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「24条資料」の書誌データ―官庁出版物の目録作業における工夫

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NDL書誌情報ニュースレター2018年1号(通号44号)

【はじめに―24条資料とは】

皆さんは、「24」という数字から、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。本好きな方ならば「二十四の瞳」を思い浮かべるかもしれません。米国のTVドラマ「24」もありますね。国立国会図書館の整理業務にあたる職員にとって、「24」といえば官庁出版物を指しています。

官庁出版物とは、国・地方公共団体の諸機関やそれらに準ずる法人が発行した出版物のことです。国立国会図書館法には、それらの出版物の納入を定めた条文があり、これが「第24条」であることから、当館では官庁出版物を「24条資料」(時には、単に「24条」)と呼んでいるのです[1]

本稿では、この24条資料ならではの目録作業上のさまざまな工夫について、図書や小冊子を例に紹介します。

【さまざまな24条資料】

24条資料にはさまざまなものがあります。行政の計画書や報告書をはじめとして、「○○県史」のように分厚くて何分冊にもなる資料もあれば、各地方公共団体から家庭向けに配布されるパンフレット類もあります。また、地方公共団体の教育委員会が発行した、小学生向けの社会科の副読本や地域の偉人の漫画物語などもあります。

(1)白書の原局版―いろいろ補記しています

こちらの写真をご覧ください。


図1 白書の原局版の例

この資料は、内閣府が作成し、国会に提出するための資料で、一般的に「子ども・若者白書」と呼ばれるものの原局版[2]です。これも24条資料です。この資料には奥付がなく、著者や編者、出版年月すら資料本体に記載がありません。

白書とは、日本では一般的に各省庁が発行する各分野に関する報告書のことを指します。大きな書店などで見かける白書は、市販版で、表紙にはカラー写真などがあしらわれ、奥付には価格や発行年月などが明記されています。一方、原局版は閣議や国会等に提出する段階のもので、市販版と内容はほぼ同一ですが、体裁が異なり、真っ白な表紙にはタイトルと、「第○回国会提出」などの記載があるのみで(図1左)、奥付のページはないことが多いです。

目録作業では、目録規則[3]に基づき、作業対象資料のタイトルや著者名、出版年といった情報を、原則としてその資料本体の標題紙や奥付などの決まった情報源(所定の情報源)からそのまま転記します。しかし、この例に挙げた白書には、奥付もなく、必須の書誌的事項である出版者が所定の情報源に表示されていません。

このように、資料本体に所定の情報源がない場合や、所定の情報源に必要な情報がない場合には、目録規則では、参考資料などから必要な情報を集めて書誌的事項を記録するとしています[4]。そして、その部分を角がっこで囲んで、目録作業者が「補記」[5]したものであることを示します。

この資料には、衆議院議長宛の内閣府からの送付状が挟まれており(図1右)、こういった資料本体以外の情報を参考にして出版者を判断します。

また、出版年についても同様に、送付状や資料の前書きなどから推定して記録し、やはり角がっこで囲んで補記したことを示しています。

完成した書誌データは、図2のようになります。「[内閣府]」という出版者、「[2017]」という出版年などが、目録作業者が補記した部分です(図2赤枠)。


図2 白書の原局版の書誌データ例[6]

(2)展覧会図録―著者標目を工夫しています

24条資料には、国立や県立、市立美術館の展覧会の図録も多くあります。これらの目録作業では、著者標目の選定において工夫をしています。

図3の書誌データをご覧ください。これは、富山県砺波市の美術館が開館20周年記念展覧会に合わせて発行した図録の書誌データです。


図3 展覧会図録の書誌データ例

美術館で個人の芸術家の展覧会を開催すると、芸術家の名は「宮脇綾子アプリケの世界」のように、展覧会の名称そのものの一部となることが多く、図録の奥付などに、わざわざ「作者 宮脇綾子」「宮脇綾子 作」などと表示されることはあまりありません。

しかし、芸術家名はこの図録を探し求める利用者にとっては重要な情報です。このため、タイトル中にある芸術家名を、「責任表示」[7]として記録し[8]、また記録した芸術家名に続けて、その役割を示す言葉を補記します。さらに、この芸術家名が検索の際のアクセス・ポイントとなるように著者標目とします。

また、発行元である美術館自体も、この図録の成立に不可欠な役割を果たした団体と考えられます。この展覧会が企画・開催されなければ、その図録も発行されることはなかったでしょう。このため、美術館についても、検索のためのアクセス・ポイントとなるよう、著者標目としています[9]

このように、「□□美術館」「芸術家△△」さんといった、展覧会の図録を探すキーワードとなるような言葉で、利用者の皆さんが検索できるようにしています。

こうした役割を示す言葉の補記や、発行元を著者標目とすることは、当館が『国立国会図書館「日本目録規則1987年版改訂3版」適用細則』(以下、適用細則といいます)を定めて行っています。当館では日本目録規則の本則を原則として採用していますが、規則を変更している部分や、別法を採用する部分もあります。それらを適用細則として定め、当館ホームページで公開しています。

(3)遺跡発掘調査報告書―大量の資料を一つのNDCに

皆さんのお住まいの地域で、新しく建築物を建てる際に、「○○時代の遺跡が出た」などと話題になったことはありませんか?建築や区画整理の際に遺跡が発見されると、発掘調査が行われ、報告書が作成されます[10]。遺跡発掘調査報告書は、文化庁が報告書作成の具体的な手順や体裁を例示していることもあり[11]、多くはこの体裁に沿った定型的な資料です。報告書には発掘の概要、出土品の記録、簡単な考察などが記載され、多くは最後に抄録がついています。遺跡発掘調査報告書の当館への納入点数は非常に多く、2016年発行のものでは1,500件ほどあり[12]、その8割が国や地方公共団体からの24条資料です。

このように、遺跡発掘調査報告書は資料数が多いこと、考古学上の研究書というよりは定型的な報告資料であることをふまえ、当館では日本十進分類法(NDC)の分類記号付与を効率的に行えるよう工夫をしています。

NDCでは、個々の遺跡・遺物に関する資料は、それぞれの地域の歴史に分類するのが原則です。原則に従えば、埼玉県の遺跡資料は「213.4」、静岡県の遺跡資料は「215.4」となります。しかし、当館では遺跡発掘調査報告書には、専用の分類記号を独自に設けて、遺跡・遺物の地域にかかわらず、単一の記号「210.0254」を付与しています(図4)。このような運用は、NDCを当館で適用するに当たっての指針と分類表の解釈をまとめた「分類基準」で定めています[13]

210.0254 発掘調査報告書の分類基準。上記の項を新設する;地域・時代に関わらず、発掘調査報告書は、すべてここに収める
図4 「210.0254 発掘調査報告書」の分類基準―当館のNDC新訂10版分類基準より


図5 遺跡発掘調査報告書の書誌データ例

図5の書誌データは2017年発行の遺跡発掘調査報告書の例です。分類基準に従い、NDC分類記号「210.0254」が付与されています(図5赤枠)。このように、単一の分類記号を付与することで、分類作業の効率化を図るとともに、遺跡発掘調査報告書を一括して検索できるというメリットも与えています。この分類記号では地域性を表現できなくなりますが、併せて付与される地名件名によって、どの地域の遺跡であるかが明確となり、地名で検索できるようになります。図5の『K441遺跡.第3次調査』の書誌データでは「地名件名 札幌市‐‐遺跡・遺物」と記録されています。

(4)小冊子―納入点数が多いため、簡易な形態に合わせた整理内容としています

小冊子とは、ユネスコの定義によれば、表紙を除き、5ページ以上48ページ以下の、完結した製本していない非定期刊行物を指す[14]とされます。当館でも原則として、5ページ以上48ページ以下の非定期刊行物を、小冊子として取扱います。

皆さんのご自宅に「○○市ごみの分別と収集方法」のような冊子はありますか?また、博物館などを見学した際に、数ページの、または折り畳み式のガイドを手に取ったりすることはないでしょうか。当館に納入される24条資料には、こうした小冊子類が多く含まれます。

当館では、収集する膨大な出版物について的確かつ迅速に書誌データを作成し提供するために、資料の特徴や提供の目的などによって書誌データ水準を定めています。この中で、官庁や地方公共団体の発行した小冊子に対しては、「タイトル標目は作成するが、著者標目・件名標目・NDC分類標目を作成しない」としています。また、国立国会図書館分類表(NDLC)の分類標目は、資料の内容にかかわらず、中央官庁からの小冊子には「Y111」を、都道府県・市区町村からの小冊子には「Y121」を、それぞれ付与しています。こうした小冊子の類では、内容がタイトルに明確に表れ、出版者も地方公共団体そのものであることが多いため、地方公共団体の名称などをキーワードとして入力すれば検索することができます。


図6 小冊子の書誌データ例

【おわりに】

国立国会図書館に納入された24条資料は、政府活動に関する国政審議にも、また一般の方の調査研究にも利用されます。また、24条資料に限らず、当館に納入されたすべての資料は、永年保存され、将来にわたって活用されていきます。資料がその情報を求める人のもとに確実に届けられるよう、これからも書誌データに的確な情報を記録する工夫をしつつ、かつ効率性も追求しながら目録作業を進めていきたいと思っています。

伊東 晶子
(いとう あきこ 国内資料課)

[1] 民間出版物の納入については、国立国会図書館法の第25条で規定しています。

[2] 白書の原局版と市販版について、詳しくは当館の「リサーチ・ナビ」の「白書の調べ方」ページをご覧ください。市販版の白書は、民間会社が発行者となるものが多く、24条資料ではないものもありますが、一般に流通しない原局版の白書はほとんどが24条資料として納入されています。

[3] 当館では2018年3月現在、『日本目録規則 1987年版改訂3版』(日本図書館協会目録委員会編. 日本図書館協会, 2006)を適用しています。

[4] 日本目録規則には、「2.0.3.2B 記述対象とする図書によるべき情報源がない場合は,参考資料をはじめとして,可能な限りの情報源を調査して,必要な書誌的事項に関する情報を入手し,これを記録する。」と定められています。
日本図書館協会目録委員会編. 日本目録規則. 1987年版改訂3版, 日本図書館協会, 2006, p.57.

[5] 日本目録規則の用語解説には、「補記」について、「書誌記述において,規定の情報源にはない,あるいは資料に表示されていない事項を付加して記録すること。補記事項は角がっこに入れて示す。」とあります。
日本図書館協会目録委員会編. 日本目録規則.1987年版改訂3版, 日本図書館協会, 2006, p.420.

[6] 図1以下の書誌データの画面は、当館所蔵資料の書誌データをダウンロードできる「国立国会図書館書誌提供サービス(NDL-Bib)」によります。

[7] 日本目録規則によると、「責任表示」とは、「著作の知的・芸術的内容の創造,ないしは具現(演奏等を含む)に責任を有するか,これに寄与するところがある,個人・団体に関する表示。」のことです。
日本図書館協会目録委員会編. 日本目録規則. 1987年版改訂3版, 日本図書館協会, 2006, p.412.

[8] 日本目録規則には、「2.1.5.1.A図書のタイトル中に表示されている著者名等は,責任表示としても記録する。」と定められています。
日本図書館協会目録委員会編. 日本目録規則. 1987年版改訂3版, 日本図書館協会, 2006, p.66.

[9] 日本目録規則の著者標目の章に「23.1.0.3(標目とする出版者) 必要ならば,出版・頒布に関する事項に記録されている出版者は,著者標目とする。」と定められており、当館の適用細則ではさらに「著作の成立に主体的に関与した団体は,標目とする。」としています。

[10] 文化庁. “埋蔵文化財”. http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/maizo.html, (参照 2018-02-23).

[11] 文化庁文化財部記念物課監修. 国立文化財機構奈良文化財研究所編. 発掘調査のてびき.整理・報告書編, 同成社, 2016.10, p.160.

[12] 資料数は2018年2月16日現在。

[13] 国立国会図書館. “分類・件名(NDLC、NDLSHなど)”. http://www.ndl.go.jp/jp/data/catstandards/classification_subject/index.html#ndc, (参照 2018-02-23).

[14] 図書館情報学用語辞典「パンフレット」の項より。
日本図書館情報学会用語辞典編集委員会編. 図書館情報学用語辞典. 第4版, 日本図書館協会, 2013 p.203.


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2018年1号(通号44号) 2018年3月27日発行

編集 国立国会図書館収集書誌部
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