世界図書館情報会議-第76回IFLA大会(スウェーデン・ヨーテボリ)に参加して

NDL書誌情報ニュースレター2010年3号(通号14号)
「世界図書館情報会議(WLIC)−第76回国際図書館連盟(IFLA)大会」が2010年8月10日から15日にかけて、スウェーデン第二の都市ヨーテボリで開催されました。国立国会図書館の代表団(長尾館長以下6名)の一人として、目録・書誌系のセッションを中心に参加しましたので報告します。[1][2]

会場となったスウェーデンエキシビション&コングレスセンター
今回の大会のテーマは「知識へのオープンアクセス:持続的な発展の促進に向けて」でした。テーマを反映し、私の参加したセッションでも、書誌データをオープンアクセスなものとし、いかにインターネット上にて使いやすい形で提供するか、といったことが盛んに取り上げられていました。
書誌分科会のセッションの主なテーマとなっていたのは全国書誌の提供についてです。全国書誌はその収録範囲、提供方法共に変化の只中にあり、昨年「電子時代の全国書誌」という指針が刊行されたばかりです。[3]
国立国会図書館が作成・提供している日本全国書誌の収録範囲は、主としてパッケージ媒体の電子資料も含む国内単行資料、逐次刊行物資料ですが、各国ではその収録範囲をオンライン系の電子出版物に広げつつあります。セッションではセルビア、ドイツ、ポーランドの取組について紹介がありましたが、今回特に興味をひいたのがドイツ国立図書館の新しい全国書誌サービスでした。
ドイツ国立図書館の全国書誌の収録対象は、紙資料やパッケージ資料だけでなくオンライン出版物も含み、さらに特徴的なのはドイツ語以外で書かれ海外で出版されたドイツに関する著作:ジャーマニカ(Germanica)を含む点です。ただし、資料種別や流通形態等により7つの部に分かれていました。
しかし、今年からオンラインジャーナルとしての提供を開始し、分断されていた全国書誌を横断的に、様々なアクセスキーから検索して対象範囲を絞り込むことが可能となっています。今後はRSS配信機能の実装等さらなる機能拡張を目指しているとのことでした。
この他PDFファイルによる提供も用意されています。PDFファイルは従来どおり部ごとの刊行ですが、オンライン刊行物の部のPDFファイルは優れもので、OPAC書誌へのリンクの他に、内容細目、目次情報へのリンク等も含まれており、PDFファイルによるというやや時代に乗り遅れた感のある提供形態からは想像できない多様なサービスを用意しています。

ヨーテボリ市立図書館
今回は、目録分科会、分類・索引分科会、IT分科会、知識マネジメント分科会による4時間に及ぶジョイントセッションも開催されました。
ティム・バーナーズ=リー(Tim Berners-Lee)の"Anyone can say anything about anything."という有名なキャッチフレーズを盛り込んだセマンティック・ウェブの概念の説明、IFLAのifla.standards.infoのもとの名前空間の設定の取組等セッションで取り扱われる事項は多彩で今回参加しているのが、本当にIFLAの年次大会なのか、ダブリン・コア・メタデータ・イニシアティブの年次大会に来ていたのだったか?と錯覚するような一瞬もありました。
国立国会図書館でもWeb NDLSHの提供等、セマンティック・ウェブ対応の取組に着手し始めているところです。その中で今回の、知識へのオープンアクセスというテーマはピタリとはまるものであり、各国の先進的な取組を目の当たりにし、国立国会図書館でも知識のソースとしてより発展的なサービスを提供していく必要があると改めて感じました。
誰もが情報提供者となり得る現在、様々な情報資源があふれ、図書館の存在意義が問われています。その中で今回のプレゼンテーションに印象的な一説がありました。それを引用して今回のIFLA年次大会の参加報告を締めくくります。
- リンク・データは図書館にとってかなりの潜在的可能性を持っている。
- リンク・データのもたらす利益は、参加機関の数の増加と共に増す。
- 図書館のデータはセマンティック・ウェブの世界において情報の確かさの主柱となり得る。
- リンク・データを実現することはささいなことではない。
東 弘子
(あずま ひろこ 収集書誌部収集・書誌調整課)
[1]大会のプログラム、発表ペーパーの一部は以下に掲載されています。
http://www.ifla.org/en/conferences-sessions/216 (参照2010-9-30)
[2]第76回IFLA大会の概要についてはカレントアウェアネス-Eでも紹介しています。
東弘子.世界図書館情報会議(WLIC):第76回IFLA年次大会<報告>.
カレントアウェアネス-E1093. 2010, No.178.
http://current.ndl.go.jp/e1093 (参照2010-9-30)
[3]「電子時代の全国書誌」については、その草案について本誌2008年3号(通号6号)にて紹介しています。
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2008_3/index.html#04 (参照2010-9-30)
NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)
ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2010年3号(通号14号) 2010年10月29日発行
編集・発行 国立国会図書館収集書誌部収集・書誌調整課
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