記者発表
〔資料1〕
ネットワーク系電子出版物の収集に関する納本制度審議会におけるこれまでの審議状況
納本制度審議会について
納本制度審議会は、国立国会図書館法に規定する納本制度の改善及びその適正な運用に資するため、その前身である納本制度調査会(平成9年1月〜平成11年3月)を改組し、平成11年4月に設置された国立国会図書館長の諮問機関である。
委員の任期は2年とされており(ただし、再任を妨げない。)、第1期及び第2期では、衞藤瀋吉東京大学名誉教授が会長を務めた。
ネットワーク系電子出版物の収集に関する諮問
平成14年3月の第6回審議会において、館長から、ネットワーク系電子出版物の収集に関する諮問が行われた。
この館長の諮問は、「日本国内で発行されるネットワーク系電子出版物を納本制度に組み入れることについて」というものであり、併せて、納本制度に組み入 れられない場合には、いかなる範囲のネットワーク系電子出版物をいかなる方法により収集すべきかが調査審議事項として示された。
なお、ここでいうネットワーク系電子出版物とは、インターネット等により送受信される電子出版物を指す。
ネットワーク系電子出版物の収集については、納本制度調査会が平成11年2月に提出した答申において、納入義務を課することが自由な表現を萎縮させるおそれがあることなどから、当面は納本制度によるのではなく、国立国会図書館が必要とするものを選択的に契約などの他の方法により収集すべきこと、将来的に は状況の変化に応じて改めて検討する必要があると提言されていた。
平成14年3月の諮問は、調査会答申以降、情報通信技術の急激な発展に伴い、ネットワーク系電子出版物の数が飛躍的に増大しつつあり、かつ、その多くが日々消失していることから、保存の必要性が議論され始めるなど、状況に変化がみられることを踏まえて行われたものである。
第2期審議会におけるネットワーク系電子出版物の収集に関する調査審議
平成14年3月の諮問を受けて、専門的事項を調査審議するため、同審議会の下に、「ネットワーク系電子出版物小委員会」(公文俊平小委員長)が設置され、平成14年6月以降、同小委員会において3回にわたる調査審議が行われた。
本年(平成15年)3月に開催された第7回審議会では、同小委員会の審議内容に関する報告が小委員長から行われ、審議会として、同報告(『ネットワーク系電子出版物小委員会における調査審議について』)を妥当であるとして了承した。したがって、第3期審議会の調査審議は、同報告の示した方向性に沿って行われることとなる。
同報告の要旨は、次のとおりである。
- ネットワーク系電子出版物の収集については、その無体物であることなどの特性から、有体物たる出版物を前提として設けられている現行納本制度に組み入れるのは困難であるため、新たな制度を設けることが妥当である。
- 新たな制度によるネットワーク系電子出版物の収集の範囲と方法については、インターネット上の学術的な出版物及び国・地方公共団体が発行する出版物を優先的に対象とし、発行者等の通知又は送信に基づいて、国立国会図書館が当該出版物の複製を行うことにより収集するという考え方が妥当である。ただし、発行者の経済的損失や技術上の問題にかんがみ、データベース及び商業的に発行されている電子ジャーナルについては、別途、検討を行う必要がある。
- ネットワーク系電子出版物の収集について、上に述べた範囲と方法を採用する場合には、今後、収集の範囲及び方法の一層の具体化・詳細化、著作権の権利処理等の方法、補償の要否、利用方法などに関して更に十分な検討を行う必要がある。
納本制度審議会は、この小委員会報告を受けて、ネットワーク系電子出版物を現行納本制度の修正ではなく新たな制度により収集すべきこと、今後の調査審議では収集の範囲と方法等について特に法的な問題点の検討が必要であること、「収集に関する事項」、「利用方法」、「補償の要否」などを主な調査審議事項とすることを確認した。なお、公衆が自由にアクセスできる情報を自動的に収集する案については、技術動向や世界の趨勢を見た上で最終的な実現可能性を判断することが妥当であるとされた。
今後の予定
同審議会では、引き続き調査審議を行った上で、諮問に対する答申を、平成16年内にとりまとめる予定である。
