NDL書誌情報ニュースレター2011年3号(通号18号)
2011年9月30日発行
ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
編集・発行 国立国会図書館収集書誌部

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編集者からの一言
前号の「編集者からの一言」と似た題材ですが、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの「バベルの図書館」をご存知でしょうか? この短編小説に描かれた図書館には、天文学的な数の本があります。全ての本が同じページ数、同じ文字数で、その1文字ずつについて、アルファベット、コンマ、ピリオド、スペースの全ての組み合わせの本が1冊ずつ所蔵されています。最初の1文字目がa~z、コンマ、ピリオド、スペースのバリエーションがあり、2文字目も……と延々続きます。全部aの本も、最初の文字だけaで残り全てbの本も1冊ずつあるというように、全ての文字について、アルファベットや記号の膨大なバリエーションが網羅される、つまりアルファベットで書かれうる全ての情報が、この図書館には詰まっていることになります(ほとんどの本は無意味な文字の羅列ですが)。図書館のどこかには、私の伝記もありますし、私の未来も書かれています。「書誌情報ニュースレター」も、この「バベルの図書館」には、後ろが全てスペースのバージョン、コンマのバージョン、同じ号が繰り返されるバージョンなど、無数にあることになります(ローマ字表記ですが)。
書かれた60年前は全くの夢物語だったかもしれませんが、今はこの小説からインターネットを連想する人が多いかもしれません。現代社会では、「わからないことがないのでは」と思えるほど、ありとあらゆる情報が駆け巡っています。網羅性ではバベルの図書館には勝てませんが、「どの本がどこにあるかわからないため、ほしい情報が得られない」という致命的な欠点をもつバベルの図書館に比べれば、インターネットでは各段に情報を得やすくなっています。
しかし、情報が多くなればなるほど、探す手段も向上しなくては、世界中の情報を整理しきれなくなり、どこになにがあるのかわからない「バベルの世界」になってしまうでしょう。そうならないように、図書館界でも「探している情報に簡単に行きつく方法」について様々な研究が進められています。対象とする「情報」も、図書館におさめられた紙媒体の本だけではなく、電子資料やWeb情報など、多種の形に広がっています。今号の記事からも、将来の情報整理に対する書誌からのアプローチの一端がうかがえるのではないでしょうか。
世界の情報がバベルの図書館にならないように、図書館界もがんばっています。
(皇帝人鳥)
各号の目次一覧
NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)
ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2011年3号(通号18号) 2011年9月30日発行
編集・発行 国立国会図書館収集書誌部
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E-mail: bib-news@ndl.go.jp (ニュースレター編集担当)
