平成16年度 重点目標と評価
当館では、「国立国会図書館ビジョン2004」で示した重点領域においてサービスの一層の向上を実現するため、重点領域ごとに1〜3年の間で達成するべき重点目標を掲げています。年度終了後には、目標の達成に向けて当館が実施した内容について評価し、公表します。
導入初年度である平成16年度の重点目標の評価結果は、以下のとおりです。
立法補佐機能の強化
国会の立法活動を補佐するため、調査サービスの高度化を図る。また、内外の情報資源を駆使し、的確な情報を一層効果的に提供する。
| 重点目標 | 平成16年度実績 |
|---|---|
| 特定テーマを多角的に分析する「総合調査」を積極的に推進する。 | 総合調査は、国政の基本的事項に関する長期的、主題横断的な課題について、毎年特定のテーマを決め、複数の調査室課からなるプロジェクトチームを編成し、実施しているものである。 平成15〜16年度のテーマは「少子高齢化とその対策」であり、平成17年2月に総合調査報告書をとりまとめ、刊行した。この調査では、我が国の少子化・高齢化が経済・社会の各部門に及ぼしている影響、またどのような対策が講じられようとしているかを多角的に検討し、あわせて欧米主要国の少子化・高齢化の現状・取組についての分析を行った。 平成16〜17年度の総合調査のテーマは「地方再生−分権と規制改革の視点から」で、鋭意、文献調査、現地調査等を進めている。 |
| 国政の重要課題への対応、特に憲法関連の調査体制を強化する。 | 当館では、各国会ごとに、その国会の重要課題となることが予想される事項について、事前に調査し、準備している。とりわけ、常会の冒頭には、国会議員の審議の便に供するため、「国政課題の概要」をとりまとめている。平成16年度においても、平成17年1月に、「国政課題の概要−第162回国会」(『調査と情報−ISSUE BRIEF』)を刊行した。これに加え、科学技術関係の国会審議に供するため、平成16年11月に「科学技術をめぐる政策課題2004」(『調査と情報−ISSUE BRIEF』)を刊行した。 平成12年の衆議院・参議院の憲法調査会設置に対応するため、同年1月に憲法調査特別室を編成し、さらに平成13年4月にはそれを改組して政治議会課憲法室を新設した。これまで、憲法室を中心に憲法に関する調査を積極的に行ってきた。平成16年度は、憲法に関する主要な論議を論点ごとに整理したモノグラフ「シリーズ憲法の論点」を8点刊行した。また、依頼調査は、憲法改正問題など憲法そのものに関するもの887件に対し回答を行った。 この外、平成16年10月に発生した新潟県中越地震のための特別調査体制を発足させ、現地調査を実施し、成果物として「新潟県中越地震の被災とそれからの復興」(『調査と情報−ISSUE BRIEF』)を刊行した。あわせて、国会向けホームページ「調査の窓」において「現地調査報告」を公開した。 |
| 国会に対する電子的な情報発信を強化する。 | 当館では、平成10年度より国会向けのホームページ「調査の窓」を開設している。平成16年度は、国会WANのネットワーク経由だけでなく、国会議員が国会外からのアクセスを可能にするためインターネットによる提供を開始した。 「調査の窓」において予測調査の成果物を掲載する「立法情報ライブラリー」に、平成16年度は、「国政の論点」「レファレンス」等計313本の論文を新規に掲載した。国会WANおよびインターネット経由の「調査の窓」のトップページへのアクセス数は、約9万件(約2万件増)であった。 (国会会議録フルテキストデータベースおよび日本法令索引データベースについては、「情報資源へのアクセスの向上」を参照) |
デジタル・アーカイブの構築
国民共有の情報資源として、電子情報を蓄積・提供するデジタル・アーカイブを構築する。
| 重点目標 | 平成16年度実績 |
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| 「近代デジタルライブラリー」のコンテンツとして、明治期刊行図書の電子化を平成17年度中に完了し、提供を行う。 | 「近代デジタルライブラリー」は、明治期以降に我が国で刊行された図書の本文を電子化し、書誌情報や目次情報から検索し、本文画像を提供するシステムで、当館では、平成12年度から明治期刊行図書の著作権調査を開始し、平成13年度からは本文の電子化を開始した。さらに、平成14年度から著作権の保護期間の満了したもの、または著作権者の許諾を得たものを順次当館ホームページで提供してきた。 平成16年度には、引き続き著作権処理および資料電子化を実施し、新たに約3200タイトル、約4900冊の資料を追加し、全部で約3万5000タイトル、約5万5000冊の資料の本文の提供を可能とした。アクセス数は1日当たり約7000件、当館ホームページの中でも利用の多いコンテンツとなっている。 なお、著作権の保護期間が満了しておらず、著作権者が不明の場合、資料の電子化および提供にあたっては、文化庁長官の裁定を受ける必要があるため、平成17年2月に文化庁長官へ裁定申請を行った。引き続き、平成17年度においても裁定申請を行う予定である。 |
| デジタル・アーカイブの基本的枠組みを平成16年度中に策定する。 | 当館は、今後の5年程度を目途として達成すべき電子図書館サービスの具体的方向とその実現に必要な枠組について示した「国立国会図書館電子図書館中期計画2004」を作成し、平成16年度には、その具体化作業を進めた。「中期計画2004」の一つの柱であるウェブアーカイブ事業については、平成16年12月にネットワーク系電子出版物の収集制度に関する納本制度審議会の答申を受け、インターネット情報の制度的収集に向けた作業を実施した。また、平成16〜17年度における業務・システム構築作業計画を策定し、業務設計を進捗させるとともに、デジタルアーカイブのポータル機能については、プロトタイプ・システムを構築し必要な機能の具体化を行った。 |
情報資源へのアクセスの向上
情報資源への自由で平等なアクセスを保障するため、利用機会の拡充及びサービスの質的向上を図る。
| 重点目標 | 平成16年度実績 |
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| 平成16年10月から東京本館の開館日・開館時間の拡大およびサービスの拡充を行う。 | 「東京本館館内利用サービスの向上のため、平成16年10月から祝日を除くすべての土曜・月曜を開館することとし、平日は開館時間を2時間延長した。これにより、年間の平均的な開館日数が40日強増加となり、開館時間数も年間で43%の増加となった。また、入館から資料の検索・請求・受取り・返却・複写申込みにいたる利用の手続きの効率化を目的として新しいシステムを導入するとともに、閲覧の1回当たり申込制限点数の緩和や即日複写の1日当たり回数制限の撤廃などによってサービスの拡充を図った。 このような施策が、利用者のゆとりある資料利用を可能にするとともに、来館者数は12%増、図書および雑誌の閲覧は18%増、複写も22%増(平成16年10月から平成17年3月までを前年同期と対比)となった。 |
| 施設内における電子ジャーナルの提供サービスを拡充する。 | 当館では、東京本館の電子資料室および関西館の総合閲覧室において、全分野にわたる海外電子ジャーナルを提供している。 利用できる主なサービスには、全分野にわたるProQuest 5000 International、自然科学、人文科学、社会科学分野のOCLC Electronic Collections Online(OCLC ECO)、主に自然科学、医学分野のScienceDirectなどがある。平成16年度には、OECDの出版物のうち、雑誌・統計が見られるSourceOECD Periodicals、SourceOECD Statisticsを新たに導入し、全部で約1万5000タイトルを利用可能とした。 平成16年度の東京本館および関西館における電子ジャーナルの論文利用数は約5万5000件で、プリントアウト枚数は約19万6000枚であった。 |
| インターネット経由の複写申込みをはじめとして、当館の利用がより便利になる登録利用者制度の周知に努める。 | 当館では、平成14年度から利用者の利便性向上のために登録利用者制度を開始し、東京本館および関西館の館内利用サービスにおいて、館内利用カード発行の簡略化、取寄せサービス等のサービスの利用を可能とし、また、遠隔利用サービスにおいては、インターネット(NDL‐OPAC:国立国会図書館蔵書検索・申込システム)を通じた複写の申込みを可能とした。 平成16年度には、東京本館において本格的に登録利用者制度を拡充し、その周知に努めた結果、平成16年度末現在における個人の登録利用者数は約6万4000人で、前年度末現在よりも2倍近い伸びとなった。特に、東京本館新装開館後の平成16年10〜12月では約1万2000人の新規登録があり、平成16年度末時点で東京本館の1日の来館者数における登録利用者の割合は40%を超過した。また、遠隔利用サービスの複写申込みにおいては、平成16年度約27万件のうち、73%がインターネット経由申込みであった。 |
| 国の科学技術の振興に資するため、電子情報環境に対応した科学技術情報を整備し、サービスを向上させる。 | 科学技術関係情報整備計画に基づき、科学技術情報の整備を推進した。 平成16年度は、科学技術系外国雑誌についての受入を約400タイトル増やし、全部で約3500タイトルとした。館内で利用可能な外国電子ジャーナル(科学技術分野のタイトルを多く含む)の充実にも取り組み、平成16年度末現在で約1万5000タイトルを利用可能とした。また、当館ホームページで提供する「テーマ別調べ方案内」において、科学技術関連分野の調べ方案内29テーマを新規に作成した。平成16年度における「テーマ別調べ方案内」の科学技術関連分野へのアクセス数は、約15万件であった。 なお、第45回科学技術関係資料整備審議会において、「電子情報環境下における国立国会図書館の科学技術情報整備の在り方に関する提言」が了承された。提言では、電子化された科学技術情報の我が国における流通・蓄積基盤の再構築、国会への科学技術情報提供の拡充と社会への情報発信の促進、科学技術情報ポータルの構築に向けた関係機関との連携の実現の三つについて提案がなされた。 |
| 書誌情報の提供件数および種別を拡大する。 | 平成16年度には大幅な書誌情報の提供拡大を行い、NDL‐OPAC(国立国会図書館蔵書検索・申込システム)で利用可能な書誌情報を前年の1030万件から1394万件とした。 平成16年5月には、洋図書、国際機関資料、アメリカ政府刊行物、科研費報告書、テクニカルレポート等の書誌情報約252万件を追加、資料群としては、蘆原コレクション(約6万8000件)、日本占領関係資料(約26万件)、プランゲ文庫(約3万2000件)を新たに追加した(日本占領関係資料とプランゲ文庫は館内公開のみ)。 また、平成15年度から実施している書誌情報の遡及計画を引き続き遂行し、地図、漢籍、学習参考書、中国語資料等の約12万7000件のデータを入力・更新した。国内刊行雑誌等(約1万誌)の記事・論文が検索できる「雑誌記事索引」については、提供件数拡大のため、1972〜74年の「科学技術編」約20万件の遡及データ作成を実施した(NDL-OPACでの提供は平成17年度を予定)。 この外、書誌情報検索の利便性を向上させるため、国立国会図書館件名標目表(NDLSH)の改訂に着手し、平成16年10月には、シソーラス化(件名標目の参照関係の明確化)を反映した「国立国会図書館件名標目表暫定版」を当館ホームページに掲載した。 |
| 国会会議録フルテキストデータベースに加え、日本法令索引データベースを平成16年度中にインターネットで公開する。 | 当館は、一般国民に広く立法関連情報をインターネットで提供している。 国会会議録フルテキストデータベースは、第1回国会から現在までの会議録(議事部分)テキストを検索し、全文を閲覧できるシステムである。平成16年度は新規データ約5万件を追加した(累計約279万件)。アクセス数は年間約44万件、当館が提供するデータベースの中で利用の多いものの一つである。 また、平成16年6月には、明治19年公文式施行以後の法令索引(現行法令・廃止法令・制定法令)が検索できる日本法令索引データベースについて、当館ホームページで提供を開始した。日本法令索引データベースでは、第1回国会(昭和22年)以後の法案索引(法律案・条約承認案件)についても検索できる。平成16年度末現在のデータ数は、法令索引が現行法令約9500件、廃止法令約1万5000件、制定法令約8万5000件で、法案索引は、法案約1万4000件、会議録索引情報約1万3000件。アクセス数は公開後平成16年度末までで約7万件(1日平均約200件)であった。 |
協力事業の推進
内外の図書館及び関係機関との連携を強化して、情報資源の共有化と流通を促進する。また、図書館人の育成のために協力し、図書館・情報サービスの発展に寄与する。
| 重点目標 | 平成16年度実績 |
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| 国際図書館連盟(IFLA)との連携およびアジアの図書館との交流を中心として、国際的な図書館連携を強化する。 | 「当館は、各国の図書館との協力・連携を行うため、国際図書館連盟(IFLA)、国立図書館長会議(CDNL)等に加盟している。平成16年8月にアルゼンチンで開催されたIFLA大会・CDNL、その他の国際会議・交流会に積極的に参加し、延べ31人の職員を派遣した。 アジアの図書館との交流強化としては、中国国家図書館、韓国国立中央図書館および韓国国会図書館との業務交流を継続して実施し、活発に意見交換を行った。 また、当館は、IFLAの資料保存コア活動(IFLA/PAC)アジア地域センターとして、資料保存に関する情報の収集・提供、教育・広報等の活動を行っている。特に平成16年度は、アジアの国立図書館等への協力の一環として、ネパール国立図書館職員を受託研修生として受け入れ、研修を実施した。 そのほか、当館は、アジア・オセアニア地域国立図書館長会議(CDNLAO)のニューズレター『CDNLAO Newsletter』の編集を担当しており、平成16年度は50号から52号までを当館ホームページ上で刊行した。 |
| 当館および都道府県立・政令指定都市立図書館が所蔵する和図書の総合目録データベースを平成16年度中にインターネットで公開する。 | 国立国会図書館総合目録ネットワークシステムは、都道府県立および政令指定都市立図書館が所蔵する和図書の書誌データを検索できるシステムで、相互貸借支援機能をもつ。データの提供を受けている全参加図書館の同意を得て、平成16年12月から当館ホームページでシステムの一般公開を開始した。平成16年度末現在で、データ提供館51館について、基本書誌データ約790万件・総書誌データ約2880万件を収録しており、総合目録ネットワークの参加図書館数は約900館となった。公開後平成16年度末までのアクセス数は約600万件(1日当たり約5万2000件)であった。。 |
| 主として国内の図書館職員を対象として、Web技術を用いた遠隔研修事業の準備に着手し、平成17年度中に実施する。 | 当館は、全国の図書館職員がインターネットを通じて、遠隔地から研修を受けることを可能とするため、平成15年度からWeb技術を用いた遠隔研修事業の開発に着手した。平成16年度は、教材のテーマを「資料保存」とし、教材内容の作成および遠隔研修システムの構築を行った・人儚・呂亙神・7年度を予定している。 |
