書誌データの基本方針と書誌調整:書誌調整連絡会議
第2回書誌調整連絡会議報告
- 会議記録 [PDF File 782KB]
はじめに
当館では、国内の書誌調整と書誌の標準化を図ることを目的とし、書誌データの作成及び提供に関する事項について、日本国内の図書館、書誌作成機関、大学および研究機関の研究者の方々と協議を行うために、平成12年度に「書誌調整連絡会議」を発足させました。
第2回は、書誌調整の全体像と解決すべき課題を明らかにすることにより、認識を共有し、今後当館が取り組むべき書誌調整業務の具体化に資することを目的に「書誌コントロールの課題」をテーマとして、平成13年11月21日の13時から17時に当館新館研修室において開催しました。参加者は、講師2名、関連諸機関および研究者32名、当館職員27名(聴講含む)でした。
以下に、その概要をご紹介します。
<報告> 「国立国会図書館の書誌コントロールの取り組み」
原井直子 書誌課課長補佐
当館では、書誌データ作成及び提供について統一した方針を持ち、今後は書誌コントロールを具体化し実施していくこととしているが、
[1]書誌データ提供における書誌コントロール
[2]他機関との連携による書誌コントロール
[3]国際的な動向へ対応する書誌コントロール
をその主な柱として考えている。
[1]については、3つの具体的な方針により実現を図る。
(1)すでに発表しているように平成14年4月から当館ホームページ上で『日本全国書誌』の提供を行うことにより書誌データの広範・迅速な提供を目指す。
(2)『JAPAN/MARC』は、現行フォーマットを改訂した新フォーマット及びUNIMARCフォーマットの並行提供により国際標準の書誌データ流通に資する。
(3)典拠データの提供に力を入れる。
また、これらの実施だけでなく、当館における書誌データ作成に関する情報を積極的に公開していく予定である。現在、準備を行っているものとしては、目録規則適用細則のうち、非公開あるいは未作成のものの新たな作成公開(平成15年公開を予定)、国立国会図書館分類表(NDLC)のホームページによる公開(平成14年度予定)などである。
[2]については、国立情報学研究所との連携、国立国会図書館総合目録ネットワーク参加館との連携、当会議の持続的な開催を中心に他機関との連携・調整を行っていくことで実施する。
[3]は、目録規則、ISO等国際的な標準及び国内の標準の動向を常に確認し、適切な対応を図ると同時に、全国書誌作成機関として必要な働きかけを行うことを意味している。
なお、当館ではこれら書誌コントロールを順次実施してくための準備を行いながら、同時に基盤整備として自館内の書誌調整を進めている。主要な書誌データ作成部署を一つの部に集約した書誌部、書誌調整を業務とする書誌調整課を平成14年4月に立ち上げること、書誌データ作成・提供に関する大枠となる方針策定と詳細なマニュアルの作成あるいは改訂などがその内容である。
<講演> 「全国書誌作成機関に求められる書誌コントロールの課題」
根本彰 東京大学大学院教育学研究科助教授
日本における戦後の書誌コントロール体制は次のようなものである。
国立国会図書館が納本制度により資料を収集し、全国書誌を作成する。また、他の国ではあまりないことだが雑誌記事索引を作成する。印刷カードサービスで始まった書誌サービスはMARCに形を変えていき、書誌ユーティリティが図書館に向けてサービスを行うようになっている。この変化は、日本では1980年代に実現した。また、日本特有の現象としては、JAPAN/MARC以外にも民間MARCがすみわけをしている。
昨今の書誌コントロールに関わる変化は4点ある。
第1に、情報環境の激しい変化は、分散処理によるネットワーク方式、多様な総合目録、横断検索の成立などに至っている。
第2に、書誌コントロールの対象である図書館資料の主体が従来の商業出版物である図書・雑誌などだけでなく、ローカルな資料、ネットワーク資源、マルチメディアなども加わるようになっている。
第3に、書誌コントロールの主体についても、書誌作成機関だけでなく情報発信者などもメタデータの付与などを通じて参入することになっている。
第4に、書誌情報利用者は、図書館や図書館利用者だけでなく、出版関係者、著作者からインターネットを通じてアクセスできる一般市民の範囲まで広がっている。
全国書誌作成機関である国立国会図書館に求められる書誌コントロールの課題として7点を確認したい。
(1)納本制度と全国書誌の関係(納本制度で対象とする9種の資料全てを全国書誌に収録すべきである)
(2)全国書誌の網羅性(全国書誌としての対象範囲確定の困難さ)
(3)マルチメディア資料と書誌コントロール(他機関との意識的な連携・分担)
(4)全国書誌の配布方法(OPAC公開、『日本全国書誌』のホームページによる提供)
(5)遡及入力の問題(戦前資料・古典籍の書誌データ提供、戦後全国書誌の対象としてこなかった種類の資料についての遡及入力)
(6)主題検索の問題(統制語による検索の有効性、BSHとNDLSHの連携の可能性)
(7)書誌レコードの公共性(JAPAN/MARCのフリーウェア化、個別館の所蔵情報とリンク)
である。
また、タイムラグを解決するためのCIP(出版前目録)の可能性、ISBNを書誌情報のユニークキーとするための手法などについても検討すべきではないかと考える。
<講演> 「NII-NDL間における書誌コントロールの課題」
宮澤彰 国立情報学研究所教授・実証研究センター長
国立情報学研究所(NII)は書誌ユーティリティであり、国立国会図書館(NDL)はナショナルライブラリである。
書誌ユーティリティはオンライン共同目録を中心にして総合目録を作成、図書館間貸出を行うためのサポートなどのサービスを行っている機関である。世界最大の書誌ユーティリティである米国のOCLCを始めとして、同国のRLG、ヨーロッパのPICA、LIBRIS、アジアのKERIS、CALIS、日本のNIIなど大抵の国で国の政策として成立した書誌ユーティリティが存在する。ナショナルライブラリと並行して、書誌ユーティリティが存在するという図式ができあがっており、この両者は、現在の図書館のインフラストラクチャーであるとも言える。
ナショナルライブラリは、納本制度、全国書誌の作成、資料の保存によるアクセスの保障といったことを行ってきた。一方、書誌ユーティリティは、作成された全国書誌を、ユーザー図書館にアクセスさせて、それを中心として総合目録を作成していくという形で、書誌コントロールを担ってきた。現在は、書誌ユーティリティ間の国際接続が部分的にすでに始まっており、国際的な書誌コントロールも、データ流通面で実現しつつある。しかし、全国書誌を作成しているナショナルライブラリの機能なしには書誌ユーティリティは成立し得ない。両者はそのような関係にある。
両者の協力関係において、今後考えてもよい課題を幾つかあげておく。
(1)NDLで作成する全国書誌に加えて、NIIの総合目録データを補完的な全国書誌データにできないか。また、NDLで作成する全国書誌以外の書誌データやNIIの総合目録まで含めたより広い総合目録を作成できないか。
(2)典拠データ(特に著者名典拠データ)の作成に、相互協力できないか。研究者ディレクトリのような潜在的な著作候補者データベースと典拠ファイルとの連携は行えないか。
(3)NDLとNIIのILLの協力に、ILLシステム間をつなぐ国際標準であるISOのILLプロトコルを利用できないか。
今後は、NDLとNIIとの協力関係は、単に二者間の協力ということではなく、世界の各ナショナルライブラリ及び各書誌ユーティリティとの協力関係を築いていく中で、その一部として考えていくことが必要である。
おわりに
今後とも会議へのご協力と、当館の書誌サービスや国内の書誌調整のあり方について改めてご意見をお願いする次第です。
なお、第2回会議の記録集を、既刊の第1回記録集と同様に、刊行する予定です。
(図書部書誌課)
