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国際的な書誌調整への参加 ―世界図書館・情報会議(IFLA第80回年次大会)、IFLAセマンティック・ウェブ研究会・情報技術分科会共催サテライト・ミーティング、VIAF評議会会議(報告)

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2014年4号(通号31号)

【はじめに】

「世界図書館・情報会議(国際図書館連盟(IFLA)第80回年次大会)」が2014年8月16日から22日にかけて、フランスのリヨンで開催され、国立国会図書館代表団の一人として参加しました。筆者は、書誌分科会常任委員会に常任委員として出席したほか、関連する分科会の常任委員会やオープン・セッションにも参加しました。

また、大会開催前々日の8月14日にパリで開催されたIFLAセマンティック・ウェブ研究会・情報技術分科会共催サテライト・ミーティングに出席し、国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス(Web NDL Authorities)についてペーパー発表を行いました。8月15日には、リヨンで開催されたバーチャル国際典拠ファイル(VIAF)評議会会議に出席しました。

以下に概要を報告します。


リヨンの街並み

1. 世界図書館・情報会議(IFLA第80回年次大会)[1]

(1) 書誌分科会常任委員会

全国書誌に係る指針の改訂

書誌分科会の主たる任務は全国書誌に関することです。ここ数年は、2009年刊行の全国書誌に係る指針[2]の改訂について検討を進めています。改訂版は“Best Practice for National Bibliographic Agencies in a Digital Age”と題し、指針に則した各国の全国書誌の事例を集積し、書誌分科会のウェブサイトにオンライン資料として掲載します。

会議では、改訂版の編集作業の進め方について確認しました。常任委員会内の編集作業チームが作成したプレヴュー版を元に、今後、内容の拡充を進めていくこととし、また、常任委員会外の専門家にも執筆やレヴューを依頼することとしました。2015年7月には常任委員会メンバーによる確認を終え、8月公開が目標です。公開後も、ウェブページであることの特性を生かして、情報の更新を随時図っていきます。

また、全国書誌における典拠コントロールの重要性をふまえ、狭義の書誌のみならず、典拠に関する内容の充実を図ることも検討していきます。

“National Bibliographic Register”

書誌分科会では、各国の全国書誌の現況が簡便に把握できるよう、分科会のウェブサイトに “National Bibliographic Register”(「全国書誌登録簿」)というページを設けて公開しています。この登録簿は、上述の全国書誌の“Best Practice”において利用事例としても位置付けられるべきものであり、両者の関連付けについて今後検討していくこととしました。

また、今期は新規の登録がありませんでしたが、来年はIFLA年次大会開催地が南アフリカ共和国のケープタウンであることに鑑み、特にアフリカ諸国の全国書誌作成機関へ登録を呼びかけていくこととしました。

なお、日本の全国書誌については、2014年3月25日からの全国書誌(電子書籍・電子雑誌編)の提供[3]に伴い、登録簿の情報を更新しています。

2015年のオープン・セッション

電子書籍等オンライン資料の全国書誌収録促進も、書誌分科会における課題です。収録促進のためには、各国の納本制度におけるオンライン資料への対応[4]が必要です。そこで、2015年のIFLA年次大会のオープン・セッションについて検討し、‘electronic legal deposit’と全国書誌をテーマにプログラムを組むこととしました。また、実施にあたっては、国立図書館分科会へ共催を働きかけることとなりました。

(2) 目録分科会常任委員会および分類・索引分科会常任委員会

書誌分科会に密接に関連する目録分科会常任委員会および分類・索引分科会常任委員会にオブザーバとして参加しましたが、今年は新しい動きはありませんでした。

目録分科会では、FRBR、FRADおよびFRSADの3モデル[5]の整理統合(Consolidation)作業、「国際目録原則覚書」の見直し等について、経過報告がありました。また、『国際標準書誌記述』(ISBD)の見直しに関しては、各国の国立図書館等へISBD適用等に関するアンケート調査を行いましたが、米国ほかいくつかの国立図書館から回答が得られていないため、調査を継続することとなりました。

なお、目録分科会は、大会に先立つ8月13日に、“Resource Description and Access”(RDA)の現状と今後をテーマとしたサテライト・ミーティングをドイツ国立図書館にて開催しました。[6]

分類・索引分科会では、昨年、ジャンル形式用語に関する検討を開始することとしましたが、具体的な進展はまだ見られませんでした。また、そもそも、分科会の名称‘Classification and Indexing’(分類・索引)が古びており、たとえば‘Subject Access’(主題アクセス)という名称に変更してはどうか、という意見が出ていました。

(3) UBCに関するオープン・セッション

今年の大会では、IFLAにおけるすべての書誌関連分科会等(目録分科会、書誌分科会、分類・索引分科会およびUNIMARC戦略プログラム)が共催して、“Universal Bibliographic Control in the Digital Age: Golden Opportunity or Paradise Lost?”と題し、国際書誌調整(UBC)をテーマに5時間にわたるオープン・セッションを行いました。

UBCをめぐるさまざまなテーマのペーパー10本の発表がありました。セッション冒頭のOCLC(OCLC Online Computer Library Center)からの基調報告では書誌コントロールにおける典拠の意義が強調され、また、フランス国立図書館からの報告でも「典拠コントロールは戦略的ツール」であると主張される等、全体として書誌調整における典拠の重要性について再認識させられるものでした。

ところで、UBCをテーマにこのようなオープン・セッションを行った背景には、UBCが実質的にIFLAのコア・プログラムではなくなったことに対して、昨年、書誌分科会を中心にUBCに関する声明をまとめ、IFLAのウェブサイトに掲載したということがあります。すなわち、この声明発表を踏まえて、UBCの重要性をさらに広く訴えていこうというねらいがありました。

しかしながら、それが功を奏したとは言い難いように感じました。セッション全体については散漫な印象を受けましたし、質疑応答もほとんどありませんでした。オープン・セッション後に行われた書誌分科会常任委員会における評価では、ヨーロッパおよび米国からの発表ばかりで(イランからの発表が予定されていたが、当日は都合によりキャンセル)、その地域的な偏りを指摘する意見がありました。

2. IFLAセマンティック・ウェブ研究会・情報技術分科会共催サテライト・ミーティング[7]

(1) ミーティング概要

サテライト・ミーティングは、“Linked Data in Libraries: Let's make it happen !”と題し、図書館とLinked Dataをテーマにフランス国立図書館で行われました。ヨーロッパを中心に、米国、カナダ、チリからも参加があり、参加者は188名(参加者名簿による)にのぼりました。

ミーティングは、午前に2部、午後に2部の4部構成で行われました。第1セッションでは図書館におけるLinked Data 提供の実践例について、第2セッションではLinked Data発展のためのアプリケーション開発について、第3セッションではLinked Dataモデルで使われる語彙の作成・維持管理について等、全体を通して10本のペーパー発表がありました。最後のセッションでは、Linked Dataサービスとソフトウェアについて、OCLCおよびシステム・ベンダー2社によるオープン・ディスカッションが行われました。

(2) ペーパー発表

筆者は、第1セッションにおいて、典拠データのLinked Data提供の実践例として、“Web NDL Authorities: Authority Data of the National Diet Library, Japan, as Linked Data”と題し、Web NDL Authoritiesについてペーパー発表を行いました。

当館の著者名典拠および件名標目表(NDLSH)について、冊子体やMARCフォーマット等による頒布からLinked Dataとしての提供へと至った歴史的背景を説明した後、Web NDL Authoritiesについて、その機能および特徴、また、VIAFや米国議会図書館件名標目表(LCSH)との連携を紹介しました。最後に、図書館利用者のみならずウェブ環境における利用者へも典拠データを提供することの意義、また、その提供方法としてのLinked Dataの重要性を述べ、当館として引き続きLinked Dataへの対応を進めていくことを説明しました。

参加者からは、西洋諸国・言語外での実践例として興味深くとらえられ、特にWeb NDL AuthoritiesにおけるNDLSHとLCSHとのリンクについては好評を得ました。さらに、Europeana、ドイツ国立図書館、フランス国立図書館の方々から、欧州図書館のMACS(Multilingual Access to Subjects)[8]との連携可能性を示唆するコメントをいただきました。


サテライト・ミーティングでの当館発表の様子(左端が筆者)

3. VIAF評議会会議[9]

(1) 議長選挙

次期議長にフランス国立図書館のヴァンサン・ブレ氏(Vincent Boulet)、議長候補(兼副議長)に米国議会図書館のビーチャー・ウィギンズ氏(Beacher Wiggins)が選出されました。

(2) 現況報告および今後の展開

まず、VIAFの現況についてOCLCから報告がありました。VIAF参加機関は、2014年7月現在、29か国34機関となりました。そのうち国立図書館は24館で、直接の参加ではなく、コンソーシアム等を通じたデータ提供も合わせると、35の国立図書館が貢献しています。

その後、今後のVIAFの展開について議論しました。まず、VIAFへの参加基準について検討しました。VIAFのメンバーシップを、国立図書館や国際機関などデータを提供するだけでなくVIAF評議会へも参加する資格がある“VIAF Contributors”と、データ提供によって分野や言語等の観点からVIAFの品質向上への貢献を期待できる“Other Data Providers”との二つに分け、それぞれについて参加基準や参加手順を定めることとしました。

また、VIAFデータの品質管理に関して、特に、個人名典拠データとして人物の国籍および職業を含めることについて議論しました。特に、国籍の記録方法については、VIAFが多言語データベースであることを考慮すると、文字列よりもコード化情報(国名コード)を入力した方がよいとの意見がありました。

VIAFとISNI(International Standard Name Identifier、創作者等の名称に関する国際標準識別子)との連携の継続についても確認しました。

(3) Linked Data戦略

最後に、Linked Data戦略を議事として採り上げました。OCLCからの発表に続き、評議会前日にパリで開催されたIFLAセマンティック・ウェブ研究会・情報技術分科会サテライト・ミーティングのレポートがありました。サテライト・ミーティングでも、VIAFについてはしばしば言及されていました。サテライト・ミーティングでの議論をふまえ、Linked Dataを支えるものとしての信頼できる典拠データの必要性が確認されました。

なお、上述のとおりこのサテライト・ミーティングで当館からWeb NDL Authoritiesについてペーパー発表を行ったことを、この場でも報告しました。ここでも、Web NDL AuthoritiesとMACSの連携可能性が話題になりました。VIAFが扱うのは、今のところ、個人名や団体名などの固有名典拠だけですが、一方で、MACSが件名典拠版VIAFとなる可能性も示唆されました。

【おわりに】

今年のIFLA大会では、昨年の大会[10]同様、典拠の重要性について再認識させられました。典拠の重要性は、UBCに関するオープン・セッションのみならず、書誌分科会常任委員会における議論においてもしばしば強調されました。

当館のWeb NDL Authoritiesはウェブ環境に適した典拠データの提供として、先駆的な実践です。サテライト・ミーティングにおけるこのWeb NDL Authoritiesについてのペーパー発表は、昨年のVIAF評議会会議[11]における発表に続き、少なからぬ反応がありました。Web NDL Authoritiesを国内外にさらにアピールするとともに、そのデータ内容やシステム機能をより充実させていくべきものと考えます。

また、当館は、東アジアで最初の参加機関としてVIAFに参加し、定期的に典拠データを提供しています。VIAF評議会会議にも毎年出席し、発表等も行ってきました。こうして、当館は、特に典拠の側面から、国際的な書誌調整に着実に参加してきているといえます。

Web NDL AuthoritiesとVIAFを手掛かりとして、IFLA等を通じて、今後も国際的な書誌調整に参加していくことができますし、また、積極的に参加していくべきだと考えます。

大柴 忠彦
(おおしば ただひこ 関西館 図書館協力課)

[1] 大会プログラム、発表ペーパー等は、次に掲載されています。
http://conference.ifla.org/past-wlic/2014/ifla80.html,(参照2014-11-10).

[2] 国立国会図書館収集書誌部訳「デジタル時代の全国書誌:指針および新しい方向性」を当館ホームページで公開しています。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/basic_policy/international/index.html#anchor04,(参照2014-11-10).

[3] 全国書誌(電子書籍・電子雑誌編)の提供については、本誌2014年2号(通号29号)でご紹介しています。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2014_2/article_01.html,(参照2014-11-10).

[4] 当館の対応については、以下のページをご覧ください。
http://www.ndl.go.jp/jp/collect/online/index.html,(参照2014-11-10).

[5] FRBR(Functional Requirements for Bibliographic Records)、FRAD(Functional Requirements for Authority Data)、FRSAD(Functional Requirements for Subject Authority Data)

[6] 大会プログラム、発表ペーパー等は、次に掲載されています。
http://www.dnb.de/DE/Standardisierung/International/iflaSatelliteMeeting.html,(参照2014-11-10).
また、このミーティングについては、以下の記事に部分的な紹介があります。
柴田洋子. ウェブで広がる図書館のメタデータを目指して―RDAとBIBFRAME . カレントアウェアネス. 2014, (322),
http://current.ndl.go.jp/ca1837,(参照2014-12-20).

[7] 大会プログラム、発表ペーパー等は、次に掲載されています。
http://ifla2014-satdata.bnf.fr/,(参照2014-11-10).
また、このサテライト・ミーティングについては、以下に報告があります。
竹鼻和夫. 図書館におけるLinked Data:実現させよう!<報告>. カレントアウェアネス-E. 2014, (268),
http://current.ndl.go.jp/e1618,(参照2014-11-10).

[8] 英語(LCSH)、ドイツ語(SWD)、フランス語(RAMEAU)の件名標目表をリンクさせるプロジェクト。以下の記事などを参照。
多言語シソーラスの構築と開発のためのガイドライン. カレントアウェアネス-E. 2009, (146), http://current.ndl.go.jp/e904,(参照2014-11-10).

[9] 会議の議事次第、資料等は、次に掲載されています。
http://www.oclc.org/events/2014/viaf-ifla-2014.en.html,(参照2014-11-10).

[10] 2013年のIFLA大会については、本誌2013年4号(通号27号)にて報告しています。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2013_4/article_02.html,(参照2014-11-10).

[11] 2013年のVIAF評議会会議については、本誌2013年4号(通号27号)にて報告しています。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2013_4/article_03.html,(参照2014-11-10).


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2014年4号(通号31号) 2014年12月25日発行

編集・発行 国立国会図書館収集書誌部

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