コラム:書誌データ探検 分類(3) 分類作業のその先に

NDL書誌情報ニュースレター2011年3号(通号18号)
書誌データ探検の分類編第1回目で述べられているとおり、図書館資料の分類の機能には、資料を書架に体系的に並べる「書架分類」と、OPACで分類を使って検索するための「書誌分類」があります。分類編第1回目では特に「書誌分類」の有効性について紹介されていました。「書架分類」ももちろん重要な機能で、その重要性の一端については、本誌前号の「編集者の一言」で引用したとおり、小説家ポール・オースターがその作品の中で見事に言い当てています。
先日、図書館資料の分類について、小学生向けの新聞から取材を受けました。記者の方から、小学生へ向けて分類の重要性を説くとしたらどのように説明しますか?と質問され、「よりよい本と出合う可能性があります。」と答えました。「書架分類」の機能により、同じテーマの本が棚の上に隣り合って並んでいます。自分が探していた本を棚の上に見つけたら、その周囲にも目を向けると、他にも求めている本を見つけることができるかもしれない、と。
このことは「書誌分類」についても言えるわけで、つまり、同じテーマの本が「目録の上に」隣り合って並んでいることで、さらに求めている本と出合う可能性があるわけです。
分類作業を終えてラベルが貼られたばかりの本を書架の上に置いたとき、その新しい一冊によって書架の「景色」が一変する印象をもった経験があります。図書館資料を分類して書架の上に、また目録の上に位置付けることは、単に新しい本が一冊追加される以上のことを意味するように思えるのです。
哲学者ミシェル・フーコーがギュスターヴ・フローベールの『聖アントワーヌの誘惑』を論じて次のように言っています。
他の書物たちのかたわらにおかれるべき新しい書物というよりむしろ、既存の書物たちがかたちづくる空間に、のび広がってゆく作品である。それらの書物を覆い、それらを隠し、それらを顕現せしめ、ただひとつの動きでもって、それらを輝かせ、また消してしまう。(『幻想の図書館』、工藤庸子訳)
これは、フローベールの作品についてのみならず、すべての図書館資料について言えるように思えてなりません。ひとつの新しい資料が書架の上に(さらには、目録の上に)加わるとき、その資料は、すでにある他の資料たちのかたわらに単に置かれるのではなく、すでに並んでいた資料たちの存在をさらに輝かせ、ときには覆い隠す。そのようにして、資料が「のび広がってゆく」その先に、利用者が待っている、と表現したら格好つけすぎでしょうか。
大柴 忠彦
(おおしば ただひこ 収集書誌部収集・書誌調整課)
NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)
ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2011年3号(通号18号) 2011年9月30日発行
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