世界図書館情報会議-第77回IFLA大会(プエルト・リコ、サン・ファン)報告

NDL書誌情報ニュースレター2011年3号(通号18号)
「世界図書館情報会議(WLIC)-第77回国際図書館連盟(IFLA)大会」が2011年8月13日から18日にかけて、プエルト・リコ最大の都市サン・ファンにあるプエルト・リコ・コンベンション・センターで開催されました。国立国会図書館代表団7名の一人として、書誌関連のセッションを中心に参加しましたので報告します。[1][2]

会場となったプエルト・リコ・コンベンション・センター
IFLAにおける書誌関連の分科会は、図書館サービス部会(Division 3)のもとに、書誌分科会(Section 12)、目録分科会(Section 13)及び分類・索引分科会(Section 29)の三つがあります。筆者は今期から書誌分科会の常任委員に選出されましたので、その常任委員会へ委員として出席しました。目録分科会及び分類・索引分科会へは、それぞれの常任委員会へオブザーバとして出席し、またサテライト・ミーティング及びオープン・セッションへ参加しました。分類・索引分科会のオープン・セッションではペーパー発表を行いました。
今年の大会全体のテーマは「図書館を越える図書館:すべての人々のための統合、革新、情報」("Libraries beyond libraries: Integration, Innovation and Information for all")でした。この全体テーマは、書誌関連の各セッションにも反映していました。書誌データをオープン・アクセスなものとして提供するという昨年の大会における議論[3]が引き継がれ、それが今年のテーマの下でさらに展開されていました。いわば「(閉じた)書誌データを超える(開かれた)書誌データ」というテーマが、今年の書誌関連セッションの全体に流れているかのようでした。さらにはまた、Linked Open Data(LOD)[4]が今年のキーワードのひとつともいえる印象でした。
10人の新任メンバーを迎えた書誌分科会常任委員会の課題のひとつは、一昨年に刊行した『デジタル時代の全国書誌』という指針の推進及びこの指針に基づく事例の集約です。さらに、全国書誌についてLODとしての公開を拡げていくことも将来計画として提示されました。
委員会ではまた、米国議会図書館(LC)から、LCが検討開始を発表した書誌フレームワーク変革について発言がありました。FRBR(Functional Requirements for Bibliographic Records)や RDA(Resource Description and Access)の成立は、それだけが理由ではないが、しかし検討開始の理由のひとつではある、また現時点では具体的なことを報告できる段階にはないが、10月に計画のドラフトを公表する予定だとの説明でした。[5]
当館からは典拠データについてLODとして公開したことを簡単に報告しました。後述するように、この典拠データの公開については、分類・索引分科会のオープン・セッションにおいてペーパー発表を行いました。
なお、書誌分科会は、来年の大会において、「デジタル時代の書誌」をテーマに目録分科会と共同でサテライト・ミーティングを開催する予定です。
目録分科会が開催したオープン・セッションのタイトルは「目録:障壁を破ること」("Cataloguing: Breaking barriers")でした。スロベニアからは、古い目録慣習と新しいニーズとの間の「障壁を破る」ための実践として、FRBRモデルの目録への適用の発表がありました。また、スペインからは、典拠データをLODとして公開する試みが発表されました。
この典拠データのLOD提供は、分類・索引分科会が開催したオープン・セッションとも呼応しました。「領域、コミュニティ、システムの橋渡し」("Bridging domains, communities and systems")と題されたセッションでは、LCから、典拠データや各種コード等をRDF/XML形式で提供している「Authorities & Vocabularies」について発表がありました。当館からは、セマンティック・ウェブ志向のサービスとして、「国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス開発版」(「Web NDL Authorities開発版」)について発表を行いました。[6]LCの「Authorities & Vocabularies」も当館の「Web NDL Authorities開発版」も、典拠データをLODとして公開しているものです。ポスター・セッションにおいても、ドイツ国立図書館から典拠データのLOD提供についての発表がありました。
特に事前に示し合わせたわけではもちろんないのにもかかわらず、これだけ各国から典拠データのLODとしての提供についての発表がそろうことに驚き、またそれが世界の潮流であると認識を新たにし、かつその流れに遅れることなく当館から発表ができたことに嬉しさと安堵を覚えました。

ペーパー発表の様子
このほか、大会に先立って開催された目録分科会のサテライト・ミーティングでは、RDAが採り上げられました。LCが行ったRDA導入テストの報告があり、[7]それを受けてオーストラリア、英国、ドイツ、カナダから報告がありました。RDAの合同運営委員会からの報告で興味をひかれたのは、英語圏以外のコミュニティでも使いやすいように平易な英語で書く必要がある、という点でした。
同じく大会に先立って行われたVIAF(Virtual International Authority File)のミーティングへも参加しました。当館の状況についてコメントを求められ、本年度中にテスト・データを送付し、その後正式にVIAFへのデータ提供を行いたい旨発言しました。
筆者は今回がIFLAへ初参加でした。IFLAへの参加目的には、生の情報の収集のみならず、発言や発表等を通じての当館のプレゼンス向上もあるでしょう。常任委員会は会期の前半と後半の計二回行われるのが慣例のようですが、都合上、会期途中で帰国せざるを得ず、後半のセッションには出席できませんでした。最初は初参加・初対面で戸惑いつつも、書誌関連のセッションへの参加を重ね、またときおり発言をするうちに、次第に顔見知りが増え、分類・索引分科会での発表後には少なからぬ方々から感想をいただきました。さらにこれから、というところでの帰国は残念でしたが、当館書誌業務の認知度が少しは高まったかな、と感じました。
大柴 忠彦
(おおしば ただひこ 収集書誌部収集・書誌調整課)
[1]大会のプログラム、発表ペーパーの一部については、以下に掲載されています。
http://conference.ifla.org/ifla77/programme-and-proceedings (参照2011-9-8)
[2]会議全体の概要については、「カレントアウェアネス-E」でも紹介しています。
http://current.ndl.go.jp/e1214 (参照2011-9-8)
[3]昨年のIFLA大会については、本誌2010年3号(通号14号)にて紹介しています。
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2010_3/article_01.html (参照2011-9-8)
[4]セマンティック・ウェブに対応したRDF形式によって広く提供されるデータのこと。
[5]LCの書誌フレームワーク変革の検討開始については、「カレントアウェアネス-R」でも紹介しています。
http://current.ndl.go.jp/node/18297 (参照2011-9-8)
[6]「Web NDL Authorities開発版」については、本誌2011年2号(通号17号)にて紹介しています。
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2011_2/article_02.html (参照2011-9-8)
[7]英米目録規則第2版(AACR2)の後継であるRDAのLC等によるテスト結果については、 「カレントアウェアネス-E」でも紹介しています。
http://current.ndl.go.jp/e1191 (参照2011-9-8)
NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)
ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2011年3号(通号18号) 2011年9月30日発行
編集・発行 国立国会図書館収集書誌部
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