書誌データの基本方針と書誌調整:書誌調整連絡会議
第1回書誌調整連絡会議報告
- 会議記録 [PDF File 915KB]
はじめに
当館では、国内の書誌調整と書誌の標準化を図ることを目的とし、書誌データの作成及び提供に関する諸事項について関連諸機関の方々と協議を行うために、書誌調整連絡会議を新たに発足させました。
第1回は「電子情報時代の全国書誌サービス」をテーマに、平成12年11月10日(金)13:30~17:00に当館新館3階研修室において開催し、講師2名、関連諸機関及び研究者49名の参加を得、当館からは13名が出席しました。
会議は、第一部「電子資料の書誌情報」と第二部「全国書誌提供方針の改善」の構成で、それぞれ講演と当館からの報告、出席者との質疑応答となっています。以下、その概要を御紹介いたします。
なお、この会議の記録集については別途刊行の予定です。
第一部「電子資料の書誌情報」
<講演> 「目録規則の動向とNCR87Rの改訂について」
永田治樹 図書館情報大学教授
1990年代前半には無風状態であった目録規則の世界は、電子資料の出現によって大きな変動にさらされている。
電子資料の出現により多様なメタデータの動きが目録規則の外側で広く深く展開している。利用者の観点から目録を分析したIFLAの「Functional
requirements for bibliographic records(書誌記録の機能要件)」(http://www.ifla.org/VII/s13/frbr/frbr.htm参照、別ウィンドウで開きます)という重要な論文も、電子資料の出現をきっかけに書誌情報を抜本的に再検討したものである。また、AACR2(英米目録規則第2版)の合同改訂委員会で議論されている諸問題、すなわち、資料の種類をどう体系づけるかの問題、物理的な形態による目録作成の問題、刊行・非刊行の問題、逐次性の問題なども電子資料を含めて目録を 拡張するために再考が必要となったポイントである(http://www.ala.org/alcts/organization/ccs/ccda/ccda.html参照、別ウィンドウで開きます)。
このような背景のもとに行われたISBD(国際標準書誌記述)、AACR2の改訂など、国際的な目録規則の動向にしたがって日本図書館協会目録委員会ではNCR87R(日本目録規則1987年版改訂版)の「第9章 コンピュータ・ファイル」も改訂を行い名称も「第9章 電子資料」と変更した。また、今後「第13章 逐次刊行物」も改訂作業を行う予定である。
<報告> 「国立国会図書館における電子資料への対応」
横山幸雄 図書整理課課長補佐
当館は、平成12年10月より納本制度を改正し、各種のパッケージ系電子出版物を納本の対象とした。
これらの資料について本格的な書誌情報作成を行うため、電子資料整理係を図書部図書整理課に新設した。また、書誌情報の内容については、NCR第9章にあわせた当館の目録規則適用細則を作成した(全国書誌通信No.107(2000.10.1)及び/library/data_make.html#tool_top参照)。さらに、当館所蔵資料の保管・利用提供の便宜を図るためNDLC(国立国会図書館分類表)の改訂を行った。
なお、契約等により選択的に収集を行なうことになっているネットワーク系電子出版物の書誌情報作成については、現在検討を行っている段階である。
* この報告に対し、CD-ROM自体の刊行頻度による取り扱い、過去のデータは新たな基準で再作成されるのか、加除式に相当するインテグレートされた資料の取り扱いなど、電子出版物の書誌データ作成に関する具体的問題について質疑応答が行なわれた。
第二部「全国書誌提供方針の改善」
<講演> 「電子情報時代の全国書誌サービスのあり方」
上田修一 慶應義塾大学教授
書誌情報について、図書館外では関心が高まっており、オンライン書店のデータベースでは従来の書誌事項に内容紹介などをプラスした形のものを提供する、OPACを利用者が非常によく利用するなどの状況がある。一方、図書館内では、目録業務の合理化による目録部門の縮小、主題知識の低下などが起こっている。
書誌標準化の流れには、ISBDやパリ目録原則による目録規則の国際的な標準化と各国の分担という戦後の大きな流れがあった。その後、データベース、オンライン検索システム、書誌ユーティリティなどの登場を経て、目録作業は大きく変容した。その結果、集中目録作業と共同目録作業が共存しているのが日本の現状である。
このような環境下で、当館が集中目録作業により作成している全国書誌には、今後も、国の事業としての基盤となる書誌データ作成という意義がある。
<報告> 「国立国会図書館における全国書誌提供の新方針」
原井直子 書誌課課長補佐
平成14年度以降の当館作成書誌データ全体に関する提供方針を踏まえて、全国書誌提供の新方針を報告する。(詳細は次項「全国書誌サービスの新方針」を御参照下さい。)
*当館の新方針に対して、日本図書館協会の遠矢勝昭出版・ニューメディア事業部長より、電子ファイルの提供方法の変更により利用者の懸念が起こると思われたJ-BISCの刊行については継続する予定であるとの発言があった。
*質疑応答では、OPACを視覚障害者が利用するために必要な改善の要望、J-BISCの価格やプリントアウトサービスについての要望などが参加者よりあげられた。
おわりに
当館では、この会議を書誌情報の標準化を図るための常置組織としたいと考えておりますが、当初は特定のテーマについて講演、報告などを行う情報交換の場として運営し、次回は平成13年秋に開催を予定しております。今後とも会議への御協力と、当館の書誌サービスや国内の書誌調整のあり方について改めて御意見をお願いする次第です。
(図書部書誌課)
