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世界図書館・情報会議(第81回IFLA大会)、VIAF評議会会議報告

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2015年4号(通号35号)

【はじめに】

「世界図書館・情報会議(WLIC)―第81回国際図書館連盟(IFLA)大会」が2015年8月15日から20日にかけて、南アフリカ共和国のケープタウンで開催され、筆者は国立国会図書館代表団6名のうちの一人として参加しました。書誌分科会常任委員会へ常任委員として出席するとともに、関連する分科会の常任委員会や書誌関連のオープン・セッションにも参加しました。また、IFLA大会前日の8月14日には、同じケープタウン市内で開催されたバーチャル国際典拠ファイル(VIAF)評議会会議にも出席しました。

以下に概要を報告します。


ケープ半島にある喜望峰

1. 世界図書館・情報会議(WLIC)-IFLA第81回年次大会 [1]

IFLAにおける書誌関連の分科会は、図書館サービス部会のもとに、書誌分科会、目録分科会および分類・索引分科会の三つがあります。また同じ部会の中には、戦略的プログラムとしてUNIMARCがあります。

(1)書誌分科会常任委員会

委員長の交代があり、選挙の結果、新委員長にはスウェーデン国立図書館のミリアム・ナウリ氏(Miriam Nauri)が選出されました。続いて、委員会の活動について、経過報告や今後の計画の検討等を行いました。

全国書誌に係る指針の改訂

書誌分科会では、2009年刊行の全国書誌に係る指針「デジタル時代の全国書誌:指針および新しい方向性[2]の改訂を進めています。改訂版のタイトル“Best Practice for National Bibliographic Agencies in a Digital Age”に「ベストプラクティス」とあるように、指針としてだけでなく、参考にできる各国の事例集としても使用できるものを目指しており、改訂途中ですが、書誌分科会のウェブサイトにすでに掲載しています[3]。今後は編集体制を強化して、新たに2名の委員を加えて4名とし、内容拡充のため、外部有識者への執筆依頼や、常任委員による分担執筆についても案が提示されました。

全国書誌登録簿の拡充

書誌分科会のウェブサイトには、“National Bibliographic Register”(「全国書誌登録簿」)というページがあり、各国の全国書誌の現況が把握できるよう、全国書誌作成機関からの情報を取りまとめて公開しています[4]。未登録の機関もあり、今大会が南アフリカのケープタウンで開催されることを機に、2014年来アフリカ諸国の全国書誌作成機関へあらためて登録の呼びかけを行ってきたものの、今期は新規の登録がありませんでした。すでに登録されている機関の情報にも更新が必要なものがあるため、全国書誌に係る指針の改訂に向けての各国の事例収集とも連動させながら、さらに全国書誌登録簿の拡充を目指すこととなりました。

『IFLA Metadata Newsletter』について

書誌分科会は、目録分科会および分類・索引分科会と合同で、新たなニュースレター『IFLA Metadata Newsletter』を2015年の6月に創刊しました。関連の深い3分科会の最新情報をまとめて把握できる内容となっています。このニュースレターについて、評価と今後の方向性をめぐって議論を行いました。好意的な声が多い中、各分科会の記事の内容をもっと結合させるべきとの意見もあり、広報媒体とコミュニケーションチャネルのどちらの役割を重視するかという問題提起や、ニュースレターが対象とすべき読者層は何か、Metadataの語の使用法が適切かなど、活発な意見交換が行われました。

オープン・セッション「変化する全国書誌:電子資料の納本制度に関連して」

電子書籍等のオンライン資料の全国書誌への収録と、その前提となる収集を支える納本制度の整備は、各国ともに大きな課題です。今年の書誌分科会オープン・セッションは、南アフリカ、チェコ、スウェーデン、フランスから4本のペーパー発表が行われました。

発表後の議論では、今後の課題として、メタデータの水準、全国書誌の収録範囲、オンライン目録における電子資料の提供方法などがあがりました。つまり、伝統的な印刷資料等と比較して急増するオンライン資料を全国書誌で扱う上で、許容できるメタデータのレベルや、収録対象外とする資料の明確化などについてです。また、各国とも電子資料の制度的収集の構築においては、出版者等との協働が重要であり、制度の趣旨への理解を得るために辛抱強く交渉を重ねていることを、口をそろえて強調していたのが印象的でした。

次期のオープン・セッションは、2016年IFLA大会のテーマである‘Connections, Collaboration, Community’を念頭に、全国書誌のデータ・サービス・システムの三者のより深いコラボレーションを目指して、プログラムを組むこととなりました。

(2)関連する分科会

書誌分科会と深く関係する目録分科会および分類・索引分科会の常任委員会へオブザーバとして出席し、情報収集を行いました。

目録分科会常任委員会

書誌レコードの機能要件(FRBR)、国際標準書誌記述(ISBD)、国際目録原則覚書(ICP)、名前空間(Namespace)などの各作業グループから報告が行われました。ICP[5]については、2015年の5月に行われた改訂案への意見募集において各国機関から寄せられたレビュー結果が紹介され、今後はIFLA外のグループや有識者によるレビューを実施した上で、2015年の末には最終案を提示する予定であることが報告されました。ただし、FRBR、FRAD、FRSAD[6]の整理統合作業(Consolidation)の結果によって、あらためてICPの改訂作業が必要になるため、今回の改訂作業は現状に合わせた最低限のものとなる予定です。

目録分科会のオープン・セッションでは、「データのウェブに対する書誌情報モデリング:課題と成果」をテーマに、4本のペーパー発表が行われました。スペインと南アフリカからの事例紹介に加え、FRBRレビューグループからは、FRBRの整理統合作業の進捗報告としてFRBR-LRM(FRBR Library Reference Model)について発表があり、フランス国立図書館とISSN国際センターからはFRBRooおよびPRESSoo[7]についての紹介がありました。

2016年のオープン・セッションは、情報技術分科会と共催で、現在は異なるグループによって作られている目録規則、書誌交換フォーマット、目録システムについて、一つの場で議論する機会を提供することになりました。また、目録分科会は2016年大会(開催地:米国コロンバス)のサテライト・ミーティングを「Authority Data on the Web」(ウェブ上の典拠データ)のテーマで開催する予定です。

分類・索引分科会常任委員会

分類・索引分科会で検討を継続しているジャンル形式用語について、現ワーキンググループのチェアから目録分科会に共同ワーキンググループの設置を提案したところ、目録分科会から常任委員1名が共同チェアとして参加することになり、両分科会による検討体制を構築することになりました。

2. VIAF評議会会議

2015年は、南アフリカ国立図書館の施設である「本のセンター」(Centre for the Book)で開催されました。次期議長に米国議会図書館(LC)のビーチャー・ウィギンズ氏(Beacher Wiggins)、次々期議長の候補(兼次期副議長)にはケベック州立図書館・文書館のパット・リーバ氏(Pat Riva)が、それぞれ選出されました。


会場の南アフリカ国立図書館「本のセンター」

(1)現況報告

OCLCからの報告によると、VIAF参加機関は、2015年8月現在で37機関となりました。新規参加国・地域はアイルランドと台湾で、そのデータはすでにVIAFに掲載済です。韓国・チリ・カナダ・ロシアは参加手続きが完了しており、準備が整ったところから順次テストデータが掲載されています。VIAFに収録されている典拠データ数は5,300万件(クラスターの数は2,900万件)となりました。

おもな改善点や追加事項として、英語版WikipediaからWikidataへのリンク先の変更、WorldCatの書誌レコードからの著作の統一タイトルレコードと表現形(翻訳タイトルと翻訳者)レコード(「xR」レコード)の生成などが報告されました[8]。現在は地名典拠や団体名典拠のマッチング作業に力を入れるとともに、地名典拠の同定等にFAST(Faceted Application of Subject Terminology)を活用しています[9]

(2)今後の展開等

「VIAF参加基準」は今回の評議会をもって確定しました。この参加基準は、参加機関を、データ提供だけでなくVIAF評議会への参加資格がある国立図書館や国際機関などのVIAF Contributorと、データ提供によって分野や言語等の観点からVIAFの品質向上への貢献が期待されるOther Data Providerの二つに分け、それぞれの参加機関となるための要件等を定めるものです。

「VIAFガイドライン」は、VIAFがデータ提供機関に求める典拠データの種類やフォーマット、備えるべき内容と品質、提供された典拠データに対するVIAFにおける処理方法、適切に処理できないケースなどを整理したものであり、今後も継続してアップデートしていくこととなりました。この中で、もし誤ったVIAF IDを自館の典拠データに記録すると、強力なリンクによって誤ったクラスターをVIAF内に生成する恐れがあるため、留意すべきとの指摘がOCLC担当者からありました。

続いて、データの品質管理について議論が行われました。昨年も議題にあがった架空の人物(Imaginary characters)の扱いについては、欧米各国で適用が広がりつつある新たな目録規則RDAでは、架空の人物を実体「個人」として記録する規定となっており、件名を除く名称典拠を収録対象とするVIAFにおいても、ダース・ベイダーやシャーロック・ホームズなどの典拠データが含まれるようになってきました。ただし議論の中で、フィクション上のキャラクターなどはおおむね単独の典拠データであり、VIAF内にリンクのない、クラスターを形成しない典拠データがいたずらに増えるのではないかといった懸念も示されています。

典拠データへの「職業」の記録については、個人名典拠の同定には非常に有効であるものの、一概に「職業」といった場合に一般的なもの(general occupation)と専門的なもの(professional occupation)があり、典拠データに記録すべきものの選択が難しいとの意見もありました。

新議長のウィギンズ氏からは、LCの名称典拠ファイル(LCNAF)のRDA変換プロジェクトの現状の概要について簡単な報告がありました。国際的な共同目録プログラムPCC(Program for Cooperative Cataloging)とLCは連携して2013年から LCNAFの典拠データへのRDA適用を段階的に実施しており、近日中に大規模なデータ変換テストを行う予定です。

典拠データを扱う上で切り離せない個人情報の扱いに係る各国の法的枠組み等については、引き続き情報を収集することを確認しました。

【おわりに】

筆者は今回が初めてのIFLA大会への参加であり、あわせてVIAF評議会に出席する機会を得ました。

IFLAの各分科会の常任委員会では、具体的な活動内容を通じた国際的な書誌調整への寄与が求められることを実感しました。特に常任委員として出席した書誌分科会では、主要なプロジェクトの一つである全国書誌に係る指針の改訂作業において、具体的な日本の事例を整理して積極的に提示していく必要があります。それによって、ベストプラクティスとして厚みのあるガイドラインの作成に資することができればと考えます。

また、各セッションにおいては、各国の最新動向について情報を収集することができました。特にオンライン資料の制度的収集とメタデータの作成、全国書誌への収録については、日本でも検討されている有償の電子書籍・電子雑誌の制度的収集の進捗を見ながら、各国の事例も参考に、当館の方向性を検討する必要があります。

VIAFについては、当館は2012年に東アジアから初めて参加した機関であり、評議会メンバーとして毎年VIAF評議会に出席しています。2015年になって同じ東アジアの台湾と韓国の参加が決定しました。すでに台湾のデータはVIAFのインターフェース上で確認することができ、調整中の韓国はこれから掲載されることになると思われます。同じ非ラテン語圏からの参加機関として、今後はこれらの機関とも協力しながら、VIAFを通じて国際的な典拠データ調整の場へ参画していきたいと思います。

津田 深雪
(つだ みゆき 収集・書誌調整課)

[1]今回の大会プログラム、発表ペーパーの一部については、以下に掲載されています。
http://conference.ifla.org/past-wlic/2015/ifla81/programme.html, (参照2015-11-16).
http://library.ifla.org/view/conferences/2015/, (参照2015-11-16).
また、昨年2014年のIFLA大会およびVIAF評議会については、本誌2014年4号(通号31号)の記事をご覧ください。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2014_4/article_01.html, (参照2015-11-16).

[2]収集書誌部訳「デジタル時代の全国書誌:指針および新しい方向性」を国立国会図書館デジタルコレクションで公開しています。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9454266, (参照2015-11-16).

[3]“Best Practice for National Bibliographic Agencies in a Digital Age”
http://www.ifla.org/node/7858, (参照2015-11-16).

[4]日本の全国書誌についての情報も登録されています。
http://www.ifla.org/node/2218, (参照2015-11-16).

[5]収集書誌部訳「国際目録原則覚書」を国立国会図書館デジタルコレクションで公開しています。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1000879, (参照2015-11-16).

[6] FRBR(Functional Requirements for Bibliographic Records)、FRAD(Functional Requirements for Authority Data)、FRSAD(Functional Requirements for Subject Authority Data)

[7]FRBRoo、PRESSooについては、本誌2013年2号(通号25号)で紹介しています。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2013_2/article_03.html, (参照2015-11-16).

[8]IAFのxRレコードの生成については、本誌2014年4号(通号31号)掲載の以下の記事でも解説しています。
柴田洋子. OCLCの多言語書誌構造化の取組み ―利用者にとって最適な表示を目指して,
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2014_4/article_03.html, (参照2015-11-16).

[9]FASTはLCの件名標目表(LCSH)を簡易なフォーマットで表現してウェブ上で利用しやすくしたもので、クラスタリングやインデキシング等に有効として活用されています。


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2015年4号(通号35号) 2015年12月24日発行

編集・発行 国立国会図書館収集書誌部

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