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コラム:一生ケンメイ!(1)主題細目「復興」「被災者支援」

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2016年1号(通号36号)

【はじめに】

今回から新連載「コラム:一生ケンメイ!」をお届けします。このコラムでは、なぜこの件名を新しく作ったのか、その検討作業の舞台裏や、書誌データ検索に役立つこんな件名ありますなど、「一生懸命」作っている「件名」について、さまざまなトピックを紹介していきます。

【件名とは】

件名は、本のテーマを言葉で表したものです。個人名件名、団体名件名、統一タイトル件名、地名件名といった固有名件名と、一般的な用語からなる普通件名があります[1]。このうち普通件名を一覧にしたものを件名標目表と言い、国立国会図書館では「国立国会図書館件名標目表(NDLSH)」を使っています[2]。和図書や地図の書誌データには、NDLSHの中から最も適した件名を付与し、その書誌データを件名から検索できるようにします[3]

【件名の新設】

世の中では、日々新しいテーマの図書が出版されます。既存の件名では表せなかったり、これまで同じ件名を付与していたテーマをさらに細分化して内容を特定させたくなった場合、新しい件名を作ります。これを件名の「新設」と呼んでいます[4]

といっても、目録作業者が思いついた語を自由に件名として新設してしまうと、同じテーマを指す件名がいくつもできてしまったり、すぐに消えてしまうようなテーマを表す件名が乱立したり、明確な根拠のない語が件名として採用されるなどして、件名が検索語として役に立たなくなってしまいます。そこで、当館では、件名新設に関しては、以下のような手順を踏んで、1件1件慎重に作成しています。

目録作業者は、次の点を確認して、件名の新設を提案します。

  • 新設したい件名が参考図書類に掲載されている用語であること
  • その語を件名として付与できる書誌データが5件以上あること
  • その語の同義語、上位語や下位語、対応する分類記号など

そして、件名担当者数名が週に1回集まり、その提案の内容を検討します[5]

【細目とは】

件名はその資料のテーマをできるだけ特定して付けることが重要です。たとえば犬がテーマなら、「動物」でも「哺乳類」でもなく「」という件名を付与します。しかし、犬がテーマの図書はたくさんあり、「」という一つの単語では、内容を特定するのに限界があります。そんなとき、複数の語を結合して一つの件名にすれば、より内容を特定できるのです。たとえば「犬の病気」についての本であれば「犬 ‐‐ 疾患」、「文学作品で描かれる犬」がテーマの本であれば「犬 ‐‐ 文学上」、といった具合です[6]。先頭に来る語を主標目、後ろに結合する語を細目と呼びます。「疾患」「文学上」のように内容を補う細目は「主題細目」といいます[7]。結合できる主標目の種類は、細目ごとに決めています[8]

【主題細目「復興」「被災者支援」】

今回、「復興」「被災者支援」という二つの主題細目を新設しました。二つの単語をみて、すぐに思い浮かばれた方も多いかと思います。これらは、東日本大震災関連の資料を整理している際に必要と考え、新設したものです。

普通件名「東日本大震災 (2011)」を新設したのは、震災から2か月後の2011年5月のことでした。その時点で、災害名を表す件名に結合できる細目は、すでにいくつか存在していました。たとえば、各地の被害状況の報告書等には「東日本大震災(2011) ‐‐ 被害 ‐‐ ○○」(○○は地名。以下同様)、震災報道について書かれた資料には「東日本大震災(2011) ‐‐ 報道」などというように、一部のテーマについては特定性の高い件名を付与することができました。しかし、多くの東日本大震災関連の資料には「東日本大震災 (2011)」が細目のないまま付与され、その数はその後の5年間で1000件以上にもなってしまいました。

特筆すべきは、震災からの復興に関する資料です。震災後、被災地の自治体等では復興計画がたてられ、各地から復興計画書が納本されました。それらには当初、どこの復興計画であるのかを表す「災害復興 ‐‐ ○○」という件名を付与し、災害名を補うために「東日本大震災(2011)」を合わせて付与していました。しかし、年月が経つにつれ、復興の足取りの記録、さまざまな取組みの成功例や、困難な課題を指摘したものなど、復興をめぐる資料はますます多種多様になり、出版点数も増加してきました。このような趨勢を見て、「東日本大震災からの復興」という、より特定的な概念を一つの件名で表したいと考え、主題細目「復興」を新設し、「東日本大震災(2011) ‐‐ 復興 ‐‐ ○○」という形の件名を付与できるようにしたのです[9]


図1 NDL-OPACの表示例(細目新設以前と現在)

同時に「被災者支援」という主題細目も新設しました。

東日本大震災をきっかけに、各地では、これから起こるかもしれない災害を想定した被災者支援システムが構築されるようになりました。また、さまざまな角度から被災者支援論が語られることも増えました。それに伴い、実際に起こった災害における被災者支援の記録と、一般的な被災者支援論の件名を付け分ける必要が生じてきました。そこで、「被災者支援」という主題細目を新設し、実際に起こった災害における被災者支援の記録に対しては、「東日本大震災(2011) ‐‐ 被災者支援 ‐‐ ○○」という件名を付与することで、テーマをより特定できるようにしました。


図2 件名の付け分け

【おわりに】

現在、「東日本大震災(2011) ‐‐ 復興 ‐‐ ○○」という形の件名は45件[10]作成されています。これは、45の地域や自治体による復興の記録が刊行され、国立国会図書館に納本されていることを意味します。「東日本大震災(2011) ‐‐ 被災者支援 ‐‐ ○○」という形の件名は29件[11]です。

東日本大震災だけでなく、さまざまな災害の爪痕で苦しんでいる人はたくさんいます。復興に向けた苦しい足取りや、被災者支援の取組みが記録された資料を手にするたび、継続して頑張っている人々の姿から多くの希望をいただきます。その人々の営みを風化させぬよう記録を残している人に対して、尊敬と感謝の念に堪えません。それに比べると、我々にできるのは微々たることですが、みなさんが必要とするときに、これらの資料にきちんとアクセスできるよう、的確な件名作業を行っていきたいと思います。

境野 由美子
(さかいの ゆみこ 国内資料課)

[1]件名の種類の詳細は、「国立国会図書館件名作業指針」に記載しています。
・国立国会図書館件名作業指針(2013年7月現在)(PDF: 745KB),
http://warp.da.ndl.go.jp/collections/NDL_WA_po_print/info:ndljp/pid/9484238/www.ndl.go.jp/jp/library/data/NDL_WA_po_kenmeimanual.pdf#page=15, (参照 2016-01-25).

[2]NDLSHは、Web NDL Authorities(国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)で検索することができます。
http://id.ndl.go.jp/auth/ndla, (参照 2016-01-25).
また、NDLSHの収録範囲に該当する全件データをRDF/XML形式、TSV形式でダウンロードすることができます。
http://id.ndl.go.jp/information/download/, (参照 2016-01-25).

[3]件名については、本誌2009年2号(通号9号)でも解説しています。
大柴忠彦. コラム:書誌データ探検 件名(1) 図書館版キーワード検索―件名標目とは?,
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3507135_po_2009_2.pdf?contentNo=1#page=14, (参照 2016-01-25).
※記事中の図のNDL-OPACの画面は、2009年当時のものです。現在のNDL-OPACの画面とは異なります。

[4]新設件名等をRSS配信でお知らせしています。
http://id.ndl.go.jp/information/ndlsh-rss/, (参照 2016-01-25).

[5]件名の新設については、本誌2009年3号(通号10号)でもご紹介しています。
大柴忠彦. コラム:書誌データ探検 件名(2) NDLSHメイキング―件名標目新設の現場,
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3507136_po_2009_3.pdf?contentNo=1#page=19, (参照 2016-01-25).
※記事中の図のNDL-OPACの画面は、2009年当時のものです。現在のNDL-OPACの画面とは異なります。

[6]複数の語をあらかじめ結びつけて主題を表現する方法を事前結合方式と言います。詳しくは、本誌2009年4号(通号11号)をご覧ください。
大柴忠彦. コラム:書誌データ探検 件名(3) 事前結合方式-件名標目の可能性,
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3507137_po_2009_4.pdf?contentNo=1#page=14, (参照 2016-01-25).
※記事中の図のNDL-OPACの画面は、2009年当時のものです。現在のNDL-OPACの画面とは異なります。

[7]他の細目には以下のものなどがあります。
・地理的範囲を限定する「地名細目」 例:「鳥 ‐‐ 日本」「鳥 ‐‐ アジア
・時代を表す「時代細目」 例:「科学技術 ‐‐ 歴史 ‐‐ 古代」、「科学技術 ‐‐ 歴史 ‐‐ 20世紀
・本の刊行形態を表す「形式細目」 例:「魚 ‐‐ 辞書」「魚 ‐‐ 書目
なお、一つの主標目に複数種類の細目を結合することもあります。 例:「小学校 ‐‐ 法令 ‐‐ 日本 ‐‐ 歴史 ‐‐ 明治時代

[8]細目が結合される件名標目の分野によって細分した一覧を、「細目一覧」に掲載しています。
・国立国会図書館件名標目表細目一覧(PDF: 337KB),
http://warp.da.ndl.go.jp/collections/NDL_WA_po_print/info:ndljp/pid/9484238/www.ndl.go.jp/jp/library/data/NDL_WA_po_kenmeisaimoku.pdf, (参照 2016-01-25).

[9]東日本大震災の復興に関する資料の書誌データは、すべて、遡及して件名を修正しました。その他の災害については、主題細目「復興」新設以降に納本された資料の書誌データから、現在の形の件名を付与しています。

[10]2016年1月25日現在

[11]2016年1月25日現在


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2016年1号(通号36号) 2016年3月25日発行

編集・発行 国立国会図書館収集書誌部

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