかし、どのような形式であれ、館法第7条の精神に基づき、当館が今後も永く“全国書誌”を提供し続けることは変わりません。これからも利用者のみなさんが、的確に容易に資料にたどりつくことができるよう、書誌情報を提供してまいります。

(収集・書誌調整課 書誌調整係)



[1]『納本月報』は、1950年に『国内出版物目録』に改題され、さらに1955年に「納本週報」に改題されました。

[2]『納本週報』は、1981年1月に『日本全国書誌 週刊版』に改題され、さらに1988年に『日本全国書誌』となりました。

[3] 典拠について、くわしくは「What’s 書誌調整? 第3回 典拠ってなんだ」をご参照ください。
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/whats/3rd.html,(参照 2012-09-03).

[4] 最新版は「UNIMARC Manual Bibliographic Format, 3rd ed., 2008」です。
http://www.ifla.org/publications/ifla-series-on-bibliographic-control-36,(参照 2012-09-03).


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2012年3号(通号22号) 2012年9月28日発行
編集・発行 国立国会図書館収集書誌部
〒100-8924 東京都千代田区永田町1-10-1
E-mail: (ニュースレター編集担当)