NDL書誌情報ニュースレター
ISSN 1882-0468
2009年4号(通号11号) 2009年12月25日掲載 [PDF版 890KB]
目次
- 今号の紹介
- おしらせ 平成21年度書誌調整連絡会議を開催しました
- 動向 「つながる、ひろがる、すぐ見つかる」を目指して—2009年ダブリンコア(Dublin Core)とメタデータの応用に関する国際会議(DC2009)参加報告
- 動向 電子媒体とISSN—第34回ISSNナショナルセンター長会議参加報告
- 動向 「第95回全国図書館大会東京大会 第9分科会 現代の図書館分類法を考える」への参加報告
- コラム 書誌データ探検 件名(3) 事前結合方式—件名標目の可能性の中心
- 掲載情報紹介
- NCR適用細則 「日本目録規則1987年版改訂3版 第II部 標目」適用細則を掲載
- データベースフォーラム NDL-OPACに関するプレゼンテーションの資料を掲載
- 書誌調整 ISSN登録国内刊行オンラインジャーナル書誌データを更新
- OPAC アジア言語OPACへタイ語図書書誌データを追加
- 分類・件名 国立国会図書館件名標目表(NDLSH)2008年度版追録(2009年9〜11月)
- 分類・件名 更新:国立国会図書館分類表(NDLC)
- 雑誌記事索引 更新:雑誌記事索引採録誌一覧(11月更新分)
- 編集後記
今号の紹介
今号では三つのイベントに関して紹介いたします。10月にソウルで開催されたダブリンコアの国際会議、9月に北京で開催されたISSNナショナルセンター長会議、そして10月の終わりに東京で開催された図書館大会の第9分科会(分類)の模様です。
中でもお伝えしたいのが、ダブリンコアの動向です。書誌データや目録は、インターネット上での対応、とりわけセマンティックウェブ対応を図っていく必要があります。そのための関連情報をお伝えすることに力を注いでいます。
また、11月25日に当館で開催しました書誌調整連絡会議についてもお知らせいたします。より詳細な内容につきましては、いずれ当館ホームページに掲載する予定です。
連載コラム「書誌データ探検件名編」は、今号も専門的な内容をわかりやすくお伝えしようと健闘しています。どうぞご覧ください。
おしらせ
平成21年度書誌調整連絡会議を開催しました
平成21年11月25日(水)、国立国会図書館収集書誌部は「平成21年度書誌調整連絡会議」を開催しました。書誌調整連絡会議は、書誌調整に関する情報の共有や意見交換を目的として、書誌データの作成および提供に関する諸事項について関係諸機関と定期的に協議するものです。今年度は「日本の件名標目表:BSHとNDLSHの連携・その先へ」と題して開催し、招へい者・聴講者18人、および当館職員が出席しました。
件名とは、書誌データに付与する統制されたキーワードのことです[1]。特定の分野に限定しない件名のリストとしては、日本には日本図書館協会によるBSH(基本件名標目表)と国立国会図書館によるNDLSH(国立国会図書館件名標目表)があります。この両者の現状や、現在検討中である両者の連携を含めた将来像について議論することを今回のテーマとしました。
まず、当館から「国立国会図書館の方針について」、「NDLSHの現状」、「BSH-NDLSH連携に向けた検討状況」を報告し、日本図書館協会件名標目委員長の柴田正美氏から「BSHの現状」、筑波大学大学院教授の杉本重雄氏から「SKOSを活用した件名標目表の提供」と題した報告がありました。報告を受けて、慶應義塾大学教授の上田修一氏、国立情報学研究所教授の宮澤彰氏によるコメントがあり、その後は質疑応答・自由討議が行われました。
報告や自由討議を通して、BSHとNDLSHの連携を進めることで件名をより便利なものとし、インターネット上での件名活用を促進する努力が必要であることなどを確認しました。当館としても、NDLSHを時代に即したより使いやすく有用なものとするための取り組みを行っていくことを表明しました。
会議の概要については、後日「書誌調整連絡会議」のページに掲載します。

写真:会議風景
(収集書誌部)
[1] 件名の詳細については、前々号から連載しているコラム「書誌データ探検 件名」でご覧いただけます。
大柴忠彦. コラム 書誌データ探検 件名(1):図書館版キーワード検索—件名標目とは?
NDL書誌情報ニュースレター. 2009, 2009.6.
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2009_2/index.html#07 (参照2009-12-10)
大柴忠彦. コラム 書誌データ探検 件名(2):NDLSH メイキング—件名標目新設の現場
NDL書誌情報ニュースレター. 2009, 2009.10.
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2009_3/index.html#08 (参照2009-12-10).
大柴忠彦. コラム 書誌データ探検 件名(3):事前結合方式—件名標目の可能性の中心
NDL書誌情報ニュースレター. 2009, 2009.12.
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2009_4/index.html#06 (参照2009-12-25).
動向
「つながる、ひろがる、すぐ見つかる」を目指して—2009年ダブリンコア(Dublin Core)とメタデータの応用に関する国際会議(DC2009)参加報告
2009年10月12日から16日まで、韓国国立中央図書館にて、「2009年ダブリンコア(Dublin Core)とメタデータの応用に関する国際会議」(以下、「DC2009」といいます)が開催されました。10月12日にチュートリアル基本編(Basic Tutorials)、10月13日から15日に本会議、10月16日にチュートリアル応用編(Advanced Tutorials)が開かれました[1]。
今年で17回目となるこの会議は、Dublin Core Metadata Initiative(DCMI)が主催する、ダブリンコアを中心としたメタデータに関する研究発表や意見交換を行う場で、毎年世界各国から図書館関係者、研究者、システム開発関係者などが集まります。今年は新型インフルエンザの世界的流行などもあり、参加人数は97人と少なめでしたが、内容の濃い議論が多数繰り広げられました。日本からも、図書館員や研究者など、11名が参加しました。

写真左:韓国国立中央図書館に掲げられた横断幕。奥にはデジタルブックカフェ開館の予告が見えます。
写真右:時節柄、新型インフルエンザ対策のコーナーもありました。
【チュートリアル基本編】
10月12日のチュートリアル基本編では、2009年5月にDCMIの勧告となった、ダブリンコアメタデータの相互運用レベル(Interoperability Levels for Dublin Core Metadata)の四つの段階などについて説明されました。
【本会議】
本会議では、会議のテーマ「リンクされたデータの意味論的相互運用性」(Semantic Interoperability of Linked Data)のとおり、データ同士をリンクさせて相互運用できるようにする取組みが多数発表されました。特に、2009年8月にW3C勧告となったSKOS(Simple Knowledge Organization System)を使用した例が紹介され[2]、分類表をSKOSで表現する試みや、SKOSを使ってデータベース同士をリンクする取組みなど、SKOSが有用な表現技術として注目されていることを感じました[3]。
書誌データや典拠データをダブリンコアの記述要素で表現する取組みでは、RDF(Resource Description Framework)構文を使って階層構造を表現する事例が多く見られました[4]。日本語で書誌データや典拠データを記述する際には、漢字形とよみをペアにして表現することが欠かせません。日本語の書誌データ・典拠データの相互運用性を高めるにあたって、RDF構文を使ってダブリンコアの記述要素で表現することは、重要な解決手法となることでしょう。

写真:会議風景
【図書館コミュニティのセッション】
会期中には、DCMIに関係するコミュニティによってセッションが行われ、そのうちの一つ、10月14日に開催された図書館コミュニティのセッションに参加しました。セッションでは、「図書館アプリケーションプロファイル(以下、「DC-Lib」といいます)」の改訂案[5]について議論がなされました。
「DC-Lib」は、2004年に初版が完成しました。その後、DCMIでは「シンガポール・フレームワーク(Singapore Framework)」(2008年1月)や、「ダブリンコア・アプリケーション・プロファイルのためのガイドライン(Guidelines for Dublin Core Application Profiles)」(2009年5月にDCMIの勧告となりました)が発表され、図書館界では「書誌レコードの機能要件(FRBR : Functional Requirements for Bibliographic Records)」や「資料の記述とアクセス(RDA : Resource Description and Access)」への対応が注目されるようになりました。今回の改訂は、このようなDCMIや図書館界の動きに対応するために、「DC-Libタスクグループ」と呼ばれるチームで検討されているものです。
このセッションで、「DC-Lib」が、図書館同士や、図書館と他のコミュニティとの交換用メタデータのためのアプリケーションプロファイルであることが、再確認されました。図書館において書誌データを表現するための技術としては、MARCなどの、細かく規定された(広義での)メタデータがおなじみですが、「DC-Lib」であまり複雑に枠組みを規定してしまうと、図書館以外のコミュニティとメタデータを交換する際の相互運用性が低下してしまいます。「すでにあるデータのすべて(またはそれ以上)の格納」と「交換のためにデータをある程度一般化する」という、相反する二つの要求のはざまで、「DC-Lib」はシンプルな構造とする方針が決定されました。改訂案全体の公開はまだ先になりそうですが、図書館や図書館関連団体が、ダブリンコアを基礎とする交換用メタデータの枠組みを考えるにあたって、有用な材料となることでしょう。
ダブリンコアの応用範囲は、他のメタデータの枠組みと連携して、さらに広がっていきそうです。いろいろなメタデータを駆使してデータベース同士がつながり、利用者にとって便利なツールがたくさんできることを期待します。
来年の会議は、2010年10月20日から22日、米国のヒルトン・ピッツバーグ・ホテルにて、米国情報科学技術学会(ASIS&T)年次大会との共催で行われる予定です。
村上 一恵
(むらかみ かずえ 収集書誌部収集・書誌調整課)
[1] DC2009のプログラム、発表資料は、以下のページに掲載されています。
DCMI. “Programme”. DC-2009 SEOUL.
http://www.dc2009.kr/sub/cfs_uprog_01.php, (accessed 2009-12-10).
DC2009の会議録は以下のページに掲載されています。
DCMI. “DC-2009 Seoul Proceedings”. DCMI Conference Papers.
http://dcpapers.dublincore.org/ojs/pubs/issue/view/33, (accessed 2009-12-10).
DC2009については、カレントアウェアネス-Eにも報告が掲載されています。
柴田洋子.セマンティックウェブにおけるダブリンコアの可能性<報告>. カレントアウェアネス-E988. 2009, No.160.
http://current.ndl.go.jp/e988, (参照 2009-12-10).
昨年度のDC2008会議報告も合わせてご参照ください。
白石啓. 2008年ダブリンコア(Dublin Core)とメタデータの応用に関する国際会議(DC2008)参加報告. NDL書誌情報ニュースレター. 2008, 2008.4.
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2008_4/index.html#07, (参照2009-12-10).
[2] Panzer, Michael.; Zeng, Marcia Lei.“Modeling Classification Systems in SKOS”. DC-2009 SEOUL.
http://www.dc2009.kr/sub/PS1.MichaelPanzer.pdf, (accessed 2009-12-10).
[3] SKOS Referenceの日本語版は以下のページに掲載されています。
上綱秀治. “SKOS Reference”. CyberLibrarian.
http://www.asahi-net.or.jp/~ax2s-kmtn/internet/skos/REC-skos-reference-20090818.html, (accessed 2009-12-10).
[4] Eckert, Kai.; Pfeffer, Magnus.; Stuckenschmidt, Heiner.“A Unified Approach for Representing Metametadata”. DC-2009 SEOUL.
http://www.dc2009.kr/sub/PS3.KaiEckert.pdf, (accessed 2009-12-10).
その他、10月15日のParallel Session “Hands-on with the Recollection Platform”、チュートリアル基本編でもとりあげられました。
[5] DCMI Libraries Application Profile Task Group. “DC-Library Application Profile (DC-Lib) (revision 2009 Draft)”.
http://dublincore.org/librarieswiki/RevisionDraft,(accessed 2009-12-10).
動向
電子媒体とISSN—第34回ISSNナショナルセンター長会議参加報告
パリに国際センターを置き87カ国が参加しているISSN(国際標準逐次刊行物番号)ネットワークは、実務責任者の意見交換の場として、毎年ISSNナショナルセンター長会議を開催しています。今年の第34回ISSNナショナルセンター長会議は、9月16日〜18日の3日間、北京の中国国家図書館で開催され、26カ国33名が参加しました。世界的な金融危機の影響か、参加者数は例年より少なめだったようです。日本からはISSN日本センターとなっている国立国会図書館(NDL)が会議に参加しました。
中国国家図書館は昨年第二期施設の新館(国家デジタル図書館)が完成し、今年が開館100周年の節目の年であることから、一週間前に記念式典と新館のお披露目が行われたばかりでした。また60周年の建国記念日を10月8日に控え、街全体が祝賀の雰囲気に満ちていました。

写真左:中国国家図書館/写真右:中国国家図書館新館の閲覧室
今回の会議であがった議論の多くが、急激に多様化している電子媒体などの新しい媒体への対応についてでした。ISSNは媒体が異なればそれぞれに個別のISSNを付与することとなっています。しかし、冊子体と同内容の電子ジャーナルに加え、冊子体を刊行することなく初めから電子ジャーナルとして刊行される逐次刊行物、冊子体からデジタルアーカイブされた逐次刊行物、定期的にインターネットで配信される動画やブログ、電子ジャーナルをパッケージで販売するProquestやScience Directといった商品など、新しい媒体が次々に登場しています。これらの新しい媒体に対して、ISSNの付与対象をどう定めるか、どのようにISSNを付与するかについて各国の事例が紹介され、活発な質疑と議論が展開されました。
国際センター事務局からは、冊子体、電子ジャーナル、デジタルアーカイブの各媒体でのISSNの付与方法について具体的な提案が示されました。この提案では、ISSNの付与方法が各媒体の刊行状況によって場合分けされています。たとえば、同一の逐次刊行物が電子ジャーナルとして公表され、後にデジタルアーカイブされた場合には、この二つの媒体に同じISSNを付与することになります。このようにタイトルおよび媒体と1対1の対応関係にあるISSNについて、さまざまなバリエーションが増えていくことへの対処方法を示す内容となっています。
昨年度の第33回ISSNナショナルセンター長会議[1]で議論の中心となったISSN-L(Linking ISSN)[2]は、その周知と定着が課題となっている現状が各国から紹介されました。ISSN日本センターであるNDLでは、昨年度逐次刊行物の書誌データを作成するシステムの改良を行い、ISSN-Lの登録作業を行う準備を整えましたが、総合目録方式で書誌の作成をしている国ではシステムの変更が容易でなく、登録方法が課題となっている事情もあるようです。
国際センターのホームページには、ナショナルセンター同士で意見交換ができる参加者限定サイトが用意されています。同一の逐次刊行物が複数デジタルアーカイブされた場合の付与方法、ISSN-Lにも影響を与えると考えられる「資料の記述とアクセス(RDA : Resource Description and Access)」の情報、次々に生まれる新媒体の情報など継続的な検討が必要な課題は、常時このサイトで情報を共有していくこととなりました。
次回の第35回ISSNナショナルセンター長会議は、2010年10月にイギリスのボストンスパで開催される予定です。
堀 純子
(ほり じゅんこ 収集書誌部逐次刊行物・特別資料課)
[1] 第33回ISSNナショナルセンター長会議については、NDL書誌情報ニュースレター2008年4号(通号7号)をご覧ください。
西尾初紀. 第33回ISSNナショナルセンター長会議参加報告. NDL書誌情報ニュースレター. 2008, 2008.4.
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2008_4/index.html#08, (参照2009-12-10).
[2] ISSN-Lについては、NDL書誌情報ニュースレター2007年3号(通号3号)に解説があります。
逐次刊行物課:ISSN日本センター. Linking ISSN (ISSN-L) の動向について. NDL書誌情報ニュースレター. 2007, 2007.12.
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2007_3/index.html#06, (参照2009-12-10).
動向
「第95回全国図書館大会東京大会 第9分科会 現代の図書館分類法を考える」への参加報告
第95回全国図書館大会が、2009年10月30日(金)、東京で開かれました。日本図書館協会分類委員会により国立国会図書館で開催された「第9分科会 現代の図書館分類法を考える」に参加しましたので、その内容をご報告します。77名の参加があり、会場は満席でした。図書館員の分類に対する関心の高さがうかがわれました。

写真:第95回全国図書館大会第9分科会の模様
【発表の内容】
第1部の最初の発表は、分類委員の金中利和氏による「分類委員会の活動報告」でした。分類委員会の活動は、大きく分けて(1)新訂6版以降の日本十進分類法(NDC)各版の維持管理と(2)NDC新訂9版を改訂し、新訂10版を作成する作業があります。新訂10版については、検討経緯、進捗状況の報告がありました[1]
次の発表は、分類委員の大曲俊雄氏による「図書館分類業務の現況〜平成19年度ミニ調査報告」でした。この調査は、『日本の図書館』の付帯調査として分類委員会が行ったもので、特に分類に重点を置き、全国の公共・大学図書館を対象にアンケート調査を実施したものです。調査結果を基に、全国の図書館の分類作業の実態や分類表の使用状況について報告されました。
第2部の最初の発表は、中央大学の山﨑久道教授による「現代の情報探索行動と図書館分類法」でした。次のようなことを例にひきながらわかりやすく楽しく講演されました。
- 検索エンジンにおいては、一般の人々は一過性のものや特定のものを探すことが多く、固有名詞や単語の完全一致による検索がほとんどである。その場合、主題からの検索を活用する余地はない。しかし、高度な情報サービスにおいては、それだけでは不充分である。図書館においても、開架資料は分類から探すのに、OPACではタイトルや著者等に比べて、分類から検索する人は非常に少ないようにみえる。
- 分類は、世の中やある分野の全体を見渡す、社会のトレンドや傾向を把握する、ものや情報の整理や判断基準を与えるなどの機能を持っており、一般社会においても重要である。情報探索においても、NDCのような分類表を活用し、漠然としたものから自分の関心を絞り込むようなシステムが必要である。
- 一般の人は、分類表の知識を持っていない。図書館員が、分類に基づく整理(組織化と排列)の意味と分類活用による情報探索の有効性をわかりやすく伝えていく必要がある。
第2部の二つ目の発表は、当館収集書誌部司書監の原井直子による「全国書誌サービスにおける分類」でした。内容は次のようなものでした。
- 日本全国書誌の分類には、国立国会図書館分類表(NDLC)とNDCを使用している。NDCを付与しているのは標準的な書誌データを提供するためである。また、NDCを国立国会図書館件名標目表(NDLSH)の排列や、個々のNDLSHの代表分類にも使用している。
- 利用者は、書誌データやそれ以外の情報検索において、通常は思いついた言葉で検索する。利用者が分類を意識しなくても、背後で分類記号が働くようなシステムが有効ではないか。そのためには、分類のデジタルデータを活用しやすい形式で提供すること、名辞や相関索引の充実、件名標目表や他の分類表と連携することが必要である。
第1部、第2部の報告や講演を受けて質疑応答が行われました。NDCの改訂について、NDCを普及させる必要性、情報探索システムについて、すぐれた分類表にどんなものがあるか、など多くの質問や意見が出ました。
【所感】
これまで主題検索については、言葉で表現される件名の方に意識が向きがちでしたが、この分科会に参加して、構造性、俯瞰性を持つ分類の特徴や重要性について改めて気づきました。また、調査結果報告でも判明したように、日本で作成され利用されているOPACのほとんどに分類データが存在します。他の分類表や件名標目との連携や、システムを工夫することにより、分類もいろいろな活用の道があることを考えさせられ、とても有意義な分科会でした。
中村 聖
(なかむら せい 収集書誌部収集・書誌調整課)
[1]新訂10版の検討試案については、以下のサイトをご参照ください。
日本図書館協会.”分類委員会”. http://www.jla.or.jp/bunrui/index.html, (参照2009-12-10).
コラム 書誌データ探検 件名(3)
事前結合方式—件名標目の可能性の中心
件名標目とは、統制されたキーワード(統制語)です。個々の件名標目は、参考図書を参照してコトバの定義を把握し、類義語を一つのコトバへと収斂させ、コトバ同士の関係性(上位語、下位語、関連語)を明確にすることによって、意味の側面から統制されています。つまり、意味論(セマンティックス)レベルで統制されていると言えるでしょう。
意味論レベルでの統制は、シソーラスでも行われていることです。しかしながら、件名標目はこれとは別の側面でも統制されており、まさにその点こそが、件名標目と他の語彙集やシソーラスとの差異を際立たせる最も肝心なところ、いわば件名標目の「可能性の中心」ともいえるものかもしれません。今回はその点を中心にお話しします。
書誌データ探検の件名編第1回目に挙げた例、国立国会図書館蔵書検索・申込システム(NDL-OPAC)の「件名検索」の画面で「アフガニスタン」とキーワードを入力した結果をもう一度ご覧ください。

「アフガニスタン--遺跡・遺物」、「アフガニスタン--政治」など、入力した「アフガニスタン」の後ろにいろいろなコトバが結びついて現れます。
もう一つ例を挙げてみましょう。同じ「件名検索」画面で「シミュレーション」と入力して検索してみます。

「気候変化--シミュレーション」「新型インフルエンザ--シミュレーション」「シミュレーション--会議録」のように、やはり検索した「シミュレーション」の前後にさまざまなコトバが結びついています。
このように、件名標目は、標目を付与する時点で用語同士をあらかじめ結びつけて主題を表現します。これを「事前結合方式」といいます。そして、この用語同士の結びつけ方は恣意的なものではなく、一定の順序に従うように結合規則の側面から統制されています。すなわち、件名標目は、意味論レベルだけではなく統語論(シンタックス)レベルでも統制されているのです。
資料に出現するテーマは、「物理学」「クラウドコンピューティング」といった単一の主題ばかりではなく、しばしば複数の側面が絡み合っている場合があります。たとえば、「青森県におけるリンゴの栽培の歴史年表」といったような場合です。ここには、「青森県」という地域、「リンゴ」という物、「栽培」という行為、「年表」という資料形式が含まれています。統語論レベルで統制された事前結合方式によって、件名標目では、こうした主題の多面性も表現することができます。
先頭の主題(主標目)の後に結びつく用語を特に「細目」と呼びます。この細目を駆使することによって、件名標目では主題のさまざまな側面を表現することができます。細目は、(1)主題の副次的な観点を表す「主題細目」、(2)主題の地域性を明示する「地名細目」、(3)主題の時代を表す「時代細目」、(4)辞書、年表、名簿など資料のタイプを示す「形式細目」、に大別できます。
細目の基本的な順序は次のとおりです。
- [主標目] -- [主題細目] -- [地名細目] -- [時代細目] -- [形式細目]
たとえば、「日本中世の自然災害史の年表」という主題は、国立国会図書館件名標目表(NDLSH)では、
- [自然災害] -- [日本] -- [歴史 -- 中世] -- [年表]
と表現します。もし仮に、扱われている時代が中世ではなく江戸時代であれば、 [中世] の部分を [江戸時代] へと、地域がヨーロッパであるなら、 [日本] を [ヨーロッパ] へと、用語を入れ換えればよいのです。つまり、結合規則を守った上であれば、主題を柔軟に表現できる仕組みになっているのです。「青森県におけるリンゴの栽培の歴史年表」であれば、
- [リンゴ] -- [栽培] -- [青森県] -- [歴史] -- [年表]
となります。
なお、歴史学、地理学および社会科学の一部の分野では、地域性が優先されて、次の順序になります。
- [地名] -- [主題細目] -- [時代細目] -- [形式細目]
たとえば、先にあげたアフガニスタンを例にとれば、アフガニスタンの政治は、
- [アフガニスタン] -- [政治]
さらに、19世紀のアフガニスタンの政治史なら、
- [アフガニスタン] -- [政治] -- [歴史] -- [19世紀]
と表現します。
ちなみに、「シミュレーション」を例にとると、「シミュレーション」という用語はそれ自体で単独の件名標目としても使えますし、「気候変化--シミュレーション」「新型インフルエンザ--シミュレーション」などの例のように、主題細目として他の標目に結びつけることもできます。この [主題] -- [主題細目]という結びつきについては、おおむね[事物・具象] -- [過程・行為] という順序に則しています。
こうした細目の結合順序は、ランガナタン(S.R. Ranganathan)やカイザー(Julius O. Kaiser)らのファセット分類法、またそれらを発展させたイギリスのCRG(Classification Research Group)による標準列挙順序を、簡略化し、適用したものです。
結合順序について、利用者は検索する際に必ずしも事前に知っておく必要はありません。たとえば、「遺跡・遺物」というキーワードは、検索時にはなかなか思いつかないかもしれません。けれども、NDL-OPACの件名検索で、とりあえず「アフガニスタン」と入力してみれば、事前には思いつかなかった「アフガニスタン--遺跡・遺物」という用語の結びつきへとナビゲートしてくれます。あるいは、ひとたび「シミュレーション」と検索すれば、さまざま事柄についてのシミュレーションを表すキーワードへとナビゲートしてくれます。
細目を結びつけていく事前結合方式は、一定のルールに則したコトバの連なりの中で、主題の多面性を柔軟に表現することができます。事前結合方式はまた、主題によってアプローチしたい利用者を、膨大な資料の中で、より的確な方向へと導く仕組みでもあり、そこにこそ件名標目の可能性の中心があるといえるのではないでしょうか。
大柴 忠彦
(おおしば ただひこ 収集書誌部国内資料課)
掲載情報紹介
2009年 10月16日〜2009年12月25日に、国立国会図書館ホームページに掲載した書誌情報に関するコンテンツをご紹介します。
・NCR適用細則 「日本目録規則1987年版改訂3版 第II部 標目」適用細則を掲載
標目適用細則を「日本目録規則1987年版改訂3版」に対応したものへ改訂しました。
(掲載日:11月10日)
・データベースフォーラム NDL-OPACに関するプレゼンテーションの資料を掲載
2009年10月29日に開催した「国立国会図書館(NDL)データベースフォーラム−確かな情報へのナビゲーター−」において行った、NDL-OPACに関するプレゼンテーション「<第2部>本や雑誌を探す−どんなものでも、どこにあっても−」のスライドを掲載しました。
(掲載日:11月27日)
・書誌調整 ISSN登録国内刊行オンラインジャーナル書誌データを更新
前号の記事おしらせ:国内刊行のISSN登録済オンラインジャーナルリストが利用可能にでご紹介しましたISSN登録済オンラインジャーナルリストを更新しました。
(掲載日:11月4日)
・OPAC アジア言語OPACへタイ語図書書誌データを追加
2009年7月1日(水)、アジア言語OPACにタイ語図書の書誌データを追加しました。詳細については、「アジア情報室通報 第7巻第3号」をご覧ください。
(掲載日:10月16日)
・分類・件名 国立国会図書館件名標目表(NDLSH)2008年度版追録(2009年9〜11月)
2009年9〜11月に更新した件名標目のリストです。各月に新設した件名には以下のものがあります。
2009年9月:「アジール」「環境対応車」「メディカルツーリズム」など
(掲載日:10月19日)
2009年10月:「社会的排除」「水盤舎」「弁当箱」など
(掲載日:11月16日)
2009年11月:「インターネット依存症」「学校統廃合」「振り込め詐欺」など
(掲載日:12月11日)
・分類・件名 国立国会図書館分類表(NDLC)V表を更新
分類表の一部改正にともない、V表を更新しました。
(掲載日:10月27日)
・雑誌記事索引 更新:雑誌記事索引採録誌一覧(12月更新分)
当館が作成している雑誌記事索引に、現在記事を採録中もしくは過去に採録したことのある雑誌の一覧です。2009年12月10日現在の採録誌総数は19,372誌で、そのうち、現在採録中のものは10,157誌、廃刊・採録中止となったものは9,215誌です。
(掲載日:12月21日)
編集後記
今年も残すところあと数日となりました。この一年も国内外の動向を中心にさまざまな情報をお知らせしてまいりましたが、どのような記事にご興味を持たれたでしょうか。
書誌の世界も時代に合わせてさまざまに動いています。来年も書誌に関する情報をわかりやすくお伝えしていくよう、編集委員一同いっそう努力していくつもりです。読者のみなさまからの、ご意見、ご要望もお待ちしていますので、是非お寄せください。
今後ともご愛読のほどどうぞよろしくお願いいたします。
(三日月)
NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)
2009年4号(通号11号)2009年12月25日発行
編集・発行 国立国会図書館収集書誌部収集・書誌調整課
〒100-8924 東京都千代田区永田町1-10-1
E-mail: bib-news@ndl.go.jp (ニュースレター編集担当)

