記者発表
電子展示会「蔵書印の世界」の公開について
1.蔵書印とは
蔵書印は、書物の所蔵を明らかにするために蔵書に捺した印影である。中国で発生して日本に伝わってきたとされており、日本最古の蔵書印は奈良時代にまで遡ることができる。江戸時代中期までは、書籍は極めて限られた人しか手にすることができない貴重な情報源であった。持ち主は大事な書籍を失うことがないように、また他の所有者のものと紛れることがないように、自分の所蔵物であることを表す印を捺すようになった。書物が一般に流通するようになると、学者や文人の蔵書家が出現し、趣向を凝らした多種多様な蔵書印が用いられるようになった。
蔵書印を調査することにより、蔵書印が捺されている書物の来歴を知ることができると同時に、その書籍の価値をおおよそ判断することもできる。また、蔵書印を手掛かりに当該の書籍に関係した人物や機関の蔵書の概要を知ることも可能である。
2.趣旨
国立国会図書館では、明治初期の東京書籍館の時代から現在に至るまで、寄贈・購入等により様々な蔵書を受け入れてきた。そのうち少なからぬ蔵書に蔵書印が捺されているが、それらについて『国立国会図書館月報』誌上で304回にわたって「国立国会図書館所蔵本 蔵書印」として巻頭で紹介した。
今回の展示会は、『国立国会図書館月報』に掲載された中から著名な人物の特徴ある蔵書印を取りあげ、「電子展示会」として編集したものである。蔵書印を通して、蔵書を所有していた歴史上の人物の姿や蔵書を形作った時代を紹介し、当館蔵書への理解を高めるとともに、日本の文化史を理解する補助的素材としても活用できるものとした。
3.内容
この展示会では、新井白石、正岡子規、渡辺崋山、木村蒹葭堂など文人・蔵書家60人の蔵書印を約80点取りあげた。また、蔵書印がどのように書物に捺されているかを実感してもらうため、曲亭馬琴の手稿本『南総里見八犬伝』など、実際に印が捺されている古典籍資料も約40点掲載している。
海外の方々にも日本文化の一端に触れてもらうために、日本語版のほか英語版(抄録)も用意した。
なお今回の展示会は、『国立国会図書館月報』連載の「国立国会図書館所蔵本 蔵書印」をまとめた『人と蔵書と蔵書印―国立国会図書館所蔵本から―』(国立国会図書館編、雄松堂出版刊 2002.10)を参考に作成している。
4.構成
この展示会は、蔵書印の持ち主である文人・蔵書家たち30人に焦点をあて、人物や蔵書の特長などを紹介するページと、蔵書印への理解を深めるために、蔵書印そのものの特徴などを解説するコラムのページで構成されている。
サイト構成の概略は次のとおり
- はじめに 蔵書印の世界
- 人物編(30人、英語版は7人)
- コラム(3点、英語版は2点)
- 年表
- 人物一覧(50音順)
- ご利用について
5.一般公開日
平成15年7月18日(金)
