NDL書誌情報ニュースレター
ISSN 1882-0468
2009年1号(通号8号) 2009年3月31日掲載 [PDF版 1.03MB]
目次
- 本号の紹介
- おしらせ 国内刊行図書の新しい整理業務体制がスタートしました
- おしらせ NDL-OPACの書誌データをダウンロードできるようになりました
- おしらせ 雑誌記事索引の遡及入力が終了しました
- 動向 公開講演会「目録の現在とこれから−“目録の危機”の時代からの展望−」開催報告
- 統計 2008年の書誌データ統計
- コラム 書誌データ探検 人名の標目―「著者標目」vs.「人名件名標目」編
- 掲載情報紹介
- 公開講演会 「目録の現在とこれから―“目録の危機”の時代からの展望―」の配布資料を掲載
- 書誌調整 平成20年度書誌調整連絡会議の会議報告を掲載
- NCR適用細則 国立国会図書館「日本目録規則 1987年版 改訂3版 第2章 図書」適用細則
- 海外の動向 国際目録原則覚書の日本語訳を掲載
- 海外への広報 デジタル時代の書誌情報−目録の10年(英語版)
- 分類・件名 更新:国立国会図書館分類表(NDLC)
- 分類・件名 国立国会図書館件名標目表(NDLSH)2007年度版追録(2008年12月,2009年1月,2月)
- 雑誌記事索引 更新:雑誌記事索引採録誌一覧(2009年3月)
- 編集後記
本号の紹介
2009年1号は、平成20年度の最後の号として、この1,2年書誌データに関連して手がけてきた取組みの成果をいくつか、「おしらせ」に掲載することができました。成果といっても、実際に効果があがったか、どのように利用されたかが重要だと考えると、道なかばといったところです。もし、ダウンロード機能などNDL-OPACの一連の機能追加等について、何か気がついたこと、ご意見等ありましたら、編集担当のメールアドレスまでぜひご一報ください。
また、初めての試みとして開催した講演会「目録の現在とこれから」の模様も記事として掲載しました。講演会の中でも紹介された、「国際目録原則覚書」は、この2009年2月に完成版が公表されました。世界的な目録規則の指針として、2003年から検討されてきたものです。日本語訳についても、IFLAのサイトに引き続き、国立国会図書館ホームページに掲載しました。
今、書誌データ、目録の世界にはさまざまな動きがあります。目録についてどのように考えていくか、これからも関心を共有していきましょう。
おしらせ
国内刊行図書の新しい整理業務体制がスタートしました
2008年3号の記事「国内刊行図書の整理業務の再編と書誌データの作成方法の変更」でお知らせしたとおり、業務の一層の効率化を図るために、国内刊行図書の収集・整理業務の再編準備を進めてまいりました。このたび、予定どおり業務移行の準備作業とシステム改修作業を完了し、2009年1月から新業務体制の下での業務を開始しました。新しい業務では、一部の資料の書誌データ作成に民間MARCを活用しています。
これに伴い、書誌データ作成基準(日本目録規則適用細則など)を改訂し、2009年1月受入分の資料から全面的に適用を開始しました。また、2009年4月からは、他MARC番号を収めるフィールド等を追加した「JAPAN/MARCフォーマット(2009フォーマット)」によるデータ頒布を開始します。詳細については、以下でご覧いただけます。
<公開済および適用開始済>
- タイトル・著者標目・件名標目・出版者の読みの付与基準(2008年4月以降)
- 読みのカナ表記実例集(2008年4月以降)
- 読みにおける記号・アラビア数字・アルファベットの扱い(2008年4月以降)
- 分かち書き基準(2008年4月以降)
- JAPAN/MARCのアクセス・ポイントのカナ形サブフィールドにおけるカナ表記要領(2008年4月以降)
- 「『日本目録規則 1987年版 改訂3版』第2章 図書」適用細則
<公開済、2009年4月適用開始予定>
- JAPAN/MARCフォーマット(2009フォーマット)[PDF File 39KB]
(収集書誌部)
おしらせ
NDL-OPACの書誌データをダウンロードできるようになりました
2009年2月24日から、インターネットで提供しているNDL-OPACのすべての書誌データ(一般資料、雑誌記事索引、規格・リポート類、点字・録音図書全国総合目録の書誌データ)をダウンロードできるようになりました。ご利用の際に、利用者登録等の手続きは必要ありません。
利用方法を簡単にご説明します。NDL-OPAC検索結果の、一覧表示画面右上に表示されるダウンロードボタンをクリックします。すると、画面に表示されている書誌データをタブ区切り形式(tsv)でダウンロードできます。1回につき最大200件までダウンロードが可能です。対象項目や注意事項等の詳細は、書誌データQ&Aと利用の手引きでご確認いただけます。
ダウンロードできる書誌データのサンプルは以下のとおりです。
サンプルデータ [TSV File 28KB]
NDL-OPACに新しく加わったダウンロード機能を、ぜひご活用ください。

(収集・書誌調整課)
おしらせ
雑誌記事索引の遡及入力が終了しました
平成16年度より着手しました『雑誌記事索引 科学技術編(15巻までは自然科学編)』遡及入力作業は、平成20年度に約27万件の雑誌記事データの入力を終え、全件の入力を完了しました。
遡及入力開始以来、1950年〜1974年までの約121万件の雑誌記事データを入力してきましたが、2009年3月より、それらをNDL-OPACでご利用できるようになりました。
これで、すでに平成11年度に遡及入力作業を完了した『雑誌記事索引 人文・社会編(17巻までは人文科学編)』に加え、すべての冊子体『雑誌記事索引』のデータがNDL-OPACで検索可能となりました。調査・研究にどうぞお役立てください。
(逐次刊行物・特別資料課索引係)
動向
公開講演会「目録の現在とこれから−“目録の危機”の時代からの展望−」開催報告
国立国会図書館(NDL)は、2009年2月5日に、「目録の現在とこれから−“目録の危機”の時代からの展望−」と題した講演会を開催しました。GoogleやAmazonなどに比べて古臭いと言われ、合理化が進められるなど「肩身が狭くなっている」とされている目録が、今後どのように変わっていくべきか、研究者や現場の視点から幅広くアプローチしようという趣旨から、このテーマを設定しました。3名の講師による講演、質疑応答という、3時間半にわたる講演会は、NDLからの参加も含めて約260名もの参加があり、大変盛況でした。

会場風景
以下、講演会の概要をお知らせします。
「目録の動向、位置づけおよび展望」
上田修一氏(慶應義塾大学文学部教授)

歴史的に見て、目録はオンライン化によって劇的に利用が増えた。また、資料請求や複写申し込みも行えるNDL-OPACのように、書誌を検索する機能だけではなく、個別資料の管理や、図書館利用者の支援の役割も持つようになった。
最近は、以下の3項目に注目が集まっている。
1.目録規則をどうするか
FRBR(Functional Requirements for Bibliographic Records: 書誌レコードの機能要件)[PDF File 1.4MB]、RDA(Resource Description and Access)といった次世代の目録規則に、日本目録規則(NCR)はどう対応していくべきか。
2.目録をどのように作成するか
目録に関する専門知識を持つ人材が減少する中で、集中目録作業・分担目録作業など、どのような体制が望ましいか。また、目録作業の外部化が進んでいることについての利点と問題点をどのように考えるのか。
3.目録をどのように提供するか
レレバンス(適合度)順出力や入力支援機能など、より利用しやすい次世代OPACはどのようなものになるのか。
また、日本の目録作成環境が、世界の潮流と異なることを忘れてはならない。世界標準と異なる独自の目録規則の使用、日本独自の書誌ユーティリティの存在や民間MARCの存在など、日本独特の目録作成環境がある。目録規則の変化を日本ではどのレベルで受け止めるかが問題となろう。
そして、「目録の危機」として最大のものであるウェブの問題もある。ウェブ情報を本と同じように収集し、その目録を作成することは無理であろう。しかし、サーチエンジンでは探せない資料を対象とし、サーチエンジンとは異なる探索のできる目録には、まだ使命は残っていると思われる。
「新しい目録の考え方−FRBR、RDAを中心に」
渡邊隆弘氏(帝塚山学院大学人間文化学部准教授)

現在の目録法は1960年代までにほぼ確立したが、近年、こうした目録法では対応できない部分が出てきたため、抜本的な改訂が求められるようになった。たとえば、「著作」と「版」という枠組みで資料をとらえてきたが、デジタル化などによって「コンテンツ(内容的側面)」と「キャリア(物理的側面)」の両側面が複雑にからみあうようになり、利用者が何を求めているのかをふまえた見直しが求められている。
新時代の目録法の基盤となるのはFRBRモデルである。目録が対象とする世界を概念モデル化したFRBRは、「表現形」という新しい概念を設定してさまざまな「版」のあり方に対応したことをはじめ、いくつかの特徴を持っている。
RDA(AACR2の全面改訂)もFRBRに寄り添ったもので、(1)典拠データとデータ間関連の重視、(2)意味的側面への特化(構文的側面を規定しない)、(3)資料の物理的側面と内容的側面の整理、(4)エレメントの増強と機械可読性の向上、(5)メタデータとしての相互運用性への努力(DCAM(DCMI Abstract Model: ダブリン・コア抽象モデル)などのデータモデルの要素を意識)といった特徴がある。構文的側面を定めないRDAは運用に幅があり、今後の実装の動向が注目される。日本でもNCRの改訂が求められるが、書誌構造などRDAとは異なった要素をどのように扱うかが課題となる。
「これからの目録へのアプローチ−国立国会図書館の事例を中心に」
中井万知子(国立国会図書館収集書誌部司書監)

NDLは、「納本制度に基づく資料の網羅的収集と全国書誌の作成」、「印刷カード目録の頒布による目録の標準化・共有化」、「総合目録の作成」という役割を創設時から持ち、「書誌データ作成・提供機関」と自己規定してきた。その書誌コントロールのモデルは、書誌データの普及度という点で課題を抱えてきた。しかし、インターネットによる新しい情報環境の中で、NDLの目録も変化してきている。2000年3月にWeb-OPACを公開して以来、後継のNDL-OPACも少しずつ改修を進め、ユーザの広がりに対応してきた。しかしその中で、NDL内に多数あるデータベース間のつながりが乏しいことや、「使いやすさ」といった課題が出てきている。
NDLでは、「国立国会図書館の書誌データの作成・提供の方針(2008)」[PDF File 55KB]を2008年3月に策定し、目録に関する今後の業務やサービスの方向性を定めた。「利用価値のあるデータを、いかに開放的に、新しい方法で提供できるか」、「NDLのデータベース、OPACや総合目録を、いかに一元的に検索できるようにするか」といった点をふまえ、出版・流通・図書館・学術機関などの諸機関と協力しながら、新しい「書誌コントロール」の将来モデルを作っていきたいと思っている。
続いて、会場から出た質問に対し、講演者が回答しました。以下2点紹介します。

質疑応答風景
Q. 「危機」の時代にあって目録関係者(目録データ作成者、目録教育者、基準作成者)は、まず何をすべきか?
A. 目録作成者は、データは使われるためにあることを意識し、データの見せ方を工夫し、どのようなデータが必要かを議論すべきである。また、様々な意見を取り入れ、なんでもやってみることである。
目録教育については、司書資格を持ち図書館に就職しても、目録を作成する機会のない現状である。それをふまえた教育を行っていく必要がある。
基準を作成する立場からは、FRBR、RDAなどの新しい考え方をいかにシンプルに活用するかがポイントであると考える。米国のようにRDAが批判される土壌が望ましく、日本でも日本目録規則の改訂時には議論が行われた。今回の講演会は盛況であり、今後に期待を持ちたい。
Q. 入力作業の単純化が不可避な中で、複雑な目録規則を作ることは、その規則の浸透を遅らせるだけではないか?
A. その規則に基づいた目録がどこかで作成されればよい。集中目録、分担目録で対処していくことになろう。
講演会終了後のアンケートでは、「FRBR、RDAなど最新の状況について知ることができてよかった」「目録に関してこれからの課題があることはわかったが、具体的な今後の方向性はまだ見えてこない」「専門的かつ高度な内容であったが、大変勉強になった」などの感想が寄せられ、参加者の80%以上の方から概ね好意的な感想をいただきました。
講演会のプログラム、配布資料は、以下のページでご覧いただけます。
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/1186919_1368.html
(収集書誌部)
統計
2008年の書誌データ統計
日本全国書誌、JAPAN/MARCに、2008年1年間に収録した書誌データの件数、および過去5年間の推移を統計としてまとめました。また、2008年12月末現在、NDL-OPACに収録している書誌データの累計(全体の件数)も表にしました。
1. 日本全国書誌
国内で出版された刊行物の目録として、年50回ホームページにHTMLテキスト形式で掲載しています。国立国会図書館が納本制度等によって新規に収集し、整理した国内出版物を収録対象としています。
| 収録総件数 | 158,621 | ||
| 1号平均 | 3,172 | ||
| 1〜50号 部編別内訳 | |||
|---|---|---|---|
| 図書の部 | 123,963 | 逐次刊行物の部 | 3,369 |
| 官公庁出版物 | 13,558 | 視覚障害者用資料の部 | 247 |
| 民間出版物 | 81,823 | 電子出版物の部 | 4,679 |
| 児童図書 | 5,779 | 地図の部 | 3,786 |
| 国内刊行欧文図書 | 1,726 | 音楽録音・映像資料の部 | 22,520 |
| その他の図書 | 20,689 | 国内刊行アジア言語資料の部 | 57 |
| 非図書資料 | 388 | ||

*過去5年間の日本全国書誌収録件数のグラフは以下に掲載しています。
2. JAPAN/MARC(J/M)
書誌データをMARC(機械可読目録)フォーマットによって頒布しているものです(媒体はCD-R)。購入機関が、それぞれのデータベースに登録し、利用することができます。国内刊行図書および非図書資料は、JAPAN/MARC(M)として年50回更新、国内刊行逐次刊行物は、JAPAN/MARC(S)として年2回更新しています。日本全国書誌に収録した書誌データに加えて、遡及入力した国内刊行物の書誌データも一部収録対象としています。
また、著者名典拠データをJAPAN/MARC(A)として年2回更新しています。
* 遡及入力とは、紙媒体のカード等によって作成されていた目録を、コンピュータに入力することを指します。JAPAN/MARCの年間の収録件数は、日本全国書誌の年間の収録件数だけでなく、その年の遡及入力の実施状況によっても変動します。
| 収録総件数 | 173,264 |
| 1号平均 | 3,465 |
| JP番号 | 21338393〜21511720 |
| 累積総件数 | 138,516 |
| 累積総件数 | 851,925 |


3. NDL-OPAC(国立国会図書館蔵書検索・申込システム)
国立国会図書館の蔵書検索システムとして、日本全国書誌、JAPAN/MARCに収録した書誌データだけでなく、国内の博士論文、文部科学省科研費報告書、各種洋資料の書誌データ等も収録しています。日本全国書誌に収録した書誌データは、和図書の場合は約1週間後にNDL-OPACに反映されます。
*NDL-OPACへの反映を、日本全国書誌2009年3号掲載分より約2週間から約1週間に短縮しました。
| データ種別 | 更新頻度 | 件数 | ||
|---|---|---|---|---|
| 書誌(雑誌記事索引を含む) | 書誌 | 和図書 | 週次 | 3,724,173 |
| 洋図書 | 週次 | 1,141,794 | ||
| 和雑誌新聞 | 週次 | 138,161 | ||
| 洋雑誌新聞 | 週次 | 57,433 | ||
| 電子資料 | 週次 | 34,318 | ||
| 和古書・漢籍 | 週次 | 66,794 | ||
| 博士論文 | 月次 | 513,845 | ||
| 地図 | 週次 | 188,855 | ||
| 音楽録音・映像資料 | 週次 | 550,452 | ||
| 蘆原コレクション | 月次 | 67,719 | ||
| 規格・テクニカルリポート類 | 月次 | 2,428,180 | ||
| 点字図書・録音図書全国総合目録 | 月次 | 413,799 | ||
| 日本占領関係資料 * | 月次 | 290,137 | ||
| プランゲ文庫 * | 月次 | 32,227 | ||
| 小計(件) | 9,647,887 | |||
| (うち、インターネット提供(件)) | 9,325,523 | |||
| 雑誌記事索引 | 週次 | 8,887,598 | ||
| 計(件) | 18,535,485 | |||
| (うち、インターネット提供(件)) | 18,213,121 | |||
| 典拠 | 著者名 | 個人名 | 週次 | 691,817 |
| 団体名 | 週次 | 160,105 | ||
| 小計(件) | 851,922 | |||
| 件名 | 個人名 | 週次 | 35,924 | |
| 団体名・地名 | 週次 | 44,201 | ||
| 家族名 | 週次 | 2,010 | ||
| 統一タイトル | 週次 | 3,350 | ||
| 普通件名 | 週次 | 89,500 | ||
| 小計(件) | 174,985 | |||
| 計(件) | 1,026,907 | |||
注:*項目は館内公開のみ。インターネット提供計は、これらの項目を除いた合計。
(収集・書誌調整課書誌サービス係)
コラム 書誌データ探検
人名の標目―「著者標目」vs.「人名件名標目」編
人名の標目について、今回は「人名件名標目」を探検してみましょう。「著者標目」が、その資料を作り出した著者や編者の名称を検索の手がかりにするものならば、「人名件名標目」(以下、「人名件名」と省略します)は、その資料がテーマ(主題)とする人物の名称を検索の手がかりとする標目です。個人の伝記や人となりを教えてくれる資料を探すには、大変役に立つ情報です。
明治期に刊行された和図書の書誌データにも、件名として人名件名だけは付与されています。電子図書館システム「近代デジタルライブラリー」の「詳しく検索」画面には、「人名件名辞書」というボタンがあり、あいうえお順で人名件名を選択することができます。明治以前の偉人(だけではないですが)の伝記が、これで簡単に探せます。原文も画像でそのまま読むことができますので、ぜひお試しください。
と、宣伝はこれくらいにして、本題に入ります。
今は昔、国立国会図書館には、「和の流れ」というものがありました。川上の受け入れから、整理業務を経て、最後に書庫に流れ込んでいく和図書の収集・整理業務のフローを、そう言い習わしていたのです。整理業務の流域には、著者標目を付与する著者書名の係、その川下で分類記号と件名標目の付与を担当する分類件名の係など、いくつもの係がありました。人名件名については、分類件名の係が付与を担当していましたが、同じ人物の名称を標目として料理しているものの、著者としての人名、主題としての人名の味付けには若干違いがあったのです。
現象面としては、次のようなことがありました。
- 著者標目よりも人名件名のほうに、生没年などの付記事項が多かった。
- 国立国会図書館が、和図書の目録規則として「日本目録規則 新版予備版」を適用し、著者標目が「人格」主義(前号の「コラム 書誌データ探検 人名の標目―「個人vs.「人格」編」をご参照ください)に移行した後でも、人名件名は、ある個人に対して統一した標目を用いる「個人」主義を守っていた。
- 必然的に、著者標目と人名件名に対して、別々の典拠ファイル(当時はカード)を維持していた。
確かに、本を書いた著者と、その本の主題として書かれている人物では性格が異なるといえます。著者名は、その名称によって、それぞれの著者がきちんと識別できることが先決ですが、主題として扱われる人名は、「その人」に関する資料を探し出そうとする利用者にとって役立つような情報であってほしい、そのため、いくつもの名称を持つ人物に対しても統一した標目を用いる、標目に対する情報をなるべく豊富にする、といった「こだわり」が人名件名に反映されていたのです。
とはいうものの、「和の流れ」にもオンライン化の波が押し寄せてきました。その中で著者標目の典拠ファイルと人名件名の典拠ファイルが、一つの典拠データベースとして統合される日が来ました。1997年から1998年に行われた統合作業によって、著者名典拠と人名件名典拠の突き合わせが行われ、違いを乗り越えて、著者標目にも人名件名にも同じ標目が用いられるようになりました。また、目録データベースの書誌データの標目と、典拠レコードとのリンクづけが行われ、これまで付与された標目も、統合された典拠による標目にすべて置き換えられました。
ただし、やはりその性格の違いから、著者標目と人名件名のつけ方には少し異なるところがあります。例をご覧ください。
https://ndlopac.ndl.go.jp/recordid/000002925180/jpn

この資料は、元横綱若乃花の花田勝氏が引退にあたって執筆した自伝的著作です。著者標目は記述の責任表示と同じく「花田, 勝(1971-)」としていますが、人名件名は「若乃花, 勝(1971-)」を付与しています。この資料の内容が、関取時代の経験を中心にしているからです。このように、時系列で異なる名称を使っている人物については、人名件名として最新の名称を選択するか、それが適切でなければ別の名称を選択しています。もし、実業家としての花田勝氏を主題とする本が出版されたならば、人名件名は「花田, 勝(1971-)」となると思われます。
なお、前回のコラムで紹介したとおり、NDL-OPACでは、同一人物が複数の名称を使い分けている場合、標目の「をも見よ」参照に他の標目として使用されている名称が表示されます。「をも見よ」参照をクリックすることによって、その名称で再検索できます。しかし、著者標目としては使用されたことがあるが、人名件名として使用されたことがない名称も、やはり「をも見よ」参照として表示されます。そのため、クリックしてもヒットしない「をも見よ」参照がかなりあります。この例の場合、人名件名の下にある「花田, 勝(1971-)」をクリックしても、「見つかりませんでした」と表示されてしまいます。これは、典拠の統合によって著者標目と人名件名が同じ典拠レコードを使用しているものの、NDL-OPACが、人名件名で使用実績のある「をも見よ」参照だけを表示するといったことに対応していないからです。わかりにくいかもしれませんので、どうぞご注意ください。
さて、今「和の流れ」がどうなっているかというと。本号のおしらせに掲載した「国内刊行図書の整理業務の再編」の結果、今まで著者標目と人名件名を付与してきた係は統合し、一つの係で両方をこなすようになりました。「和の流れ」というよりは「和のかたまり」へ?「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」(著者標目:鴨, 長明(1153-1216))といったところで、古老による昔話はこれでおしまいといたします。
(NDL書誌情報ニュースレター標目探偵団)
掲載情報紹介
2008年12月25日〜2009年3月31日に国立国会図書館ホームページに掲載した書誌情報に関するコンテンツをご紹介します。
・公開講演会 「目録の現在とこれから―“目録の危機”の時代からの展望―」の配布資料を掲載
2009年2月5日に開催しました公開講演会「目録の現在とこれから」の配布資料を掲載しました。講演会の内容については、今号の動向記事「公開講演会「目録の現在とこれから−“目録の危機”の時代からの展望−」開催報告」をご覧ください。
(掲載日:2月10日)
・書誌調整 平成20年度書誌調整連絡会議の会議報告を掲載
2008年11月28日(金)に当館で行った「平成20年度書誌調整連絡会議」の概要を紹介した会議報告を掲載しました。今回は「書誌データの作成・提供の方針:次のステップへ」をテーマとして意見交換を行ったほか、書誌データに関する当館および国内外の取組みの報告を行いました。
なお、会議の詳細を記録した記録集についても、近日中に掲載する予定です。
(掲載日:3月11日)
・NCR適用細則 国立国会図書館「日本目録規則 1987年版 改訂3版 第2章 図書」適用細則
本号記事「国内刊行図書の新しい整理業務体制がスタートしました」でお知らせしたとおり、国内刊行図書業務の再編に伴い、適用細則を改訂しました。「『日本目録規則 1987年版 改訂2版』第2章 図書」和図書適用細則および「『日本目録規則 1987年版 改訂2版』第2章 図書」国内刊行洋図書適用細則を廃止し、新たに「『日本目録規則 1987年版 改訂3版』第2章 図書」適用細則を掲載しました。2009年1月から既に適用を開始しています。
(掲載日:3月31日)
・海外の動向 国際目録原則覚書の日本語訳を掲載
2009年2月に発表された、新しい「国際目録原則覚書」の日本語訳を掲載しました。
(掲載日:3月17日)
・海外への広報 デジタル時代の書誌情報−目録の10年(英語版)
National Diet Library Newsletter No.165(February 2009)に、国立国会図書館月報(2008年11月号)[PDF File 5.38MB]に掲載した「デジタル時代の書誌情報−目録の10年」の英語版を掲載しました。
(掲載日:3月23日)
・分類・件名 更新:国立国会図書館分類表(NDLC)
Y表(児童図書・簡易整理資料・教科書・専門資料室資料・特殊資料)の一部を改正しました。
(掲載日:1月20日)
・分類・件名 国立国会図書館件名標目表(NDLSH)2007年度版追録(2008年12月,2009年1月,2月)
2008年12月,2009年1月,2月に更新した件名標目のリストです。各月に新設した件名には以下のものがあります。
2008年12月:「新型インフルエンザ」、「ひとり暮らし高齢者」、「むずむず脚症候群」など
(掲載日:1月13日)
2009年1月:「おもちゃ図書館」、「分煙」、「変額個人年金保険」など
(掲載日:2月13日)
2009年2月:「イカ釣漁業」、「総合格闘技」、「ホームシアター」など
(掲載日:3月11日)
・雑誌記事索引 更新:雑誌記事索引採録誌一覧(3月更新分)
当館が作成している雑誌記事索引に、現在記事を採録中もしくは過去に採録したことのある雑誌の一覧です。2009年3月16日現在の採録誌総数は19,059誌で、その内、現在採録中のものは10,189誌、廃刊・採録中止となったものは8,870誌です。
(掲載日:3月19日)
編集後記
前号では書誌調整連絡会議、今号では講演会と、書誌の世界が現在どのような状況にあるのかについてお知らせする記事が続きました。図書館員以外の人には、「ただ資料にあるがままに採れば良い」と簡単に思われがちな「目録の採り方を考える仕事」ですが、これらの報告にあるように、一筋縄では行かない、難しい課題がいくつもあります。今後の書誌のあり方がなかなか見えない状況ですが、これからも、書誌の世界の最新動向をお伝えできればと思います。
なお、書誌調整連絡会議の模様については、『国立国会図書館月報』(2009年3月号)でも取り上げています。4月上旬には、PDF版を当館ホームページ上に掲載する予定です。あわせてご覧ください。
(皇帝人鳥)
NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)
2009年1号(通号8号)2009年3月31日発行
編集・発行 国立国会図書館収集書誌部収集・書誌調整課
〒100-8924 東京都千代田区永田町1-10-1
E-mail: bib-news@ndl.go.jp (ニュースレター編集担当)


