平成24年度第1回 国立国会図書館活動実績評価に関する有識者会議 議事概要
1.開催日時
平成24年6月15日(金)10時00分~12時00分
2.開催場所
国立国会図書館 東京本館 3階 総務課第一会議室
3.構成員
(座長)糸賀 雅児(慶應義塾大学文学部教授) 小野 達也(鳥取大学地域学部教授) 角川 歴彦(角川グループホールディングス取締役会長) 只野 雅人(一橋大学大学院法学研究科教授) 田辺 国昭(東京大学大学院法学政治学研究科教授)(欠席) 辻 由美(作家、翻訳家)
4. 国立国会図書館出席者
大滝館長、田屋副館長、網野総務部長、ローラー総務部企画課長
5. 主な会議内容
国立国会図書館からの説明
・平成23年度重点目標評価案について
6. 構成員からの主な意見と国立国会図書館の対応
平成23年度重点目標評価案について国立国会図書館から説明を行った後、有識者会議構成員による意見交換を行った。概要は以下のとおりである。
(有:有識者会議構成員、図:国立国会図書館)
有:過去5年間と比べての相対評価を掲げているが、「こうあるべき」という絶対的な目標を立てることがありうるか。
有:例えば全蔵書のデジタル化は大目標であるが、膨大な金額が必要である。予算段階からこういうことをやってほしい、という意見を有識者会議が出せば、それが絶対評価になるかどうか。
有:国立国会図書館の目標、計画、活動について意見を出すことは、有識者会議の役割に含まれている。自己評価についての意見だけではなく、国会や国民のためにこういう目標を立てるべき、という付帯意見も出していきたい。実現可能性という面では、すぐには無理かもしれないが、国会図書館としての経営戦略、国民の支持を得るための大所高所からの意見を出すことも大事だと考える。
有:今後、国立国会図書館ではデジタル化の対象を新刊書まで拡大するのか。
図:デジタル化は、1968年までに当館が受け入れた出版物について行っている。法律上は最近の出版物についてもデジタル化できるが、基本的にそういう目標は持っていない。最近の出版物については、デジタル画像を製作するよりは、出版社のテキストデータを用いる方が利便性、経済性が高いが、技術面、権利面で難しい課題がある。
有:デジタル化資料の新規データ数については、平成21~22年度は補正予算が付いたために高い数値であったが、今後どう評価していくかは問題である。国家予算の関係もあり、単純に数値だけで見ていいのか、という問題がある。
有:全所蔵資料のデジタル化は絶対的目標となりうるのではないか。絶対的評価と相対的評価は柔軟に使い分けるのがよい。
有:平成21~22年度の補正予算は、東日本大震災前だから付いたのであろうし、全資料のデジタル化は難しく、実現には長期を要するであろう。しかし、付帯意見は出したいとは思う。
有:国立国会図書館が国民の共有の知的財産だということを知らしめる広報活動をするとよい。認知度を高めるにはどうしたらよいか、議論するべきではないか。
有:どういう広報を行い、どこに働きかければ、もっともコストパフォーマンスが高く、認知度をあげることができるか。
図:ご意見をいただきたい。認知度については、これまでのアンケート調査では各回ごとに母集団の捉え方が異なっており、数値が大きく変動した。そのため、重点目標5の「国民の国立国会図書館の認知度」は評価の対象外としている。
有:利用者は、今どの程度の人数か。
図:来館利用者は62万人である。インターネットを使っている方、つまり当館のOPACや画像を見ていただいている方は、さらに多いであろう。
有:認知度に関するアンケート調査を評価の対象外としたことについては、注に記すべき。
図:注を施すこととする
有:すでに公表した結果と大きく変わる部分、例えば目標値を変えた場合などは、説明を付すことによって、客観的な評価の整合性を担保する必要があろう。
有:重点目標2-(3)における「デジタルアーカイブシステムの新規データ量」の目標値を「現行水準維持」としているが、説得力が足りない。「前年度比増」としたほうがよいのではないか。
図:東日本大震災に対応し、被災地の自治体のウェブサイトを頻度を上げて収集したことが増加要因としてあり、「現行水準維持」でよいと考えている。
有:震災対応による一時的な増加であることは了解した。注で補足説明していただきたい。
有:この「デジタルアーカイブシステムの新規データ量」と、「重点目標(追加)」の「震災に対応して収集したウェブサイトのデータ件数」に重複はあるか。
図:重複している。ただし、前者はデータ量、後者はデータ件数である。
有:重点目標2-(3)の「インターネット資料収集保存事業(ウェブサイト別)のアクセス数」が増えているが、これも東日本大震災が絡んでいるか。
図:注記にあるとおり、ロボットによるアクセスが急増したことが大きな要因としてある。
有:外国からのアクセスが何割を占めているかは分かるか。
有:サーバが海外にあるだけのケースもあり、実際使っているのはどこの国か分からないが、国外からのアクセスを知ることで便利なことはあるか。
有:一般的に国外からのアクセスが多ければ、国際的な認知度がどれほどか、ある程度の推測は可能ではないか。印象論ではあるが、ヨーロッパと比べれば国立国会図書館はまだ内向きであり、海外からの利用者数はそれほど多くないのではないかと思われる。
図:ロボットによるアクセスが相当の割合を占める以上、海外での認知度をアクセス数によって推し測るのは難しいと思われる。
有:クローラを許可するにあたり、悪意のあるクローラなのか等、国立国会図書館のガバナンスとして把握しておくべきである。
図:セキュリティに関してはきちんと策を講じている。他方、クローラを許可することで広く使っていただける利点もある。セキュリティ上の問題がないのであれば、あるクローラは認めて別のクローラは認めない、ということは難しい。
有:クローラによるアクセスを有料化することは考えないのか。
図:図書館の有料化をめぐる議論は、なかなか結論が出ないところである。
有:システムの処理性能の問題はどうか。クローラを許可することによってレスポンスが遅くなることはないか。
図:レスポンスを見ながら可否を判断しており、問題はない。
有:海外の人に利用してもらうという役割は、国立国会図書館の果たすべき役割に含まれているのか。
図:当然含まれている。例えば当館の書誌データはOCLCという世界規模の書誌データ提供機関に投入し、利用していただくよう準備している。ウェブサイトや検索システムも英語版を作り、使っていただく想定をしている。
有:世界に対する情報の発信を目標に含めるべきではないか。
有:日中韓電子図書館イニシアチブは重要だと思う。ワールドデジタルアーカイブについても、詳しい説明を伺いたい。
図:日中韓電子図書館イニシアチブについては、平成23年に三国間で協定を締結し、電子図書館事業で協力を推進するという内容のものである。まず韓国と国立国会図書館サーチによる連携を実現し、先方の目録データベースを横断検索できる機能を実現した。今後は中国との間でも同様の連携を考えている。 ワールドデジタルライブラリーについては、当館は参加館憲章を締結しており、各国の歴史・文化に関わる資料を提供して教育に役立てる、という趣旨に鑑み、デジタル化資料を提供している。平成23年度は、準備までは行っていたが、提供には至らなかった。したがって指標としては0であるが、前年度に提供したデータについて改題の確認等の作業を実施している。
有:指標として資料数は適当か。どういうものを1点として数え、提供しているか。
図:源氏物語については、全ページを提供している。
有:源氏物語の画像データ全てで1点と数えているのか。点数だけで見るのは難しいということを了解した。ところで、ユネスコ等で本体のプロジェクトは進んでいるのか。
図:米国議会図書館が事務局となって進め、年1回、参加国の代表、執行評議委員が会合を開催している。今後は継続可能なビジネスプランを持つこと、また提供の際のルール作りを進めることについて、議論されているようである。
有:源氏物語は、全文を提供するよう先方から要求があったために提供したのか。国立国会図書館側からの提案ではなかったのか。
図:当初は全文のデジタル化が終了しておらず、一部のみを提供したところ、全画像データの提供を求められたため、デジタル化が終了した段階で全データを提供した。
有:明治期頃までの各国語に翻訳された資料があろうが、提供に向けた具体的な計画はあるか。
図:長期的なリストアップはしていないが、基本的には提供資料はこちらで選定しており、年度ごとに検討の上、提供している。
有:重点目標3-(1)の「書庫内資料の出納にかかる時間」は、たとえ秒単位のデータを測定していなくとも、全体を平均すればより緻密なデータになる。比例配分によって、例えば21分に近い20分か、19分に近い20分かは算出できるはずである。ご検討いただきたい。
有:雑誌・新聞の最新号については小数点第1位まで出ており、これは新聞と雑誌それぞれの値を加重平均したとのことだが、元のデータが日単位しかない場合、加重平均を行うのは問題である。加重平均を行う前の段階で、それぞれ小数点以下の数値を出しておく必要がある。
有:書庫内資料の出納にかかる時間は、システムの変更等がない限り改善は難しいのではないか。
図:難しいところはあるかと思う。なお、今年1月の新システムへのリプレース後は、書庫内資料の出納にかかる時間は指標として採取できない。
有:利用者にとって切実な数字である。また改善の余地はなくとも、サービスが低下しないことを確認する必要がある。
有:利用者サービスに対する分かりやすい指標であり、利用者の不満が直接出るところでもある。サンプル抽出等、他の方法でもよいから考えていかないと、利用者サービスの向上が判断できない。
有:重点目標5の「イベントの開催回数」には、国際子ども図書館で実施している「おはなし会」まで入っているという話だが、それにしては少ないのではないか。
図:「おはなし会」をすべてカウントしているわけではなく、特にその年毎に特別に実施した会のみを計上し、恒常的に実施しているものは除いている。
有:提示されている活動実績評価報告書案は、評価書ではなく、評価に関わる事業の説明書という位置づけと理解してよいか。これは事業説明のための資料であり、評価そのものは別建ての表となるのか。
図:そのとおりである。平成24年度、基本的に前年度を踏襲するが、新しいフォーマットでは経年の変化が見えなくなるので、実績レポートのような形で経年変化が見えるものを別途提示し、また報告書も出していきたいと考えている。
有:有識者会議の議事録は公開した方がよいのではないか。
有:透明性を高めるという意味で、大変有意義な提案だと思う。
有:職員のモチベーションを上げる、中長期的な目標を我々も外部からサポートしていく、という方向性で考えていただければ、むしろ効果的ではないか。
図:会議内容については、どの程度詳細なものとするかは決めてはいないが、公開を前提としたい。これまでは、ご審議いただいた評価の結果を公表することに力点を置いており、有識者会議はその途中のプロセスという位置づけであった。公開については、有識者会議の先生方のご意向を踏まえながら調整していきたい。
有:今はどの会議も公表するという流れである。是非内部で調整していただき、来年度あたりからの課題として考えていただきたい。
有:今年度の重点目標評価は、緻密で水準が高いものと評価したい。全評価についてマークの付け方とその根拠が明確であり、見る側が分かりやすい。分かりにくい面が出てきたために平成24年度は軌道修正をしたいとのことだが、残念である。可能な範囲で非常に明確かつ客観的に数字を把握することについて、今回経験を積まれたと思うので、今後もそういう方向は失わないでほしいと思う。
有:この枠組みはうまくできており、特に評価の考え方、目標設定の仕方は緻密に出来上がってきたと感じている。客観性と公正性を担保するとの趣旨に沿って行われたと思う。平成24年度以降の評価では、少し緩やかで定性的な方向に変わっていくとのことだが、ここから大きく崩さないほうがよいのではないか、という意見もある。
有:本日は構成員から様々な意見が出た。ぜひ今後の評価の方向に反映していただきたい。
