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書誌データの基本方針と書誌調整:書誌調整連絡会議

第4回書誌調整連絡会議報告

 平成15年11月21日(金)、国立国会図書館(東京本館)において、「第4回書誌調整連絡会議」を開催しました。この会議は、書誌データの作成および提供に関する諸事項について関係機関と協議を行い、国内の書誌調整および書誌データの標準化を図ることを目的とするものです。
 今回はテーマを「名称典拠のコントロール」とし、次の2点を中心に協議を行いました。

  1. 国内の主要な書誌作成機関の典拠コントロールの状況を明確化し、問題点を共有する
  2. 国立国会図書館を中心とした「国の典拠ファイル」の共同作成と、共有のための方法を検討する

  以下に、主な内容をご紹介します。

<講演> 典拠コントロールに対する需要――CJKワークショップの意義(要旨)

内藤衛亮(東洋大学教授)

 国立情報学研究所が、平成13年から14年にかけて3回開催した「日本語、中国語、韓国語の名前典拠」ワークショップの背景には、インターネット時代に対応した国際的な著者名データベースの必要性があった。当初の目的である共通フォーマットは未完だが、担当者レベルでの情報交換ができた。
 情報社会の進展のためには、人名(著者名、主題としての人名など)を総覧するナショナルなサービス、小学生から新聞記者までが参照する人名サービスがあってよい。ここに、国立国会図書館が作成・維持する著者名データベースと典拠コントロールの意義がある。
 国立国会図書館に対しては、次の3点を提言したい。
1.アクセス・ポイント・コントロールのビジネスモデルの確立
 UBC(世界書誌調整)の基盤はNBC(国家書誌調整)である。アクセス・ポイント・コントロールをそのように位置づけた上でビジネスモデルとしてとらえるべきである。
2.担当者の養成
 定常的に交流を支え、次世代人材の開発を国家政策的な方向付けのもとに展開することが必要である。
3.モニタリングの強化
 IFLAや欧米、近隣諸国の動向について、担当者レベルでの情報収集が必要である。まず国立国会図書館が国内的・国際的な目と耳と口を持つことが喫緊の課題である。

<講演> 共同典拠コントロール・システムの考え方(要旨)

宮澤彰(国立情報学研究所研究主幹)

(1)典拠とデータモデル
 典拠と呼ばれているものをデータベースで表現するには、コード表現(例:国名コード表でJP=日本)とリンク表現(例:書誌レコードと典拠レコードをIDでつなぐ)とがあるが、両者に本質的な違いはない。ただし国名コード表などあまり変化しないスタティックなデータと、著者名典拠のように日々更新されるダイナミックなデータとでは、システム上全く別の手当が必要である。後者は、書誌レコードと共にデータベースの中でいつでも変更し一貫性を保持できなければならない。
 やや哲学的あるいは目録の構成上の問題としては、同一性の問題がある。たとえば「中島梓」と「栗本薫」、「科学技術振興事業団」と「科学技術振興機構」を同一レコードとするかという類の問題である。この問題は、標目形の確定より重大な問題である。同一性の定義を参加システム内で統一するかどうかはシステムの複雑さを大きく左右する。
(2)集中システムと分散システム
 分散システムは、参加機関数が多くなると参照のための手順が複雑になり、完全な同期が難しくなる。集中システムは、集中されたセンターにボトルネックができやすく、システムの動きが制限される。ただし、すべての機能をどちらかにしなければいけないわけではない。
(3)ヒューマン・インタラクション
 同じものや似たものをソフトウェア的に見つけるいわゆる名寄せの技術は、最近かなりの進歩を見せている。しかし、最終的に、十分な情報がない場合に何を調べるかの判断など、人間にしかできないことは必ず残る。
(4)国際的な展開
 VIAF(1)、LEAF(2)などの国際的な関係をはじめから視野に入れておくべきである。

(1) ヴァーチャル国際典拠ファイル(Virtual International Authority File)
「デジタル環境における目録作成 バーバラ・B.ティレット米国議会図書館目録政策・支援室長講演会報告」(『国立国会図書館月報』496号(2002年7月))を参照。
(2) Linking and Exploring Authority Files
ヨーロッパ各国の図書館等による名称典拠コントロールのプロジェクト。詳細は、http://www.crxnet.com/leaf/index.htmlを参照。(last access 2004/1/27)

<各機関の報告(概要)>

 当館のほか、国立情報学研究所、図書館流通センターと日販図書館サービスの民間2社、東京都立図書館、早稲田大学図書館、国文学研究資料館が、それぞれ各機関の典拠コントロールについて報告を行った。報告内容の概要は次のとおりである。

  • 準拠する目録規則はおおむね共通だが、適用細則レベルで違いが見られる
  • 二重典拠の発生防止、同名異人・同名異団体の同定識別、異体字の扱い等に神経を使っている
  • 民間機関は書誌データの週次提供を行っているため、書誌データと典拠データを同時に完成させるなどの時間的制約がある
  • 典拠コントロールの対象範囲拡大を検討中の機関もある

<討議>

 当館から次の2件の提起を行った後、提起の内容について意見交換を行った。

第4回書誌調整連絡会議

「国内名称典拠コントロールに関する考え方」の提起

那須雅熙(国立国会図書館)

 各機関からの報告により、典拠の作成状況が明らかになった。また、内藤教授からはナショナル典拠構築の意義について、宮澤研究主幹からは典拠の共同構築システムの考え方について示唆をいただいた。これらを受けて、日本全体で統一のとれた「国の典拠ファイル」の構築に関する当館の考え方を示す。
 目的は、(1)「国の典拠ファイル」の構築(典拠の集中化)、(2)典拠データの標準化(典拠の共同作成)、(3)国内外の書誌作成機関の支援、(4)データベース利用者の利便に資すること、(5)VIAFへの寄与である。
 実現のための枠組みやシステムは今後さらに検討が必要であるが、「国の典拠ファイル」を充実させる意味で多くの書誌作成機関に参加いただくこと、提供については一般公開すること(項目は限定)を想定している。
 将来の展望としては、メタデータなどオンライン情報資源の典拠コントロールや、国立国会図書館総合目録ネットワークとの連携、主題アクセスの高度化の実現等も視野に入れていく。なお、当館が図書のメディア変換に際して得た著作権者に関する情報との統合の可能性についても検討する。どれも重い課題であるが、電子図書館サービスの基盤整備のひとつと位置づけ、実現を図っていきたい。

「典拠データにおける個人情報の取扱いについて」の提起

坂本博(国立国会図書館)

 図書館では今日まで、目録における人名識別のために生年・没年を用いてきた。また、一般的に生年月日は、個人を特定する重要な情報とされている。しかしその一方で、昨今の情報環境の変化、プライバシーなど権利意識の普及に伴い、個人情報に対する国民の意識は高まっており社会的にも大きな関心が寄せられている。「国の典拠ファイル」において個人情報を扱う上でのポイントを、次にあげる。
(1)必要以上の個人情報は集めない、持たない、目的以外に使用させない。
(2)訂正要求は、本人の意向を尊重する。
(3)識別要素としての個人情報は、書誌情報としてのみ公開する。
(4)典拠作成協力機関に対し、守秘義務を課す。
(5)個人情報保護に充分留意した上で、情報提供組織(公共図書館、博物館等)の利用を考慮する。
(6)生年以外の識別情報(記号、番号、職業等)を検討する。

提起に対する意見交換

 提起の内容は、平成15年7月および10月の二度にわたって、会議の参加予定者と意見交換会を開催し、事前に得た意見を参考にして検討してきたものです。ここでは、本会議の意見交換に加え、事前にいただいたおもな意見と当館における当面の見解も含めてご紹介します。
(1)全体について
 「国の典拠ファイル」を当館が主体となって構築することについては、意義を認め、期待を寄せるとの意見が大勢を占めた。
 当館からの提起は、おおむね賛同を得られたものと考える。
(2)対象範囲について
 提起において、典拠コントロールの対象とする範囲を名称典拠とし、対象資料群を国内刊行の図書、将来的に他の資料群も含めることとした点については、妥当とする意見があった。
 また、当初は著者名の個人と団体に限定し地名は対象から外した方がやりやすいのではないかという指摘や、統一タイトルは是非対象にしてほしい、という要望もあった。
 当面は当館が提起した範囲・対象で事業の定着を目指すが、参加機関等の要望を踏まえて、段階的に範囲や対象を広げていくことになろう。
(3)国内名称典拠コントロールの枠組み
 当館は、初めから書誌作成機関の典拠をすべて統合するのではなく、国立情報学研究所やシェアの高い民間MARCなど効果的なところから始めて、順次参加機関を増やしていくことを考えている。しかし民間会社の立場からは、メリットがないと参加することが難しいという意見もあった。
 当館は、参加機関に対して参加に見合う成果を提供できるように努力しなければならない。
(4)システム構築
 データのやりとりに関しプロトコルも含めて考えるとよいという示唆や、当館の任務である「国の典拠ファイル」への登録承認のレスポンスは瞬時に近くなければ機能しないという意見があった。また、典拠参照機能だけでなく典拠にリンクした書誌を参照する機能等が必要であることは、複数の機関から指摘された。
 今後システム要件を検討する際の課題ととらえたい。
(5)典拠データ
 現在、各機関が別々に典拠データを作成・蓄積していることから、それを統合する際に想定される問題点が、数多く指摘された。主な問題点を挙げると、次のとおりである。

  • 規則・基準の統一が必要であり、典拠データを調整する手順が重要である。
  • 統合時の作業の困難が想定される。
  • 各機関が累積した典拠データの標目形は必ずしも統一されていないが、統合後のデータベースにも、各機関の独自の標目形を残しておくことが望ましい。
  • 標目以外の情報を含めた共通項目の検討が必要である。
  • 各機関が標目の訂正に伴い書誌データを訂正するのは、提供先への影響が大きく困難である。

 データの標準化とその実施方法については、慎重に検討する必要がある。
(6)将来展望
 著作権情報と統合する可能性については、著作権管理と典拠の作成・維持では目的が違うので、統合ではなく連携すべきではないかという意見があった。
 VIAF参加に向けた検討は、当館が国立図書館として責任をもって行うべきであるとの指摘があった。

会議を終えて――国内名称典拠コントロールの意義

 意見交換会と本会議を通じて、各機関の立場や状況に相違があること、実施に伴う問題点があること、そのため今後実施内容をさらに検討し具体化、詳細化する作業が必要であることが明らかになりました。参加者が共通の問題意識をもつことで、「国の典拠ファイル」構築に向けて一歩を踏み出すことができたものと確信しています。
 この事業が実現した暁には、次のような多くの成果が共有できるものと考えています。
 納本図書館であり全国書誌作成機関である当館において、典拠データが集中的に維持管理されることにより、国内名称典拠コントロールが実現します。これによりOPAC等の検索精度が高まれば、利用者にとって便利になるだけでなく、各種の図書館業務にも資することになります。また、網羅的かつ包括的な典拠データが利用できることで、資料群や媒体を越えた著作の横断的検索の条件も整います。参加する書誌作成機関では、労力を要する典拠作業の効率化が図られ、品質および信頼性の高い典拠の作成・維持管理が可能になります。
 ひいては統一的、標準的な日本人著者名等の名称が定着し、国民全体のコミュニケーションに資するのみならず、さらに、海外に向けて統一のとれた「国の典拠ファイル」を提供できれば、書誌情報の国際流通を促進し、日本文化に対する国際理解に資するという大きな成果も期待できます。

 会議後に、討議のコーディネーターを務めた内藤教授から、次のような主旨の見解が寄せられました。
 「国家書誌調整課題ひいては世界書誌調整課題である「国の典拠ファイル」の構築を巡って討議することができた。この事業は、本当に有意義な国家的、文化的大事業である。応用範囲も極めて広い。今回の会議では、各機関が細部では問題を指摘したが、大枠では事業の意義を認め、協力することを確認し合えたと思う。国立国会図書館の早期の事業化と強力なリーダーシップに期待したい。」
 この期待に沿えるように、当館としては、今後関係の方々と実質的な協議を継続し、当館における電子図書館の計画の進捗に合わせて実現を図っていく所存です。

 会議内容の詳細については、別途記録集を作成し刊行する予定です。今後とも、当館の書誌サービスや国内の書誌調整のあり方について、ご意見・ご協力をお願い申し上げます。

第4回書誌調整連絡会議 参加者(関連諸機関および研究者10名、当館職員6名)
阿部真弓 東京都立中央図書館
大場高志 国立情報学研究所開発・事業部
粕谷紳二 (株)日販図書館サービス
戸田加代子 国文学研究資料館
内藤衛亮 東洋大学教授
藤巻俊樹 早稲田大学図書館
古川 肇 日本図書館協会目録委員会(委員長代理)
本間広政 日本出版インフラセンター
宮澤 彰 国立情報学研究所研究主幹
吉田絵美子 (株)図書館流通センター
(敬称略、五十音順)
植月献二 総務部企画・協力課電子情報企画室長
原田公子 書誌部長
那須雅熙 書誌部司書監
坂本 博 書誌部書誌調整課長
小池令子 書誌部国内図書課課長補佐
長嶺悦子 関西館事業部図書館協力課総合目録係長

(書誌調整課総括係)