記者発表
電子展示会「日本国憲法の誕生」(第2期)の公開
国立国会図書館は、電子図書館事業の一環として、電子展示会「日本国憲法の誕生」を構築してきた。これは、憲法制定過程に関する主要な資料を電子化し、解説をつけてネット上に公開するものである。昨年5月3日に当館ホームページで第1期公開した当初から大きな反響があり、現在も毎日2,700件程度のアクセスがある。
今回、新たな内容を加えて大幅に拡充し、来る5月3日の憲法記念日に第2期公開を行うこととなった。これにより、2か年にわたって構築してきた電子展示会「日本国憲法の誕生」は完成した。
今回の拡充のポイントは、以下のとおりである。
(1) 掲載資料の大幅追加
連合国側の資料を中心に、新たに約80点の資料を追加した。すでに公開している資料とあわせると、約180点の憲法制定過程の主要な資料を見ることができる。
(2) 「概説」「資料と解説」の改訂
「概説」では憲法改正に大きな影響を与えた連合国側の動向に関する解説を加え、「資料と解説」では、資料の増加にあわせ、資料解説を改訂・追加した。
(3) 「論点」「文書庫」の新設
「論点」では、制定当時の以下の主要な論点について、憲法に規定されるまでの経緯や当時のさまざまな議論の内容を取り上げた。「論点」で取り上げた資料に はリンクを張り、関連する原資料や資料の解説をすぐに参照することがでる。また、「文書庫」には、「芦田均日記」や「ハッシー文書」など、憲法制定に関す る一連の経過を示す文書6種を、まとまった形で収録した。
- 論点1 国民主権と天皇制
- 論点2 戦争放棄
- 論点3 基本的人権の保障
- 論点4 新しい二院制議会
- 論点5 違憲審査制
- 論点6 地方自治
なお、展示会の監修は、高見勝利専門調査員が担当した。
電子展示会「日本国憲法の誕生」URL
http://www.ndl.go.jp/constitution/
電子展示会「日本国憲法の誕生」主な新規掲載資料の紹介
グルーのシカゴ演説(資料番号1-2)
真珠湾攻撃のときに米国駐日大使だったジョセフ・グルーが、戦争さなかの1943年12月に行った対日政策に関する演説。グルーは、「リメンバー・パール ハーバー」が叫ばれていた中、あえて天皇と日本人を擁護し、「戦後再建にあたっては威嚇や復讐ではなく協力を」と訴えて大きな波紋を呼びました。このなかでグルーは、戦後は帝国憲法が改正されて議会政治が復活すべきことを論じています。ハーバード大学図書館所蔵資料。
GHQ試案(資料番号3-14「GHQ原案」に掲載)
GHQ草案作成の際に最初に書かれた草稿・試案群。現行憲法の最も原初的な姿ともいえるもので、GHQ内部での試行錯誤の様子がわかります。たとえば戦争 放棄を規定する現行第9条は、当初は前文のなかに盛り込まれていました。ミシガン大学図書館原所蔵で当館マイクロフィルムから。
二月十三日会見記略(資料番号3-16「GHQ草案手交時の記録」に掲載)
昭和21年2月13日にGHQ草案を手交されたときの様子を伝える松本烝治国務大臣の手記。「当方の考案と余りに懸隔大にして」と日本側が受けた衝撃がうかがわれます。松本は、一院制を提示したGHQ側に対して反論を加えたことも記しています。東京大学法学部所蔵資料。
「憲法改正草案要綱」に対する国務省の反応(資料番号3-23)
ここでは、GHQ草案を土台にした日本政府案(昭和21年3月6日)について、米国国務省の東京の出先機関が本国に送った報告書と、この日本政府案を批判 的に分析した国務省文書が掲載されています。なにも知らされていなかった米国政府の驚きぶりがわかるほか、後者には国務省の批判に対するGHQ側の反論も 含まれています。ともに米国国立公文書館原所蔵で当館マイクロフィルムから。
国会法立案過程におけるGHQとの関係(資料番号5-14「国会法の成立」に掲載)
新憲法制定と同時に、関連諸法の整備も急がれました。これは、それらのうち国会法の制定をめぐって行われたGHQとの折衝の様子が記録された資料です。当館所蔵資料。
芦田均日記(文書庫a)
幣原内閣の閣僚、ついで衆議院帝国憲法改正案委員会委員長、さらに憲法普及会会長として日本国憲法の誕生に立ち会った芦田均の日記。昭和21年11月3日の憲法公布式典の日には、「生れて今日位感激にひたった日はない」と記しています。当館寄託資料。
なお「文書庫」にはこのほか、松本烝治国務大臣の「司令部側トノ交渉一般」、GHQ草案に携わったアルフレッド・ハッシーの文書、極東委員会の日本国憲法制定関係の文書等をまとめて収めています。
