利用者アンケートを活用したサービス改善
最終更新日 2008-12-25
国立国会図書館では、サービスの利用動向や利用者の満足度・要望を把握するために、来館利用者を対象としたアンケートと、遠隔利用者(電子図書館サービスや遠隔複写サービスなど来館せずに利用できるサービスの利用者)を対象としたアンケートを、隔年で行っています。
アンケートの結果は、当館が導入している評価制度「活動実績評価」の枠組みの中で活用し、サービスの改善につなげています。
アンケートで得られたデータは、民間企業で活用されている顧客満足度(CS)調査を応用した手法で分析しています。この分析によって、国立国会図書館のサービスのうち、利用者が改善を望んでいるものについて、優先順位を明らかにしています。具体的には、アンケートで国立国会図書館ホームページ(NDL-HP)上での「資料全文の電子的提供」などのサービス項目ごとに満足度と改善要望の有無を尋ね、その結果から「満足度」「改善要望度」を算出しています。
両者の相関関係を示したのが、図1です。満足度・改善要望度の各軸は、全項目の平均値で二分されており、この結果、グラフは四つの領域に分けられます。この中で、右下の領域に位置している項目が、満足度が低いとともに改善要望度が高く、優先順位が高いものです。
図1 満足度・改善要望度分析(平成20年度NDL-HPアンケート)
※ 満足度(点)は、回答者全体に対する各項目の回答割合に、「満足」=100点、「やや満足」=50点、「やや不満足」=−50点、「不満足」=−100点、「無回答」「利用していない」=0点を配点し、これに各項目の回答率を掛けたものを足しあわせて算出。改善要望度(%)は、回答者全体のうち、当該項目の改善希望を選択した割合。領域を区切る値は、全項目の満足度と改善要望度の平均値。
当館では、こうした分析結果などを参考に、サービス改善に取り組んでいます。例えば、遠隔サービスにおいては、平成18年度に行った遠隔利用者アンケートの結果を受けて、次のような改善を行いました。
(1) NDL-HP上の資料全文の電子的提供
著作権処理と電子化を進め、「近代デジタルライブラリー」の公開タイトルを、89,000タイトル(平成18年度末)から101,000タイトル(平成20年12月)に拡大しました。また、平成19年10月には、NDL-OPAC(国立国会図書館蔵書検索・申込システム)の検索結果から「近代デジタルライブラリー」の資料本文が簡単に見られるようにシステム間連携を実現しました。
(2) NDL-HP上での情報の調べ方案内(レファレンスツール)の提供
NDL-HPでは、情報の調べ方を案内するコンテンツ(レファレンスツール)を提供しています。平成19年10月には、新規コンテンツとして「企業・団体リスト情報」を公開しました。また、「テーマ別調べ方案内」を拡充させ、平成18年度末456テーマだったものを1,089テーマまで増やしました(平成20年9月)。さらに、「レファレンス協同データベース」では、データの内容充実や登録促進を目指して、各種の取組みを行いました。
(3) 遠隔複写の提供にかかる日数
遠隔複写の申込みは、ここ数年で毎年1割ずつ増加していますが、当館が定めるサービス基準(受理してから5日以内に発送:80%以上)は達成しています。平成19年は、東京本館の複写作業室を改修するなど複写作業の動線を整理するとともに、遠隔複写の実態調査を行いました。平成20年は、実態調査結果に基づき業務改善計画の策定を進め、実施可能な部分から運用を開始しました。
平成20年度のアンケートでは、これら三項目の満足度は向上し、グラフでの位置が上方へ移動しました(図2)。これは、利用者の方々に、上述したような取組みを評価してもらった結果だと考えています。ただし、NDL-HPの「資料全文の電子的提供」と遠隔複写の「提供にかかる日数」は改善要望度が減少していないことから、これらの項目については今後とも改善の取組みを継続する必要があると考えています。
図2 満足度・改善要望度の経年変化
※ ■はNDL-HPアンケート、●は図書館アンケートでの質問項目
※ 赤はH20アンケート、青はH18アンケート
※ 領域を区切る線は、H18NDL-HPアンケートの全項目の平均値
今後もアンケートの結果を参考に、利用者の皆様に一層満足していただけるようなサービスの提供に努めていきます。末尾ながら、アンケートにご回答くださった方々に深く御礼申し上げるとともに、今後ともご協力をお願いいたします。
参考資料
(PDF file: 336KB)
「『満足度』と『重要度』を用いた業務分析−国立国会図書館の利用者アンケートをもとに−」『現代の図書館』Vol.47, No.1(2009) , pp.36-44.
