国立国会図書館職員 先輩からのメッセージ
調査及び立法考査局社会労働課 堤 健造
- 平成16年4月
- 入館(Ⅰ種)、調査及び立法考査局国会レファレンス課
- 平成17年7月
- 調査及び立法考査局社会労働課
- 平成21年7月
- 総務部人事課
- 平成23年4月
- 利用者サービス部科学技術・経済課(係長)
- 平成24年4月
- 出向(会計検査院)
- 平成26年4月
- 調査及び立法考査局社会労働課
はじめに
全国には数多くの図書館がありますが、その中で国立国会図書館(以下、当館)だけの、かつ、一般的なイメージの「図書館の仕事」とは異なる仕事。私がいま打ち込んでいるのは、そんな仕事です。
調査及び立法考査局社会労働課での仕事
5年間で依頼調査1,400件、予測調査10本―これが、私が社会労働課で行った仕事の全貌です。調査及び立法考査局(以下、調査局)では、国政課題に関する調査を行っています。テーマごとに担当課が設置されており、社会労働課はそのうちの一つで、厚生労働分野を担当しています。課内では、社会保障や労働などさらに細かいテーマで、担当制が敷かれています。課員は、当館の膨大な資料やインターネットを駆使しながら、国会議員からリクエストを受けて行う依頼調査と、リクエストを予測して調査し論文にまとめる予測調査の両方をこなします。依頼調査では、各人が常時2、3件、国会会期中にはさらに多くの件数を抱えます。時には難しい調査のリクエストを受けることもありますが、年齢を問わず担当分野のプロとみなされてこうした調査を任せてもらえるため、若手であっても大いに活躍できます。また、調査局では外国事情の調査に力を入れており、原語に遡って調査を行うこともあります。語学は基本的に自己研鑚ですが、語学研修などのサポート体制もあります。
会計検査院への出向
当館とは別世界を経験することで自分の視野を広げたい、そんな思いがあったところで、出向の機会を与えられました。 会計検査院とは、税金が無駄なく使われているかを検査する機関で、私は、総務省の情報通信部門を検査する部署に在籍していました。検査は、日本全国に出張して、書類や成果物を確認しながら検査先の担当者と質疑応答を繰り返す、とてもアクティブな仕事でした。様々な人との出会いがあり、また、検査先などとの議論を通じて視野を広げられ、大変貴重な経験になりました。
仕事のやりがい
社会労働課の仕事では、国政審議に貢献できることにやりがいを感じています。これまで、依頼調査で回答した内容が、国会質疑で言及されたり配布資料として使われたりしたことがありました。国会質疑とまではいかなくても、日々の調査回答に対し、国会議員や秘書からお礼の言葉をいただくこともあります。こうした際には嬉しい気持ちになるとともに、次の調査への原動力にもなります。また、日々の調査を通じて、担当分野の国内外の知識が蓄積されていくため、知的好奇心を満たしてくれることも魅力です。
当館職員を目指す方へ
当館には、本好きな人が多いと思われるかもしれません。実際にその傾向はあります。その中で、私は本好きではなく、当館の中では異端児です。しかし、当館で10年間働いてきて、本好きであることが、この組織で一番大切だと感じたことは一度もありません。それでは、一番大切なものは何か。私は、公務員として世のため人のために貢献したいという思いと、今日は昨日より成長した自分に出会いたいという向上心であると思っています。そんな志を持った方、当館に飛び込んでみませんか。
社会労働課の業務風景