コラム:書誌データ探検 欧米諸言語資料編

NDL書誌情報ニュースレター2012年2号(通号21号)
外国資料課整理係では、欧米諸言語の単行資料の目録を作成しています。
本ニュースレター2011年4号(通号19号)の「コラム:書誌データ探検 アジア言語資料編」の末尾でも触れているとおり、当館では、2011年12月、目録作成に使用するシステムを変更しました。合わせて文字コードもUnicodeを採用し、アジア言語資料の目録作成も、日本語や英語と同じシステム上で扱えるようになりました。2012年1月からは多言語に対応した新しいNDL-OPACを提供しています。
多言語対応による影響は、アジア言語資料だけではなく、欧米諸言語資料の目録作成にも及んでいます。
<旧システム-入力できない文字はどうする?->
以前のシステムでは、アクセント記号の付いたラテン文字(拡張ラテン文字)など、入力することができないものが数多くありました。また、OCLC(Online Computer Library Center)の書誌データをコピーして目録を作成する場合(これを「コピーカタロギング」といいます)、これらの文字に加え、キリール文字やギリシア文字で記録された部分をそのままコピーして使用することができませんでした。
これらの文字をどのように扱っていたかというと、記号の付いたラテン文字は、該当する文字の前または後ろに、記号ごとに定められた代替表現を付けて入力していました。下図の、「目録に入力するときの形」の中の、“OE「&」”などが代替表現です。これらの代替表現は、2011年12月までのNDL-OPACに表示する時には、取り除かれた形になっていました。

代替表現の例
また、キリール文字とギリシア文字はラテン文字に置き換えて入力していました。ある言語の文字を他の文字に置き換えることを翻字といいます。翻字のルールは複数あり、同じ文字でも、どの翻字ルールを適用するかによって、置き換えた後の文字が異なる場合があります。当館では、キリール文字とギリシア文字を翻字する際はALA-LC Romanization Tablesに基づいて行っています。
ALA-LC Romanization Tablesとは、米国議会図書館(LC)と米国図書館協会(ALA)が共同で、ローマ字以外の文字をローマ字へ翻字する規則を言語ごとに定めたものです。

キリール文字の翻字例
注)“-” はその言語で使用されていない文字
表のように、同じキリール文字でも、言語によって違う文字に翻字することがあります。しかし、あるひとつの言語の中では、同一のキリール文字は必ず同一の文字に翻字されます。
一方、ギリシア文字の場合、同じギリシア語にも関わらず、同一の文字が異なる文字に翻字されることがあります。他の文字と連続することによって翻字が変わるもの、語頭に存在するか語中に存在するかで違う翻字になるもの、それから、発音上の相違を示す記号を想定して翻字しなければならないもの、等が定められています。ギリシア語の母音の上に「’」「‘」という記号(気息記号といいます)が付与され、下段(有気音)の翻字では母音に先行して「h」が加えられています。

無気音、有気音の違い
気息記号は、現在、現代ギリシア語の出版物では表記されないことが一般的ですが、一方、ALA-LC Romanization Tablesでは、「ギリシア文字のテキストに気息記号が表記されていないとき、有気音を表すhは適切に付与する」(2010年7月現在)と定めているため、目録作成者は翻字の際、記号という手掛り無しに、hの有無を判断しなければならないということになります。
<新システム-様々な文字が入力可能に!->
現在のシステムでは、ほとんどの文字をそのまま入力することが可能となりました。
記号の付いたラテン文字は代替表現を使わず、その文字のとおりに入力しています。また、以前のシステムで入力した代替表現を含む書誌データは、元の文字に変換した上で新しいシステムへ移行しました。
2012年1月から新しくなったNDL-OPACでは、記号の付いたラテン文字は資料に記載されているままの形で表示されています。検索する際には、資料にあるとおりの形だけでなく、記号付きラテン文字の記号を省略した形でも検索することができます。

現在のNDL-OPAC表示
キリール文字とギリシア文字のタイトルも原文のままの文字(原綴)で入力するようになりました。そのため、キリール文字とギリシア文字については、OPACでは翻字のデータと原綴のデータが混在しています。2011年12月までの旧OPACでの検索は翻字でしかできませんでしたが、現在は、過去の翻字データも含めて原綴での検索が可能です。ただし、ウクライナ語等の一部の文字は原綴からの検索ができないため、翻字でも検索してみることをお薦めします。
より便利になったNDL-OPACで、ぜひ欧米諸言語の資料を探してみてください。
(外国資料課整理係)
NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)
ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2012年2号(通号21号) 2012年6月29日発行
編集・発行 国立国会図書館収集書誌部
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