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第41回ISSNセンター長会議報告―ISSN規格改訂と逐次刊行物目録標準化の動向

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2017年1号(通号40号)

【はじめに】

国際標準逐次刊行物番号(ISSN)は、逐次刊行物(雑誌・新聞等)を識別可能とするための国際的なコード番号です。ISSNを割り当て、維持・管理する国際的組織「ISSNネットワーク」[1]には、2017年1月現在89か国が参加しています。

ISSNネットワークの各国のセンター長が1年に1回集まり、重要事項を検討する会議が「ISSNセンター長会議」です。第41回は、2016年11月9日から11日にかけてブラジルの首都ブラジリアにある科学技術情報研究所(IBICT)で開催され、9か国から11名が参加したほか、ウェブ会議での参加(7か国7名)もありました。なお、南米での開催は、2007年にブエノスアイレスで開催された会議以来9年ぶりとなります。今年の議題からいくつかを報告します。


ブラジリアを象徴する建物の一つといわれる「カテドラル・メトロポリターナ」

1. ISSN規格改訂の動き

ISSN規格(ISO 3297)の改訂については、前回会議でも予告されていました[2]

今回のISSN規格の定期的な見直し(Systematic Review)は、専門家らで構成されるワーキンググループによって進められ、手続きの完了までに2年から4年ほどかかる見通しです。

「ISSNを無料で付与する」という規定は、この見直しに先行する形で行われたISO/TC46/SC9での改訂投票の結果、2016年3月に削除されることが決定しました。この決定を受け、ISSN国際センター(以下、国際センターといいます)は、ISSNセンター未設置国の出版者や複数の国に事務所をもつ多国籍出版者による出版物に対して国際センターが付与するISSNについて、課金する方針を提示しました。また、今回の会議では、各国のセンターによるISSNの付与に対して課金するか否かについては、各センターに判断が任される旨の説明がありました。

今回の見直しのおもなポイントは三つあります。第一に、ファイル形式の異なるオンライン資料への対応があげられます。ISSNでは、同一内容のオンライン資料について、EPUBとPDFなどファイル形式が異なる場合でも同一番号が付与されますが、国際標準図書番号(ISBN)では、同じオンライン資料であっても、ファイル形式が異なっていれば別の番号が付与されます[3]。そこで、ISSNも、ISBNと同様の対応をとるか否かが検討課題となっています。

第二は、改題関係にある刊行物を一括して検索できる識別子を新設するか、という点です。同一内容で媒体だけが異なる刊行物を一括して検索するには、Linking ISSN(ISSN-L)[4]が活用できますが、改題関係にある複数の刊行物もまとめて検索できるような識別子はありません。このような識別子の新設の要否、新設する場合の付与方法が問題となります。

第三は、米国情報標準化機構(NISO)による電子逐次刊行物の交換のプロトコル(PESC)[5]の動きをふまえた、タイトルよりも詳細な単位(巻号や記事)の識別への対応です。ISSNはタイトル単位で付与される番号であり、それだけで巻号や記事を識別することはできません。PESCでは、ISSNをタイトル単位での一意の識別子とみなし、DOIと組み合わせることにより、巻号や記事レベルの個別のファイルまで導く方法が示されています。

2. 標準化の動向

国際センターでは、変化する情報環境の中でISSNの普及を促進すべく、さまざまな取組みが行われています。その一つに、逐次刊行物に関する規格や目録規則の改訂への関与があります。

図書館の目録の国際的な標準化は、書誌レコードの機能要件(FRBR)等の参照モデルに基づいて、国際目録原則覚書(ICP)が策定され(2009年。最新版は2016年12月版)、それに対応するために国際標準書誌記述(ISBD)が改訂される、といった流れで進められています。ISSNマニュアルはISBDに準拠しているため、ISBDの改訂の影響を受けます。そのため、国際センターのメンバーがIFLA目録分科会や逐次刊行物分科会(Serials and Other Continuing Resources Section)に参加しています。

また、書誌データ流通フォーマットの標準化については、米国センターから、米国議会図書館等によりBIBFRAME[6]の開発が進められていることが報告されました[7]

3. 国際センターの動き

国際センターでは、ISSN付与済み書誌データのデータベースISSN International Register[8]の更新作業の一環として、搭載データの一部項目の無料公開を検討しています。現在、ISSN International Registerに搭載されたデータの利用には登録が必要で、有料です。たとえば、タイトルや出版者等の一部の項目を無料で公開することで、ISSNが付与された書誌データが広く利用できるようになります。また、これらのデータをリンクト・オープン・データ[9]として、ウェブ上で利用しやすい形で提供することで、ISSNの利用価値がさらに高まると考えられます。

データベースの更新に関しては、このほかに、課金を視野に入れた国際センターによるISSNの付与手続きの効率化や、オンラインの学術情報資源(学術雑誌、会議録、学術リポジトリ等)の書誌データを無償で公開するROAD(Directory of Open Access scholarly Resources)とISSN International Registerの両データベースの統合が計画されています。

また、最新の「ISSN国際センター戦略計画」が示されました[10]。これは、2016年4月に開催された理事会と総会で承認された計画で、六つの目標が設定されました。(1)ISSNネットワークの運営の改善・向上(各国センターへの支援の充実およびセンター新設の援助)、(2)ISSNのデータ、製品およびサービスの向上(ローマ字化される前のデータなどのISSN International Register搭載データの充実、逐次刊行物同士の改題などの関連を視覚的に示す仕組みの開発)、(3)国際センターのITインフラ更新、(4)The Keepers RegistryGOKb等との連携関係の構築、(5)国際センターの意識やガバナンスの改善(理事会の開催頻度の向上、ウェブサイトの充実、広報の強化等)、(6)ISSNデータの広範囲にわたる共有(オープンアクセスおよびリンクト・データへの対応)の6点です。

各国センター設置の世界的な拡大への対応も見られました。ラテンアメリカではセンター未設置国が多かったために、今回のISSNセンター長会議に先立って、まだセンターがないキューバ、パナマ、ペルーも含めたラテンアメリカ諸国によるセッションが開催されました。セッションでは、ISSN国際センターからはISSNネットワークの組織と目標について、各国のセンターからは付与手続きと実務上の問題点や取り組んでいる事業について、それぞれ説明がありました。これを受け、すでにISBNのネットワークに加入しているパナマとペルーからは、その延長としてISSNにも加入する意向が表明されました。さらにセンター長会議の場では、スペイン語で情報交換ができる利点を重視し、ラテンアメリカの地域におけるISSNネットワークへの加入を促進するため、地域グループの発足も決まりました。なおISSNマニュアルには、英語版とフランス語版に加え、ラテンアメリカ諸国の参加拡大に向けてスペイン語版がすでに加わっているほか、2015年12月のロシアセンターの新設に対応してロシア語版も公開準備中です。

【おわりに】

次回、第42回ISSNセンター長会議は2017年11月にモロッコ王国の首都ラバトで、それに続く第43回会議は2018年に米国ワシントンD.C.で開催される予定です。ISSN規格の改訂手続の進捗状況、ISBDをはじめとするISSNに影響する国際標準等の改訂については、次回以降のセンター長会議でも引き続き注視していきます。

柳澤 健太郎
(やなぎさわ けんたろう 逐次刊行物・特別資料課)

[1] ISSNネットワークは、パリにある国際センターおよび各国センターで構成されています。ISSN日本センターについては、以下のページをご覧ください。
国立国会図書館. “ISSN日本センター”. 「ISSN日本センターについて」.
http://www.ndl.go.jp/jp/data/issn/index.html#anchor07, (参照 2017-01-27).

[2] 前回の会議の参加報告は、本誌2016年1号(通号36号)をご覧ください。
胡龍子. 第40回ISSNセンター長会議参加報告―ISSNネットワーク設立40周年に際して.
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2016_1/article_01.html, (参照 2017-01-27).

[3] ISBNを所管する日本図書コード管理センターのウェブサイトでは、「複数のファイル形式によって発行される電子書籍には、ファイル形式ごとにそれぞれ別個のISBNコードを付与します。」と案内されています。
日本図書コード管理センター. “ISBNと日本図書コードのルール”.
http://www.isbn-center.jp/guide/02.html, (参照 2017-01-27).

[4] 本誌2010年1号(通号12号)を参照。
逐次刊行物・特別資料課整理係. ISSN-Lをご利用ください!.
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_1166400_po_2010_1.pdf?contentNo=1#page=4, (参照 2017-01-27).

[5] “米国情報標準化機構(NISO)、電子逐次刊行物の交換のプロトコルに関する推奨案を公開”. カレントアウェアネス-R. Posted 2015年6月29日, http://current.ndl.go.jp/node/28782, (参照 2017-01-27).

[6] BIBFRAMEについては、本誌2016年2号(通号37号)で紹介しています。
柴田洋子. ウェブ環境に適した新しい書誌フレームワーク:BIBFRAME.
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2016_2/article_01.html, (参照 2017-02-15).

[7] BIBFRAMEについてのウェビナー(Webinar)も紹介されました。以下のページに、録画ファイルと資料が掲載されています。
American Library Association. “Library of Congress BIBFRAME Developments”.
http://www.ala.org/alcts/confevents/upcoming/webinar/101216, (参照 2017-02-15).

[8] ウェブ上のインタフェースはISSN Portal(有料登録制)。

[9] 以下の「Linked Data/Linked Open Data」の項に説明があります。
国立国会図書館. “【参考】メタデータ関連用語集”.
http://www.ndl.go.jp/jp/dlib/standards/meta/glossary.html, (参照 2017-01-27).

[10] 最新版は未公表。旧版は以下をご覧ください。
ISSN International Centre. “ISSN International Centre's Strategy (2015-2017)”.
http://www.issn.org/wp-content/uploads/2013/08/Strategy_Web_ENG.pdf, (参照 2017-01-27).


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2017年1号(通号40号) 2017年3月28日発行

編集 国立国会図書館収集書誌部
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