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トップ > 国立国会図書館について > 科学技術情報整備審議会 > 議事録 > 第4回科学技術情報整備審議会議事録

第4回科学技術情報整備審議会議事録

日時:
平成26年7月22日(火)午後2時から午後4時まで
場所:
国立国会図書館東京本館 総務課第一会議室
出席者:
科学技術情報整備審議会委員 8名
安西祐一郎委員、竹内比呂也委員、倉田敬子委員、佐藤義則委員、戸山芳昭委員、藤垣裕子委員、松浦祥次郎委員、山脇良雄委員
(喜連川優委員、中村利雄委員及び中村道治委員は欠席。安達淳国立情報学研究所副所長及び加藤治彦科学技術振興機構執行役が陪席。)
館側出席者 17名
館長、副館長、総務部長、調査及び立法考査局長、収集書誌部長、利用者サービス部長、電子情報部長、関西館長、国際子ども図書館長、総務部司書監、総務部副部長企画課長事務取扱、総務部会計課長、収集書誌部主任司書、利用者サービス部副部長サービス企画課長事務取扱、利用者サービス部科学技術・経済課長、電子情報部電子情報企画課長、電子情報部主任司書
会議次第:
1. 開会
2. 館長挨拶
3. 委員紹介・幹事紹介
4. 委員長の選任
5. 委員長代理の指名
6. 報告及び懇談
 (1) 第三期科学技術情報整備基本計画の進捗状況
 (2) 三機関(NII・JST・NDL)連携・協力プロジェクトの進捗状況
 (3) 懇談 -国立国会図書館の今後の取組の方向性について
7. 閉会
配付資料:
第4回科学技術情報整備審議会 次第(PDF: 153KB)
資料1 科学技術情報整備審議会委員及び幹事名簿(PDF: 200KB)
資料2 (報告1) 第三期科学技術情報整備基本計画の進捗状況(PDF: 431KB)
資料3 (報告2) 三機関(NDL・NII・JST)連携・協力プロジェクトの進捗状況(PDF: 238KB)
(参考資料)
1 第三期科学技術情報整備基本計画の進捗状況(詳細版)(PDF: 473KB)
2 科学技術情報整備審議会規則(PDF: 204KB)
3 科学技術情報整備審議会議事規則(PDF: 195KB)
4 第三期科学技術情報整備基本計画(PDF: 302KB)
議事録:
1.開会
大曲利用者サービス部長: それでは、定刻前ですが、御出席予定の方々、皆様御出席ですので、第4回科学技術情報整備審議会を開催したいと思います。
この度は、委員就任を御快諾くださり大変ありがとうございます。お忙しいところ、御出席くださいまして感謝しています。
本日の審議会ですが、現在、委員長が空席となっていますので、委員長選任までの間、暫定的に幹事である私、大曲が進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
本日は、国立情報学研究所長の喜連川優委員、科学技術振興機構理事長の中村道治委員、日本商工会議所専務理事の中村利雄委員が所用のため御欠席されています。国立情報学研究所(以下「NII」)から喜連川委員の代わりに安達淳副所長が御陪席くださっています。どうもありがとうございます。科学技術振興機構(以下「JST」)からは、中村道治委員の代わりに加藤治彦執行役が御陪席くださっています。どうぞよろしくお願いします。
お手元の会議次第に従って、会を進めさせていただきます。開会に当たりまして、館長の大滝から挨拶申し上げます。
 
2.館長挨拶
大滝館長: 国立国会図書館長の大滝則忠です。本日は御多忙のなかを、第4回科学技術情報整備審議会に御出席くださいまして、誠にありがとうございます。 本審議会の歴史ですが、昭和28年に設けられました湯川秀樹博士を中心とする専門家による、原子力関係資料収集のための懇談会にまで遡ることができます。その後、昭和36年に、衆議院科学技術振興対策特別委員会の申入れの趣旨に基づきまして、国立国会図書館として科学技術関係資料整備計画について調査審議するため、科学技術関係資料整備審議会が設けられました。現在、この科学技術情報整備審議会はその審議会を引き継ぎ、伝統的な媒体の資料にとどまらず、電子媒体情報資源を含む科学技術情報を対象とした整備計画に関する調査審議を行う審議会として、平成23年に再編・改称されたものです。
その間、国は平成7年に科学技術基本法を施行、それに基づきまして平成8年に科学技術基本計画を策定し、その後、その基本計画を5年ごとに改めてきています。そこで、国立国会図書館におきましては、国の基本計画に呼応する形で、平成10年以降、本審議会からの答申及び御提言を頂きながら、国立国会図書館としての科学技術情報整備基本計画を策定して計画的に取り組んでまいりました。
現行の国の第4期科学技術基本計画及び国立国会図書館の第三期科学技術情報整備基本計画は、いずれも平成23年に策定されまして、同じ5年間を計画期間としており、現在、その第4年度目を迎えています。国の第4期計画におきましては、研究情報基盤の強化に向けた方策として、研究情報全体を統合して検索・抽出することが可能な「知識インフラ」としてのシステム構築の方向性を掲げており、国立国会図書館が保有する学術情報にも言及しています。国立国会図書館の第三期計画におきましては、これに呼応し、人文・社会科学分野も含む科学・学術情報の収集・保存・提供機能を拡充するとともに、他の機関との連携協力を進め、国全体の学術情報基盤整備に寄与することを目指しているところです。
国におきましては、本年中にも次期計画の方向性が明らかにされると思われますが、国立国会図書館の取組におきましても、本年中に次期計画に向けた準備を始める時期を迎えると考えています。本日は現行計画の進捗状況について報告申し上げますので、忌憚のない御意見を賜りたく存じます。
また、国立国会図書館の現行計画におきましては、関係機関との連携に重きを置いていますが、昨年度からNII・JSTとの連携を強化し、この三機関で従来の協力関係をより一層深めていくよう取り組んでいるところです。その内容につきましても後ほど報告させていただく予定としています。
結びになりますが、長年にわたる科学技術情報整備審議会の委員長はじめ、委員の皆様方の御指導のお蔭で、広く国民に開かれた科学技術情報提供の拠点として、国立国会図書館が着実に活動できていること、この機会に、改めて感謝申し上げる次第です。様々な課題が多いところではありますが、今後ともどうぞよろしく御指導くださることを心からお願い申し上げます。
このたびは、新たに5名の委員の皆様をお迎えいたしました。冒頭、新しい委員長を互選していただきますが、新しい委員長のもと、何とぞ活発な御審議をお願い申し上げ、以上、開会の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
3.委員紹介・幹事紹介
大曲利用者サービス部長: それでは会議次第の3に移ります。新たに委員に御就任くださった方々を紹介したいと思います。今期から、安西祐一郎委員、佐藤義則委員、竹内比呂也委員、藤垣裕子委員、山脇良雄委員が新たに御就任くださっています。なお、委員名簿を資料1として配付していますので、御参照ください。
今回半数近くの委員の方が御新任ということですので、安西委員から、恐縮ですけれども、御着席の順番で手短に一言ずつお言葉を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
安西委員: 安西です。日本学術振興会におります。日本学術振興会は、あらゆる学術、科学技術にわたりまして振興を図る、また、研究者の養成等々を図る機関として長い歴史があります。特に情報整備は非常に大事なことだと理解しています。よろしくお願いします。
倉田委員: 慶應義塾大学の倉田敬子と申します。研究者のコミュニケーションに関しまして研究を進めています。学術情報に関しても大変関心を持っていますので、どうぞよろしくお願いします。
佐藤委員: 東北学院大学の佐藤です。専門は図書館情報学で、学術情報の流通に関して関心を持っています。どうぞよろしくお願いします。
竹内委員: 千葉大学の竹内です。資料1では千葉大学副学長ということになっていますが、一番時間を割いているのは附属図書館長、そしてアカデミックリンクセンター長を主体とした業務です。専門は倉田委員、佐藤委員と同じく、図書館情報学です。よろしくお願いします。
戸山委員: 信濃町にあります国際医学情報センターの理事長を務めております、戸山です。前期からこの科学技術情報整備審議会に入らせていただいております。慶應の医学部に所属しています。どうぞよろしくお願いします。
藤垣委員: 東京大学の総合文化研究科の藤垣と申します。今回初めて参加させていただきます。専門は科学技術社会論及び科学計量学、サイエントメトリクスという分野です。どうぞよろしくお願いします。
松浦委員: 日本原子力研究開発機構の理事長を務めております松浦です。日本原子力研究開発機構は原子力に関して国内で唯一総合的に研究開発を行う機関です。私は前回欠席しましたので、今回が初めてですが、どうぞよろしくお願いします。
山脇委員: 文部科学省の官房審議官の山脇と申します。研究振興局を担当しています。学術研究、基礎研究などを所管しています。とくに情報科学技術政策や学術情報基盤などを行政面から担当しています。よろしくお願い申し上げます。
大曲利用者サービス部長: 次に幹事を紹介したいと思います。当館側の出席者、委員の活動を補佐するために幹事を設けています。幹事には当館の部局長等が任命されるということになっており、名簿を配付資料1として配付していますので御参照ください。人事異動があり、田中電子情報部長、佐藤国際子ども図書館長、私、利用者サービス部長の大曲が、前回の審議会以降に新たに幹事に任命されました。中山総務部司書監が人事異動で、電子情報部長から司書監になり、今回出席しています。その他大滝館長、池本副館長が出席し、審議会事務局が今日皆様方の審議をお手伝いするということになっています。ぜひ、よろしくお願いします。
 
4. 委員長の選任
大曲利用者サービス部長: それでは、会議次第の4に移りたいと思います。委員長の選任です。前回まで委員長をお務めくださいました有川節夫委員が今回御退任ということになりましたので、お手元の参考資料の科学技術情報整備審議会規則第2条第4項の規定に従いまして、委員長を委員の皆様の互選により選任をお願いしたいと存じます。御推薦はありませんでしょうか。
倉田委員: はい。情報学分野の世界的権威であらせられます、また、研究教育全般、学術情報に対して大変深い学識をお持ちの安西委員がふさわしいと考えます。
大曲利用者サービス部長: ただ今、倉田委員から安西委員を委員長にと御推薦くださいました。委員の皆様の御異議がありませんようでしたら、安西委員に委員長をお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。
出席委員全員: 異議なし。
大曲利用者サービス部長: 当審議会の委員長は、安西委員にお願いしたいと思います。安西委員には委員長席に移動して、これ以降の議事をお願いしたいと思います。
安西委員長: 今、委員長にとのお達しですので、経験がそれほどないのですけれども、皆様の御協力でこの審議会を進めていきたいと思います。
今、お話にありましたように研究者としては情報学、認知の問題、特に知識を人はどのようにして獲得していくのか、ということが私の狭い意味での専門ですので、そういう意味でも大変関心を持っています。我が国としても科学技術情報整備は喫緊の課題でありながら、私の見るところ、世界の動向の中で進んでいるといえるのかどうかが問われる状況にあると思っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは議事を進めさせていただきます。
 
5. 委員長代理の指名
安西委員長: まず、委員長代理の指名をさせていただきたいと思います。
審議会規則第2条第6項の規定に従いまして、委員長が不在の場合に委員長に代わって審議会を運営するということで竹内委員に委員長代理をお願いしたいと思います。御異議ありませんでしょうか。
出席委員全員: 異議なし。
安西委員長: ありがとうございました。それでは委員長代理は竹内委員に決定しました。竹内委員よろしくお願します。
竹内委員: ただ今、御指名頂きました、竹内です。大変微力ですが、全力を挙げて当たりたいと思いますので、各委員の先生方の御支援をどうぞよろしくお願いします。
 
6. 報告及び懇談
安西委員長: それでは議事の6、報告・懇談に移らせていただきます。事務局に報告していただいた後で、報告への質問はまとめてお願いしたいと思います。その後、懇談にさせていただきます。
まず、事務局のほうから報告をお願いします。
 
(1) 第三期科学技術情報整備基本計画の進捗状況
木藤科学技術・経済課長: (資料2に沿って説明)
安西委員長: ありがとうございました。それでは次に、報告の2をお願いしたいと思います。その後で多少の質疑応答の時間を取らせていただきます。
 
(2) 三機関(NII・JST・NDL)連携・協力プロジェクトの進捗状況
原田電子情報部主任司書: (資料3に沿って説明)
安西委員長: ありがとうございました。それでは、ただ今の2つの報告について御質疑をお願いしたいと思います。10分くらいとれると思いますけれども、どなたでも結構です。
松浦委員: 松浦ですが、今伺いました2つの報告において福島震災関係の情報の収集が重点の一つとなっていました。これから先、廃炉の技術開発と廃炉事業に関してデータがたくさん出てくると思います。国際的にもそれに参加したいという要望がいろいろな国から示されていますので、当然、国際的にも参画してもらって仕事をしていこうと思うのですが、そういう場合に情報をどういう形で提供するのがよいかということです。受入の形といいますかプロトコルといいますか、それを発信側とうまく合わせておくのは、仕事の上では相当重要と思います。福島を中心に仕事をする廃炉関係の研究者・事業者があらかじめ考えておかないといけないことはあるのでしょうか。
大場電子情報企画課長: 事務局の電子情報部電子情報企画課の大場と申します。よろしくお願いします。今の御質問に関しては、当館等は日本原子力研究開発機構と協力しながら原発事故に関する分類といいましょうか、どのような形で組織化していけばよいかということについての意見交換をしています。また、それに関しては、国際原子力機関が大変関心を持たれていて、情報交換をしているところです。このところ国際原子力機関のほうで考えられた分類体系を日本国内で利用できないかについて検討を行っています。
安西委員長: よろしいでしょうか。他にはいかがでしょうか。
山脇委員: 2、3コメントと質問をさせていただきたいと思います。
先ほどの御説明にあった、学位論文の収集について。学位規則の改定に伴ってインターネット公開された学位論文の収集体制を構築したということで、我々文部科学省としても早速この規則改正を生かして学術情報基盤強化に取り組んでおられることに感謝を申し上げたいと思います。併せてその前にお話のあった、著作権法の改正を生かしてデジタル化を進め、あるいは図書館への送信を進めておられることについても図書館機能の強化ということで、非常にありがたい方向に進んでいると考えています。この点に関して、対象とする図書館は順次増やしていくというお話でしたが、図書館側のニーズや利用状況などをどう把握しているのか教えてほしいと思います。 最後にもう1つ質問ですが、先ほど、「ビッグデータ時代の図書館の挑戦」という国際シンポジウムのお話がありました。ビッグデータ時代の図書館の機能としてどのような方向が今議論されているのか、委員の先生方の御意見も伺ったほうが良いのかもしれませんが、それについて教えていただければ参考になると思ったので、できればお願いしたいと思います。
大曲利用者サービス部長: それでは図書館送信の現状について御質問されましたので、報告したいと思います。現在参加館が263館ありまして、都道府県立図書館のうち、承認手続中の1県も含めまして、7府県が未参加という状況です。政令指定都市立図書館では承認手続中の図書館も含めて9市がまだ参加していないという状況です。図書館の利用者登録をした方が利用できるという仕組みですので、今後はなるべく早く全国民の方が利用資格を得るような形で整備を進めていきたい所存ですので、何がネックになっているのかについて各図書館といろいろとお話をしていきたいと思います。また、私どものほうでも各図書館に制度の概要等を積極的に説明していきたいと思います。現在、利用できる図書館送信の資料は131万点です。利用の状況は、現在1月から始めて6月までに閲覧が28,366点、複写利用が11,614点ということで、1日平均では閲覧が176点、複写が72点ということです。参加館も1月の少ないところからだんだんと増えてまいりましたので、これから伸びていくだろうと考えています。図書館間貸出も行っていますが、平成25年度の図書館間貸出の点数が9,260点です。図書館送信では雑誌も送信していますので一概に貸出点数との比較はできませんけれども、28,366点というのはそれほど少ない数字でないように思います。送信している資料は1968年までの和図書、それと2000年までの雑誌等で、絶版等の理由で入手が困難なもののみとしています。商業的に出版された雑誌は留保しています。
各図書館、市町村図書館、県立図書館、大学図書館でそれぞれ利用者像を考えて、閲覧用、複写用PCの導入のコストとその地域あるいはコミュニティの利用のニーズに合わせて今後導入を進めてくださるのではないかと考えている次第です。学術情報に関しては一定のニーズはあるのかなと思います。ただ、絶版になった若干地味な資料ですので、ニーズは各図書館とも若干測りがたいところもあるのかもしれないと思っているところです。以上です。
安西委員長: よろしいですか。
木藤科学技術・経済課長: ビッグデータについては事務局から申し上げます。シンポジウムでは研究者コミュニティの話が主でしたが、図書館に期待する役割としては、そういうデータを扱えるデータライブラリアンの育成がまず重要であるということが話し合われていました。欧米では既にデータライブラリアンというものが生まれつつあるということですが、日本ではまだそれがなかなか追い付かない状況ですので、研究データを扱って組織化して提供できるようなデータライブラリアンの育成という話があったように記憶しています。
大曲利用者サービス部長: 補足します。今、木藤から説明しましたが、先ほどは質問に回答せず失礼しました。研究情報の再現性がシンポジウムで議論になりまして、これからは資料というよりも研究データを資料的に扱って情報の再現性・検証性を高めるところで各国とも苦労しているようです。どの程度図書館が業務範囲としてカバーできるのか、今後、国としてどういう形でやるのか、このあたりを委員の皆様にいろいろと御審議をお願いしたいと思います。
安西委員長: よろしいでしょうか。他にはいかがでしょうか。
竹内委員: 報告1の資料の5ページ目にデジタル化のことがありまして、先ほど補正予算120億円によってデジタル化した後は予算が大変厳しいというお話でしたが、国立国会図書館(以下「NDL」)としては今後デジタル化しなければならない資料は後どのくらい残っているという評価で、そのためには予算はどれくらい必要とお考えでしょうか。
田中電子情報部長: 電子情報部からお答えします。方針としては1980年代のものまでを優先的にデジタル化をしたいということで、それには大体150億円くらいかかるだろうという試算をしています。80年代までを優先するのは、それより以降になりますと民間のほうで版下データ等を持っているため、むしろ商業サイドのほうでデジタル化が進むだろうということで、そこまでの期間を優先的にデジタル化していきたいと考えています。
竹内委員: ありがとうございました。
安西委員長: 他にはいかがでしょうか。
倉田委員: 今、最近のものに関してはデジタル化が進むだろうというお話でしたが、基本的にNDLがまず絶対の使命の範囲となさっている国内資料に関して、逆にデジタル化された資料が集まらなくなりつつあるのではないかということを非常に危惧しています。つまり何点デジタル化したかといった御報告はたくさんありましたが、科学技術資料に限っての数で結構ですが、その場合一体何パーセントくらい、全体のどれくらいのところまで進んでいるのか、進んでいない部分はどれくらいあるのかをもう少し明確にしてほしいと思います。今の件も御質問があって初めて分かったわけでして、その点を補足してほしいと思います。
田中電子情報部長: 全体の数は正直なところ把握できていません。集まりにくくなっているのかどうかについては、現時点で電子データについての調査をしていませんので、今後きちんとした調査が必要であると考えています。先ほどの報告にもありましたように、昨年の7月から無償でDRMのないオンライン電子形態の資料を制度的に集めています。商業的なものについてはこれから段階的に制度化を進めていく状況です。全量を把握するということはできていませんが、商業的に流通しているものは世の中からすぐに消えるものではないと思いますので、まずはそういうものについてきちんと段階的に進めていく必要があると考えます。
安西委員長: 素朴に考えて、集めるより作られるほうが多いと思います。いつまでの分をどう把握するのかにもよりますけれども、全量を把握するという調査はできるのでしょうか。
田中電子情報部長: 確かに安西委員長も言われるように全てのものを把握するのは余り意味がないことと思いますが、流通してメタデータが作られている、世の中でそれなりに引用されたり、使われたりするものをまず特定することが必要と思います。
 
(3) 懇談 -国立国会図書館の今後の取組の方向性について
安西委員長: よろしいですか。それでは今までの報告2つに対する質疑応答は一応ここまでにさせていただいて、懇談に移りたいと思います。事務局から今後のことについてまず説明してもらい、その後おそらく1時間近くありますので、よろしくお願いします。
木藤科学技術・経済課長: 事務局から説明します。先ほどの当館報告でも申しましたように、第三期科学技術情報整備基本計画の計画年度は平成27年度、来年度までで、残り1年余りとなっており、今年度後半から次期計画策定に向けての準備を開始したいと考えています。第三期計画で掲げました「知識インフラ」の構築に向けた検討をより一層深める必要がある一方で、現今の財政事情等から当館単独での構築はなかなか困難な状態です。
平成28年度以降の次期計画も見据え、当館が科学技術情報整備に関してどのような方向性で行動すべきか、忌憚のない御意見を頂戴したく思います。
安西委員長: それでは、懇談といいましょうか、自由な意見交換に移りたいと思います。今、御説明がありましたように、第三期の科学技術情報整備基本計画が残り一年余りという状況で、第四期基本計画に向けてNDLが何をしたらいいのかということが一つ。それから、NDLといろいろな関係機関がどう連携分担していけばいいのか。いろいろテーマはあると思います。そういったことを中心にして議論してくださればありがたく思います。御質問、御意見、あるいは御提案でも結構です。どなたでもよろしくお願いします。
倉田委員: 先ほど山脇委員からもありました、今後を見据えたときに、データをどうしていくのかは大きな課題だと思っています。特に第三期科学技術情報整備基本計画で「知識インフラ」と言ったときに、なぜあえてそう言ったのかという裏には、単に図書や雑誌だけではもう困る、「知識インフラ」の構築に積極的になるべきだというのが、この計画の中心的な概念であったと私は考えています。しかし、その認識と現実とがうまくいっていない部分があるのだと思います。NDLとしては、これまでの紙を中心とする資料を放り投げるわけにはいかないので、そこを持ちつつ、少しだけ、データのほうをやるしかないというスタンスなのでしょうか。正直申し上げて、今回の御報告を聞いていても、そういう方向への踏み出しは、ほとんどないのかな、と思えるところがありました。先ほどの松浦委員からの御質問に対しても、単に分類するだけではなく、今までの紙やメタデータという形を超えて、映像など様々な、ばらばらな形で膨大に生成されるデータをどうやって保存・組織化するのかは、今までの考え方だけでは追いつかない部分が当然あるわけです。もちろんすぐにはできないことはよく分かっていますが、そういう方向に、どのようなスタンスで対処しようとするのか。その姿勢が見えにくいのは大変残念な点だと思います。特に三機関連携のところで、わざわざ重点領域として電子情報の保存を打ち出しているにもかかわらず、具体的なプロジェクトが全然進んでいないのはちぐはぐな感じも持ちました。
予算が限られているのはどうしようもない話で、予算を増やす方策を考えるのももちろん一つの手ですが、そのためにもただ「足りません」、ただ「デジタル化が進みません」では予算はつかないわけです。どういう方向ならばNDLとして踏み出せるのか、どこのところならば考えられるのかを、まさしく戦略をもってやっていかないと立ち行かないと思います。もちろん、そこのところで皆さん御意見がいろいろあると思うのですが、私としては、電子情報の保存というのは強力にアピールするべき点と思っています。以上です。
安西委員長: NDLのほうはいかがですか。
田中電子情報部長: 倉田委員の言われるとおりで、十分な予算がないというのは、いつも言い訳になってしまうのですが、電子情報の保存についても、一番最優先で取り組まなければいけない課題だという認識はあり、三機関の連携のなかでも、そのことを常に議論してきています。が、実際に、一番お金がかかるところでもあるので、具体的なプロジェクトとして予算を獲得して実現するという道筋がまだ見えないところです。優先順位が非常に高いということは間違いないと思います。
戦略が見えないところも、言われるとおりだと思うのですが、今まで当館がやってきた図書館としての業務がそのまま適用できない分野です。東日本大震災アーカイブにおいても、データを直接、当館で受け入れる話も協議していますが、やはり研究データをそのまま使うことについて蓄積が全くない状況では、具体化に踏み出せないのが現実です。
大滝館長: ただ今、倉田委員から国立国会図書館の取組について大変的確な御指摘を頂きました。現在、国立国会図書館が置かれている状況はまさに、従来の紙媒体中心、それから文献中心の世界から、どのように脱却して、社会における新しい図書館の役割、まさに「知識インフラ」というネーミングのなかで提示されている方向性に、どのように着実に踏み出すことができるか、というところであると認識しています。一昨年の科学技術情報整備審議会のなかで、私からも進め方として御説明し、御理解をお願いしましたが、「知識インフラ」という明確な概念を国の第4期の科学技術基本計画、それから国立国会図書館の第三期科学技術情報整備基本計画に入れて取組が始められておりますが、その後起きました東日本大震災への対処のなかで、「知識インフラ」の具体的な取組は、まさに東日本大震災アーカイブの構築を着実に進めることにあると認識しました。限られた資源をどのように集中的に投資して、形にしていくかという点で、東日本大震災アーカイブにまず最大注力することで2年間取り組んできました。東日本大震災アーカイブがターゲットにするのは、大震災に関するあらゆる記録ですので、まさに今までの文献中心・紙媒体中心の世界からはるかに超えた、様々なメディア、研究データも含まれる世界になるためです。東日本大震災アーカイブ構築の理念は、一か所にデータを集中するのではなく、国のしかるべき責任ある機関が、官民を問わず、データを分散して持ち、どこに何が存在しているかを国立国会図書館の「ひなぎく」のポータルサイトを通じて検索できるようにするところから始めようというものです。そもそも生の研究データが研究室の外に出ることについて、まだ社会的にルールが定まっていませんが、東日本大震災に関しては、できるだけ国際的にもそのデータを共有しようという先生方の取組の結果、「ひなぎく」を通じて検索できるデータも、だんだん増えてきていることは確かですので、国立国会図書館としては、まずこの「ひなぎく」に取り組みます。大震災から5年間の期間、今年、来年までは、「知識インフラ」の構築という方向性を大きく見据えながら、まずは「ひなぎく」が社会的に有用なシステムとしてお認めいただけるような内容に育てていきたいと考えています。
今後、次期の第四期科学技術情報整備基本計画におきまして、「知識インフラ」の方向性について、例えば、「掛け声はあるけれども、実際的に進んでいないのではないか」と具体的に御指摘のある電子情報の保存について、少しでも解決できるような道筋を国立国会図書館としても考えるべきだろうと考えています。
安西委員長: ありがとうございました。
戸山委員: 私からは、前期もいろいろと参加させていただいたことを踏まえ、NDLの役割、在り方、今後についてお話させてください。以前は紙媒体を保存し、NDLに来た利用者に見せるという状況でしたが、これだけネットが出てきたので、デジタル化するというのは当然の方向だと思います。予算等々の縛りがあるのでしょうが、その役割は、可能な限り、デジタル化して資料を沢山保存することになります。更に後一歩として、ネットで一般に発信したり、デジタル化したものを図書館のネットワークに送信したりするといったことは方向性として正しいと思うし、それを広げてほしいと思うのですが、国民の目線から見れば、それが本当に利用できる、よい資料かどうかが非常に大事だと思いますね。「国はやっているけれども、その利用度が非常に低い」というのでは何かが間違っています。著作権の問題がひっかかってくるというのはよく分かるのですけれども、古典的なものをまず流すのも第一歩としてはよいですが、例えば医療情報に限れば、「やはり新しいものが可能な限りほしい」というのが国民目線でしょう。何年かかってもその方向に持っていく努力が私は必要だと思います。それから図書館に送信してもまだまだ向こうが受けてくれないということですが、それは向こう側の状況があるし、予算の都合もあるのかもしれませんけれど、これも私は施策としては是非進めるべきものだと思っています。
それから、先ほどビッグデータのお話が出ました。このシンポジウムには私も参加しました。確か、喜連川先生の答えだったと思いますが、医療など沢山のデータを、全部ドーンと入れるのではなく、それを仕分けして、使える、使えないと間に入って判断する人が一番大事で、それをいかに育てておくかと言われていました。全てのところは、最後はそこにいくだろうという気がします。以上です。
安西委員長: ありがとうございました。一委員として私もフォローさせていただきます。国民から見ると、紙の図書館は資料を保管するということが主目的だったのに対して、デジタルでは使用、使うことが目的になるので、相当コンセプトを変えないと、あるいはマインドを変えないと追いつかないと思います。今、民間ではビッグデータは経済的な価値も含めた価値が相当あるものと受け止められていますから、NDLに普通にデポジットするというのは考えにくいと思います。それを乗り越えるには、国民から見て、デジタルデータをジェネレートした人たちが、デポジットしたくなるような仕組みが必要で、それには国民のほう、使うほうからの評価が大変大事になるのではないか、当たり前のことを言っているのですが、そう思います。
それに、「知識インフラ」というときに、「知識」というのは三つポイントがあって、一つは外部記憶だということです。第二は構造化されているということです。これは分散化されていることも含めて、構造化されているということ。それから、第三は状況に応じていつでも利用できるということです。今までは知識が人間の脳にしかなかった時代が長く続きましたので、外部記憶と申し上げたのは内部記憶でよかったのですが、今ではユーザーは図書館のデジタルデータと自分の記憶をシームレスにつなぎたいわけです。少し極端に申しましたが、そういう評価基準を持たないと、今日お話しいただいた限りの言われ方だと、なかなかこれは乗り越えられないのではないかと一委員として申し上げておきたいと思います。
そういう意味では、先ほど報告にもありました著作権法の改正で、NDLのデータが全国の図書館に行くようになったことは非常に大きなことだと思います。つまり、全国津々浦々の方々が、図書館に行けば、NDLの資料にアクセスできるようになったというだけでも非常に大きいし、先ほどの資料の横の棒グラフでも変化は明らかだと思いました。
山脇委員: 今の議論に関連するところで、「知識インフラ」という、第三期科学技術情報整備基本計画で進められている方向は非常に大事だと思います。我々も情報科学技術の推進方策として、ビッグデータ時代において、我々の報告書のなかではデータ・セントリック・イノベーションという形でデータを中心にどうイノベーションにつなげていくのかという視点で進めてきています。
一方でその大量のデータを収集保存したり、利活用したりするのは極めて難しいところもあると認識しています。特に図書館において電子情報の収集保存といっても、電子情報の範囲が極めて広いし、多様であるところが極めて難しい点だろうと思います。先ほどのシンポジウムのテーマになった研究データといっても、DNAや遺伝子解析情報などは、あるいはそのあらゆるセンシングデータを含めれば、膨大なもので、図書館に収蔵できるわけがない規模になっています。先ほどの戸山委員も言われましたが、選択をどうするかが極めて重要だと思います。どういうところに焦点を当てるかはまだこれからの議論だと思いますが、先ほど安西委員長の言われたような視点は極めて大事だと思います。
実務的な点からみると、今この第三期科学技術情報整備基本計画で進めている東日本大震災アーカイブのなかで多分いろいろ苦労をされているでしょうから、その中でNDLとして役割を一番果たしうるところはどこなのだろうと今までの活動から評価して、集中的に特化する部分、あるいはNDLとして特色が出せる部分、戦略的・集中的な形でやるべき部分、得意分野をあぶりだす作業が非常に大事だと思います。そういう視点で見ていくのも一つの方法と思います。そこから何が出てくるかは分からないですが。
もう一つ、私も利活用の視点は非常に大事だということを、報告を受けて感じました。利用者の視点で何が伸ばせるのかが一つの重点化というか、今後、焦点をあてるべき内容を検討する非常に大きな視点になると感じました。
安西委員長: ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。
藤垣委員: 安西委員長と山脇委員からの御意見のなかに、国民が利用したくなるデータという御指摘があったので、それから連想したことを申し上げます。例えば、今、国会で議論になっている集団的自衛権の、過去の国会における議論を国民が参照したいと考えたとしましょう。そのとき、例えば文部科学省の審議会の議事録などは皆ネットに上げられていますから、おそらく最近のものは検索できるようになっているはずです。けれども、データがまだ電子化されていないときの国会での議論は、NDLの中ではおそらく紙媒体では保存してあるでしょう。それを電子化して国民がそういうことを調べたいと思ったときに調べられるようになっているかどうかを考えてみたいと思います。
というのは、今、東京大学では、秋入学の話から始まって、総合的教育改革をしていますが、そこでの議論をきちんとアーカイブ化しておかないと、また百年たって、同じような議論を繰り返すことになってしまいます。だから、会議の記録をきちんととっておこうと考えています。紙媒体の話ですが、フランスではアーカイブを各大学図書館でみんな保存してありまして、例えば技術者を教育するときに、数学は、知識の鍛錬のために純粋な数学を教えるべきなのか、それとも橋を造るための具体的・実践的な、工学に役立つ数学の教育にすべきなのかを、200年くらい前、1810年代に、エコール・ポリテクニックで議論したことがちゃんと図書館に残っていまして、今でも参照できるようになっています。ところが、日本は、教育現場におけるそういう議論のアーカイブも下手ですし、おそらく議論を積み重ねてきたことのアーカイブが非常に下手なので、検証するときに参照することができません。
教育の議論は大学の図書館でやればよいのですけれど、NDLとしてやるとしたら、おそらく国会での議論を国民が知りたい、過去に遡ってどういう議論があったのか知りたいときに参照できるようなもの、つまり過去の議論を参照して、検証できるようなアーカイブが必要だろうと思います。先ほど国会サービス、つまり国会から調査依頼があったらデータを提供する、という報告がありましたが、国民目線に立ったときには、過去に国会でどのような議論があり、国民がそれを知りたいと思ったら検索できるようにしておいて、キーワードを入れたら見られるようにしておくのも一つの手かな、と思いました。
網野調査及び立法考査局長: 調査及び立法考査局長の網野と申します。今の藤垣委員のお話についてですが、「国会会議録」という冊子体のものがあります。帝国議会のころからずっと連綿とあるものです。当館では、まず戦後の、今の国会について「国会会議録検索システム」を作り、既に発言データ全文についてどこからでもインターネットで利用できるようにしています。藤垣委員のお話にありましたように、戦後につきましてはキーワードから全て検索でき、集合を作って利用できるという状況になっています。また、帝国議会の会議録もかなり電子化が進んでいまして、ほぼ完成に近づいています。ただ、検索の仕方が今の「国会会議録検索システム」とは大分違います。基本的には帝国議会時代から全部会議録はデータベース化されています。以上、補足です。
安西委員長: ありがとうございました。
松浦委員: これから申し上げることを図書館で扱うのが適切かどうかということは疑問がありますが、科学技術の実験から出るデータを効率よく利用するためには今後ぜひ考えないといけないことだと思います。科学技術の実験においては、研究者がある視点からある装置を使って、データが得られます。それを研究者が必要とする視点から解析して、最後の答えを出すのが普通ですが、その実験で出てくるデータを全て蓄えておくと、後に違った視点からそのデータを解析することで違った側面の知識が出てくることがあります。また、そこから新しい視点の分野が開かれた例もあります。後で何が出てくるか分からないけれども、得られたデジタルデータの集合をとにかくアーカイブという形にして保存しておき、いつでもそれにアプローチして解析しようとする場合に使えるようにする、そうしたデータの集積がありうるかどうかが私のお聞きしたいところです。
加藤執行役: 私どもJSTでは、ちょうど研究データの共有をどうするかという議論をしています。私が担当している「バイオサイエンスデータベースセンター」ではバイオサイエンス関係のデータを統合的に集めています。例えばそこに大阪大学の中村春木先生が日本、欧州、アメリカというグローバルな見地で、蛋白質のデータを全部統合化してデータベース化しています。新しい研究データを発表するデータアーカイブです。出版者が論文を出版するときに、そのデータが正しいかどうかという検証レポートを付加する仕組みも先進的な分野ではできつつあります。
今の松浦委員のお話のように、研究者コミュニティで研究分野ごとにデータを蓄積していくというグローバルなデータベースのほか、マテリアル関係のデータベースのように、日本の中でリードしていくため、同じ失敗を繰り返さないように実験結果のデータを全て集めておくデータベースも考えられます。多分分野ごとにデータの持ち方も変わってくるので、「バイオサイエンスデータベースセンター」のように、研究分野ごとにデータベースを作ることになると思います。
もうひとつ、国が研究成果のデータをアーカイブし、最終的にオープンアクセスとする方向に、世界的に向かっています。ファンディング機関でそういったデータベースをきちんと管理していく、あるいは大学・研究機関の機関リポジトリのなかで保管していく流れになると考えています。NDLが担うべき分野かというと、違うかもしれません。陪席の立場ですが、参考意見として申し上げました。
竹内委員: 加藤さんの意見と関連しますが、倉田委員の言われた電子データの保存を考える場合に、NDLだからこそ保存の役割を強調しておかなければならないと思います。何人かの委員から利活用の視点が提示されました。それはとても重要な視点ですが、NDL、つまり国立図書館の役割を考えると、利活用よりも、我が国の様々なところで蓄積されてきたものをバックアップする役割が大事です。従来もNDLは納本制度をもとに紙の資料を保存してきたことを考えると、どこかでデータが消失したり、機関がなくなったり、商業出版者が電子情報のサービスを完全にやめたりしても、NDLにアクセスすれば何らかの形でデータにアクセスができると保証することは非常に重要だと思います。第三期科学技術情報整備基本計画のなかにも述べられていることですが、長期にわたる保存の視点は国立図書館の機能としては絶対に外すことができないものであって、すぐ利用できるような形でアーカイビングするのか、いわゆるダーク・アーカイブにするのかについての議論はあると思いますが、国立図書館にとって保存という役割は絶対に無視できないと思います。
佐藤委員: 先ほど加藤さんから御発言のあった件ですが、NSF(米国国立科学財団)は2011年から研究データ管理計画(マネジメントプラン)を義務化し、グラントプロポーザルを出すときには必ず2ページの管理計画を出さないといけないようになりました。その年の6月にデジタル人文学についても同じような義務化が行われています。
今、世界的に研究データ共有の動きが見られますが、その際にキーとなるのはデータの識別子です。例えば、研究データにDOIを付与するDataCiteという事業は国立図書館が中心となっています。ドイツ国立科学技術図書館が中心となって、各国の国立図書館が参加しています。科学技術・医学だけでなく、人文・社会科学全般を含めて、大きな視野を持って取り組んでいく必要があるため、国立図書館が参画していると理解しています。我が国においても、そういう大きな視野でとらえていく必要があるのではないでしょうか。
安西委員長: ありがとうございました。先ほどの利活用について竹内委員も言われましたが、NDLがアーカイブとして、「最後の砦」としての役割をきちんと果たすのは非常に大事だと思います。利活用と申しあげましたが、デジタルデータについても保存は極めて重要と思います。
NDLの報告からはデジタルデータをとにかく全部集めたいと聞こえなくもないのですが、それは無理だろうと思います。選択とも言われたけれども、メリハリをきちんとつけ、収集の目的をはっきり持つことが大事でしょう。
大滝館長: 今の一連の先生方の御意見の御開陳をお聞きして、我々のこれからにとって重要な点を含む御示唆をいただいたものと考えています。
国立国会図書館は、今まで文献データについてはバックアップ機能も含めて、紙媒体の保存は当然ですが、データ化されたものの保存も視野に入っていました。それに加えて現今の社会からの要請についていえば、日本社会において特に文化面、文化資産で生成されているデータを国として、ナショナルデータセンターというような形で保存する取組が必要である、それは実績のある国立国会図書館が担ってほしいという御要望を様々な会議で言われています。我々もデータセンターとして永続的にデータをお預かりし、活用に結び付けていく取組をしなければならないと考えているところです。
ただ、その保存すべき範囲がどこか、どこから始めるかという問題があります。研究データ全てを我々が扱うのは研究者コミュニティにおいてどこまで現実的な御要請となるでしょうか。もちろん我々が御要請を受けたときには、様々な方面に相談しながら財源の獲得を試みなければならないにしても、どこから始めるかが気になっているところです。
さしあたり東日本大震災については、「ひなぎく」を構築し、データは分散したままで、ポータルサイトでそれらのデータをつないで利用に供しています。しかし、各機関がデータを持ちきれなくなったら、国立国会図書館がすぐにでもお預かりしないといけないという覚悟をもって各方面とコンタクトをとっています。
今先生方から御指摘くださったことをどのように果たしていくかについて、今後の審議会の御議論のなかでも更に具体的な御示唆を頂きながら、取り組んでいきたいと考えています。
安西委員長: ありがとうございました。ほかにはいかかがでしょうか。
池本副館長: 今後、当館の予算が増えていくことはあまり考えられないと思われます。ここ何年以来そうですが、今後もずっと目減りをしていきそうな感じです。先ほどもお話ししましたが、デジタル化の予算は一時期まとまった額がついただけで、その後大規模にはありません。国の予算全体が厳しい中で当館の予算だけが倍増するなどといったことはまず夢に過ぎないでしょう。予算関係が当館に劇的に有利になることはないことを踏まえる必要があります。電子情報の保存が大事だと複数の委員から御指摘を頂き、そのとおりと思いますが、当館が何をするかという視点も大事なものの、国全体の中で当館がどの役割を担えばいいのかを考えておかないと、実際に持続することができません。研究データをいろいろな組織が持っていらっしゃいますが、そのなかで当館がどこの役割を担っていくのかを考える必要があると思います。そこでうまく予算化する戦略を考えないといけないと考えます。
大曲利用者サービス部長: 利活用について若干補足させていただきます。当館の所蔵資料のデジタル化は、公衆の利用による滅失、損傷、汚損を避けるために特に認められました。今年1月からはデジタル化した資料の一部、絶版になっている資料を図書館に対して公衆送信しています。
資料のデジタル化による効果としては、電子化した紙媒体の資料は利用に供さないことで資料保存が確実になっただけでなく、電子化したことによって館内での利用も増加しています。昨年度は電子化した資料のプリントアウトが40万件弱ありました。紙からの複写件数もそれほど変わっていませんので、電子化することでこれまで使われなかった資料が国民に利活用されるようになったと考えています。資料はきちんと保存しながら、今年1月からは260超の図書館で利活用できるようになりました。
集団的自衛権についての国会審議は「国会会議録検索システム」で全て出てきますが、実は図書館に対して送信している資料のなかには2000年までの大学の紀要等が入っています。地方の大学図書館・公共図書館から集団的自衛権に関わる論文を検索して利用することができます。また、雑誌記事索引等を使って当館に遠隔複写を申し込めば、かなりの資料を集めることが可能です。
新しい資料をデジタル化するには商業的利用との調整が必要になりますので課題が多いですが、古い資料であっても貴重なものをデジタル化して、きちんと国民に幅広く利活用していただければ、相当効果は出てくると考えています。
安西委員長: ありがとうございました。先ほどから研究データといわれていますが、生命科学・基礎医学等々のデータベースは、相当の数があるはずです。それらのフォーマットが違うなど、いろいろな問題があるわけです。そのなかで一体NDLが研究データについて何をしたいのかがよく分かりません。ユーザーから見ると、マテリアル・バイオサイエンス等々、身近なところにきちんと研究データを蓄積できる場があるのが非常に大事です。それとNDLのあいだの関係はどうなるのでしょうか。
実験室・ラボの学問のデータは収集しやすいと思いますが、例えば大震災関連でも社会科学系や映像等々が入ってくるようなデータは莫大な情報量になります。また、行動科学などはこれが実験だというのがはっきりしないので、なかなか難しいのではないかと思います。
研究データといったときにNDLがどう捉えているのかが分かりません。
大曲利用者サービス部長: 安西委員長の言われるとおりで、我々もこれから委員の御指導を受けながら、諸機関との連携のなかで、図書館として研究データについて持ち分・役割について考えていきたいと思います。
当館は研究データだけでなく、多くのデジタル化事業も抱えています。オンライン資料の収集や所蔵資料のデジタル化も進めないといけませんので、当館ができることについて御審議を賜って、外部機関から期待されていることも受け止めながら、限られた資源のなかで優先順位をつけて進めていきたいと思っています。
大滝館長: 補足いたしますと、第三期科学技術情報整備基本計画のなかで描かれている「知識インフラ」の絵の中には、研究から発生する研究データが含まれています。社会全体として「知識インフラ」を推進する中で、図書館がどういう役割を分担し、どう関わっていくかについては、これから具体化する必要のあるテーマだと理解しています。
ただし、今回の東日本大震災に関する資料の保存という喫緊の課題については、国民に役立つ形であらゆる関係の記録を集め、記憶を伝承するために、既に様々な研究・学術コミュニティとコンタクトをとっています。国立国会図書館の東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」の構築に当たっては、国立国会図書館が現時点でお預かりするデータがどこに存在し、どういう形で国立国会図書館に委ねられる形になるのか、それとも当分は研究コミュニティでデータをお持ちになるという方向性が確立しているのかどうかについて、各機関とコンタクトをとりながら、我々の担うべき範囲をだんだん具体化しながら取り組んでいます。
山脇委員: 加藤さんからも御指摘があったように、例えばバイオインフォマティクスで扱われるような多種多様な研究データ、生データは、極めてダイナミックに変化するものなので、JSTなどの専門的な機関において、利用者のニーズに合った形で整備するのが適切だろうと考えています。我々文部科学省も今、マテリアルズ・インフォマティクスといって、材料の基盤となるようなデータベースを構築しなければいけないと議論していますが、それを全てNDLに求めるのは非現実的であるし、ユーザーにとってのメリットも考えられません。
では、どこにNDLとして果たすべき機能があるのかが、「知識インフラ」のなかでの図書館の役割を精緻化するうえで重要だと思います。そのような視点でいくと、NDLに生データの収集は無理でしょうから、成果物など、二次利用のために広く流布する情報、研究者間で共有すべき情報、国際的に流通すべき情報について、何らかの基準を設けて取り組むべきではないかと思います。
佐藤委員: 研究データそのものをNDLが保存する仕組みを考える必要は必ずしもないと思います。第一義的には国際的な分野別のリポジトリもあるし、大学の機関リポジトリなりで保存・流通する仕組みを考えるのが大事だと思います。
しかし、国の枠組みの中で、データの関係性の整備をきちんとする必要があります。データ、出版物、映像など、いろいろな媒体をつなぎ合わせることはとても重要です。先ほど大滝館長も言われたように、「ひなぎく」においてそれを実現させるのは大事でしょう。
データの分散配置を前提としてどう考えるかを明確にする必要がありますので、DOIや他の識別子なりを用いて、どうやって構造化するかといったもっと技術的なところも含めて、NDLにはもう少し具体的に示してほしいと思います。
戸山委員: 皆さんの言われるとおりで、最初にお話ししたようにNDLが所蔵する紙媒体の資料をデジタル化すると、それがいろいろな方面と結びつく時代に入っています。NDLの役割をこれまでより広げて、デジタル化した資料をほかの情報とどうつなぐかを考える必要があります。医療やライフサイエンスの生データをNDLが収集保存する必要はないでしょう。NDLが持っている情報をどうつなぐかについては協議会を既に開いているでしょうが、もっとほかに構築すべきだと思います。データは結び付くことで価値が出てきます。デジタル化して、つなげないとおかしいでしょう。
先ほど池本副館長が「予算は限られている」と言われましたが、予算の制約を言うと次に進まないので、必要な予算は獲得すべく努力してほしいと思います。
倉田委員: 今、戸山委員・佐藤委員が言われたように、NDLが生データそのものの収集、保存を今すぐ考える必要はないと思います。しかし、データの整理・構造化については、NDLが全世界の図書館やデータセンターと協力して、標準化する努力が必要です。研究データは極めて多様で、どこまでがデータなのかも分かりません。画像もあれば3Dモデリングもあれば、シミュレーション・ソフトと一緒でないとデータにもならないものなど、ありとあらゆるものが含まれます。それを整理する必要があるでしょう。
生データは国際機関のデータベースにあり、論文はここにあるというときに、それらをどうやってつなぐのかが図書館にとっての大きな課題になると思います。データをつなぐ努力は既に始まっていて、アクセッションナンバーをつけたり、DOIをつけたりといった試みがあります。また、データジャーナルという、成果自体も論文にしないで、データを登録する雑誌が出ています。Natureもそういう雑誌をこのあいだ出しました。
そういう方向に動いている時代ですから、NDLには今までの紙の資料を持っていればよいとか、紙の資料をデジタル化すればよいという考えを捨ててほしい。NDLの姿勢を皆さん問うてらっしゃると思います。「ひなぎく」をひとつのモデルとしてやるのはよいと思います。そういうことを実際に動いてほしいと強く思います。
安西委員長: ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
藤垣委員: 安西委員長が最初に、知識とは外部記憶と構造化と状況に応じた利用と言われました。おそらくアーカイブ機能が外部記憶に当たり、今出ているのは構造化の話と考えられます。NDLがアーカイブとして何をするか、何を構造化すべきかを考える必要があるでしょう。先ほど倉田委員から、国際的標準化についての御指摘がありましたが、NDLですから、それだけではなく日本独自の、国民が知りたいと思う項目別の構造化をする必要があると思います。例えば、先ほどの集団的自衛権の議論にとどまらず、日本におけるテクノロジーアセスメントについて構造化しておくといったことが考えられます。これはNDLの調査機能とリンクした形で出てくると思いますが、国際標準と日本独自のものについての戦略を次の科学技術情報整備基本計画に入れていく必要があると思います。
安西委員長: ありがとうございました。
山脇委員: 全く違う視点ですが、次の第四期科学技術情報整備基本計画は平成28年度から始まりますが、最終年度の平成32年度、2020年は東京オリンピックの年になります。東京オリンピックはスポーツだけではなく、文化・芸術の一大イベントにすると文部科学大臣も言っていますので、NDLで貢献していただける視点があるとよいでしょう。今回はシリアスな議論が多かったのですが、そういう視点もあってよいと思いました。
予算の獲得は非常に難しく、我々も苦労しています。しかし、戦略的な重点分野として必要であると財務省に訴えておくと、補正予算といった機会につくこともありますので、いろいろな可能性を残しておくのは大事でしょう。
大滝館長: 今、山脇委員から御指摘のあった、文化立国としての東京オリンピック2020年という契機に、スポーツ分野だけでなく、文化についてどう発信するかは、現在日本の社会に求められている点です。我々も文部科学省・文化庁と連携をとりながら、出版領域も含めてあらゆる文化資産のデジタル化の推進とそれに基づく発信に重点的に取り組みたいと思います。そのため、来年度予算に向けていろいろと御相談しているところですが、我々として果たすべきことを社会からのバックアップを受けて行うのでないとすぐに壁に突き当たりますので、そういう面でもいろいろと御指導いただきたいと思います。
安西委員長: ちょうど館長の言葉で終わりに近づきましたので、これまでにさせていただきたいと思います。議事はここで終了させていただいて、事務局から連絡事項をお願いいします。
木藤科学技術・経済課長: 本日は貴重な御指摘・御意見を頂きましてありがとうございました。事務局から連絡事項があります。今年度2回目の審議会は12月頃の開催を予定しています。具体的な日程は改めて連絡しますので、御協力をよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
安西委員長: それではここまでにさせていただきます。貴重な意見を頂きまして、委員の皆様誠にありがとうございました。

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