ホーム > 書誌データの作成および提供 > NDL書誌情報ニュースレター > 2017年2号(通号41号)

NDC10(テン)やワン!や

NDL書誌情報ニュースレター2017年2号(通号41号)

こんにちワン!カーネです。最近は時々、国立国会図書館(NDL)の月報に出張しているので、ごぶさたしていました。
千鳥ヶ淵の桜を見ながら夜のお散歩をしていたら、聞き覚えのある声でにぎやかなおしゃべりが聞こえてきたので、のぞいてみたよ。あれは、NDLで書誌データを作っている人たちだ ・・・。

(以下「カーネ」はカーネ、その他はNDLの職員(仮名)のセリフです)

NDL全員:
かんぱーい!(かちんかちん(グラスを合わせる音))(注:業務時間外です)
きのこ:
おつかれさまでしたー。
よしお:
いやー、長かったねぇ。
カーネ:
こんばんワン!
とりこ:
あれ、カーネじゃない。こんばんワン、もとい、こんばんは。
カーネ:
長かったって、なあに?ぼくの胴のこと?
よしお:
ちがうちがう、NDC10版検討班の仕事のことだよ。今日は打ち上げなんだ。
あさひ:
そういえばカーネ、月報6月号でNDC10版のこと、先生に教わっていたよね。ちゃんと覚えてる?
カーネ:
え、え、えーと。NDC10版は、たしか『日本十進分類法』新訂10版のことだったよね?合ってる?(どきどき)
とりこ:
合ってるよ。よく覚えてたね。えらいえらい。
カーネ:
えっへん。それで、皆さんはNDLでNDC(うわ、ややこしいなあ)10版のことを検討してきたんだね。長かったって、どれくらい?
よしお:
だいたい2年間ってとこかな。
カーネ:
わー、そんなに?大変だったんだね。始めから詳しく聞かせてほしいな。
くりす:
いつからだったっけ?んー、ちょっと待って。NDC10版が出版されたのが2014年12月で…。
きのこ:
NDC10版検討班を国内資料課で立ち上げたのが、平成27年度の初めでした。それから約2年間の検討を経て、2017年4月に適用を開始したのです。
カーネ:
え、でも分類表が新しくなったら、それに切り替えればいいだけなんじゃないの?
NDL全員:
あまーい!!!

【分類基準をすみからすみまで見直して】

よしお:
いろいろ準備があったんだよ。いちばん大変だったのは、分類基準の見直し。
カーネ:
分類基準って?
とりこ:
NDCの各分類項目に対して、NDLでの運用をどうするか定めたもののことよ。NDCにはない言葉や概念を、どう分類するかを決めたりね。
くまみ:
NDC9版が出版された1995年からおよそ20年の間に、世の中が大きく変わったでしょ?たとえば、「インターネット」関連の本は、図書館にたくさんあるけど、NDC9版には載っていないし。「ソーラーカー」みたいに、20年の間に大きく発展した技術についてもNDC9版にはないよね。そこで、NDC9版の分類基準では、NDC9版の「547.483 データ通信網」に対して、「インターネット<工学>は,ここに収める」とか、「537.25 電気自動車」に「ソーラーカーは,ここに収める」とか、決めてあったのよ。
やのち:
これまでNDLが作成・提供してきた書誌データとの整合性を考えると、NDC10版の適用後も分類基準は大きく変えなくてよいのでは、という意見もあったんだ。でも、NDC10版の適用を機に、分類基準も全体的に見直すことになったの。
カーネ:
見直しって、どんな風にしたの?
きのこ:
まずは、これまでの分類基準を一覧表にして、検討メンバーで分担しました。割り当てられた基準をNDC10版と照らし合わせて、継続する必要があるか考えました。NDC9版ではその適用方法があいまいだったために作られた分類基準の場合、NDC10版であいまいさがなくなっていることが確認できれば分類基準として残しておく必要はありませんから。
よしお:
さっきの例で言えば「インターネット」(547.4833)はNDC10版で新たに分類項目ができたし、「ソーラーカー」(537.25)はNDC10版の相関索引[1]に載ったから、分類基準は削除したよ。
カーネ
そうか、分類基準がなくてもよくなったんだね。でも、そんなふうにさくっと決められるものばっかりだったの?
NDL全員:
そんなわけ、ないない。
くまみ:
割り当てられた人だけで決められないものは、意見を出し合って相談したんですよ。
とりこ:
たとえば、NDC10版では料理の分類を、「596.2 様式別による料理法,献立」「596.3 材料別による料理法」「596.4 目的による料理」とかいろいろに分けているんだけど、和風ハンバーグ弁当は、和風だから様式別にもあてはまるし、お肉で作る材料別にもなりそうだし、弁当だから目的にも当てはまるし。こういう場合に、どの観点から分類するかを決めなくてはならなくて[2]
くりす:
いろんな分野のことを理解する必要があったから、あれこれ知恵がついたよ。キク科にはタンポポやアザミも含めて約2万種の植物があることとか[3]、柑橘類の植物学的な分類に諸説あることとか[4]。うちの子が、「お母さん、なんでそんなこと知ってるの?」って。

【補助表で悩みに悩み】

やのち:
標準的な分類ということでは、補助表の運用についてずいぶん悩んだよね。
カーネ:
補助表って?
きのこ:
NDCの分類表にはあらかじめたくさんの分類項目が用意されているけど、それでは足りない場合には分類をする人が補助表を使って補うことができるんです。たとえば、犬…。
カーネ:
ワン!
きのこ:
…の辞書があったとします。それが、ペットという観点で犬を扱っている辞書だとすると、犬の分類記号(645.6)に事典を表す形式区分(-033)をつけて、645.6033となります。でも、NDLでは独自の運用で、4桁以上の分類記号に形式区分を適用しないことにしていました。さっきの例で言うと、645.6033にできるのだけど、NDLでは645.6で止めていました。
りょう:
当初は、この独自ルールを撤廃して4桁以上でも形式区分を適用し、また形式区分の複合使用、つまり2種類の形式区分の合わせ技で理論.哲学(-01)と歴史的・地理的論述(-02)を一つの分類記号に適用する、といったことも、しようとしていたんだけど…。
やのち:
その場合には、2種類の形式区分をどのように複合使用するか、明確なルールを作る必要があって、そうするとどうしてもNDCにないNDL独自のルールができてしまう。
きのこ:
標準的な分類を目指しながら独自のルールを作るというのは、矛盾していると考えました。
あさひ:
なかなか結論が出なくて、結局元のとおりに、4桁以上には形式区分を適用しない、原則形式区分の複合使用はしない、とした結果…。
くまみ:
それまでに検討してきた部分の、再見直しが発生してしまって…。
きのこ:
見直しを終わらせて分類基準を公開し、そして適用を開始するという手順を考えると、判断はぎりぎりのタイミングだったと思います。

【なにが変わったかというと】

カーネ:
それで、NDC10版になって分類はどう変わったの?
くまみ:
2類の歴史で、日本の地方について時代によって区分できるようになったのは、意義が大きいと思うな。これまでは、日本の近世史(210.5)という分類はできても、千葉県の近世史の本は千葉県の歴史(213.5)にとどまっていたから。
あさひ:
日本各地の歴史(211/219)に固有補助表が追加されて、原始時代(-02)、古代(-03)…というふうに時代細分できるようになったのよね。たとえば、千葉県の近世史は213.505。


図1 NDC10版で時代区分した書誌データの例(千葉県の近世史なので「213.505」に)


図2 NDC9版で分類した書誌データの例(内容は近世史だが、時代区分していない)

よしお:
たとえば、公共図書館だったら、その地域の本に限って時代区分をする、というように選択的に運用してもよさそうだね。そしたら、郷土資料をすべて一か所に寄せなければならなかったのを時代で細かく分けられるようになって、郷土史に興味のある利用者にも探しやすくなるんじゃないかな。
くりす:
あと、個人的に印象が強いのは、団体が主題の本には常に団体を表す形式区分(-06)を使えるようになったこと。これはNDCではなく、NDLでの運用の変更点なんだけど。これまで、その会社が正式に編集した社史でなければ、ある会社についての本でも会社の分野と存在する地域で分類していました(図3、図4)。


図3 NDC9版で分類した書誌データの例(鉄道会社が編集した社史)


図4 NDC9版で分類した書誌データの例(鉄道会社が編集した社史ではない)

くりす:
新しい分類基準では、どちらも同じNDC分類になるのよ。「鉄道会社」について調べている利用者にとっては、「鉄道」と会社がある「地域」ではなく、「鉄道」関係の「会社」であることの方が大事だと思っていたから、変更できてよかった…。

【ほかにもいろいろあったけど】

カーネ:
分類基準のほかには、なにを準備したの?
きのこ:
NDLSH(国立国会図書館件名標目表)の普通件名の代表分類も、分類基準が変わったところやNDC10版が変わったところから、鋭意見直し中です。
カーネ:
フツーケンメーのダイヒョーブンルイ??「件名」は月報のWhat's書誌調整ふたたび第5回で教わったけど、ダイヒョーブンルイって?
あさひ:
そうねえ、たとえば「犬」…。
カーネ:
ワン!
あさひ:
…とか「図書館」とか「歴史」とかの、固有名詞ではない物や概念などを表すのが、普通件名。そして、その主題に対しておもに付与される分類記号を、あらかじめ割り当てておき、主題作業を効率的にできるようにしているのが、代表分類です。たとえば、カーネの「犬」…。
カーネ:
ワン!
とりこ:
カーネ、もういいから。
あさひ:
えーっと、たとえば「犬」っていう件名があります。NDLC(国立国会図書館分類表)では、哺乳類(RA571)や犬・猫(RB651)という項目名があって、また、NDCでは哺乳類(489)の下位のイヌ科(489.56)や家畜.畜産動物.愛玩動物(645)の下位の犬(645.6)がある。犬について書かれていて、「犬」という件名を付与される書誌データは、今挙げたような分類記号が付与されることが多いので、489.56と645.6を代表分類とするのね。当然、観点によって他の分類記号が適している場合もあるけど、まずは、この代表分類を一つの手がかりにして分類を考えるの。
きのこ:
代表分類のNDCが10版になって変わったところはないか、逐一チェックしています。その作業はまだ続いていて、件名を書誌データに付与しようとして初めて代表分類も見直す、ということもあるから、しばらくかかりそうですね。
やのち:
それと、研修!2017年の1月からは、検討班メンバーが先生役になって研修を何回もしたよね。
あさひ:
30人以上の職員ひとりひとりがしっかりと理解できるようにするため、研修の準備も大変だったなぁ。
カーネ:
30人も参加すると、なんだか学校の授業みたいだね。
あさひ:
毎日の作業を滞らせることなく新しいことを学ばないといけないので、研修ではおもな変更点を強調して伝えました。
くまみ:
みんな、新しい版でちゃんと分類できるか不安がっていたね。
とりこ:
やっぱり最初は作業量が落ち込んだけど、どうにか持ち直してきたし。
くりす:
これからも、みんなのスキルを高めるために、時々研修をしていかないとね。

【お疲れさまでした】

カーネ:
2年間にわたる検討班の活動を終えて、どんな気持ちですか?
やのち:
標準的なNDCを付与していくことで、全国の図書館や利用者にとってより役立つ書誌データとなり、ますますそれを利活用していただけるようになるとうれしいです。
カーネ:
一つの基準が新しくなると、こんなにたくさんの準備が必要だなんて、ぼく、知らなかったよ。2年という月日が皆さんには、ぼくの胴みたいに長くも、ぼくの足みたいに短くも感じられたんじゃないかな。
くりす:
10版だけに、「テンやわんや」だったよぅ。
カーネ:
2年間、皆さんお疲れさまでした!
NDL全員:
お疲れさまでした!
よしお:
あらためて、乾杯しようか。
とりこ:
カーネも飲む?
カーネ:
ぼく、犬だから飲めません。

こうして、打ち上げはまだまだ続くのでした…。

(国内資料課 NDC10版検討班)

※お詫びと訂正
本記事の事例を一部訂正いたしました。

[1] 相関索引とは、分類項目名やその他の用語等を索引語として排列し、対応する分類記号を明示した一覧表で、NDC10版の第2分冊に収められています。

[2] 分類基準に、「目的による料理(596.4)は、様式と材料に優先して分類する」としました。「和風ハンバーグ弁当」は、596.4です。

[3] NDC10版の「627 花卉園芸」の下位に、「627.5 宿根草.多年草」「627.55 菊」という項目があります。この「菊」が、キク科の植物全体を指すのか、日本人が「菊」と聞いてイメージするいわゆる和菊を指すのか、NDC10版の本表からは分かりません。調べてみるとキク科には約2万種の植物があり、中にはタンポポやアザミなど園芸用ではない植物も多く含まれます。でも、花卉園芸の中の「菊」だから、きっとここにはタンポポやアザミを入れずに、園芸種としての「菊」を入れるべきなのだろうと考えました。しかし「和菊」という品種があるわけではないので、言い回しに苦労しました(結局分類基準は「花卉園芸に用いる各種の宿根草・多年草のうち、キク科全般は627.5に、和菊は627.55に」と決めました)。

[4] NDC10版の「625.3柑橘類」の下位に、「625.32 みかん類」「625.35 きんかん類」「625.37 その他の柑橘類:レモン,オレンジ」とあるのですが、「類」ってどこまでを想定しているのでしょう…ポンカンはミカン科だけど、ミカンに入れるのかその他に入れるのか悩んでいたら、無性にミカンが食べたくなりました(結局、分類基準の「みかん類」にはウンシュウミカン種のみを収めることに決めました)。


このページの先頭へ

NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2017年2号(通号41号) 2017年6月27日発行

編集 国立国会図書館収集書誌部
発行 国立国会図書館

〒100-8924 東京都千代田区永田町1-10-1

メールアドレス:bib-newsアットマークエヌディーエルピリオドジーオーピリオドジェーピー(ニュースレター編集担当)