• 利用案内
  • サービス概要
  • 東京本館
  • 関西館
  • 国際子ども図書館
  • アクセス
  • 複写サービス
  • 登録利用者制度
  • オンラインサービス
  • サービス一覧
  • 国会関連情報
  • 蔵書検索
  • 電子図書館
  • 調べ方案内
  • 電子展示会

国立国会図書館電子図書館推進会議報告書(概要)

高度情報社会における図書館の新たな役割

電子図書館は図書館が通信ネットワークを介して行う一次情報、二次情報の電子的提供とそのための基盤である。今日、情報通信技術の進歩によって、さまざまな情報が電子的に生産され、またそれらをネットワークを介して家庭や職場から利用できるようになってきた。図書館は、歴史的にもさまざまな媒体に記録された人間の精神的な営みを、収集、組織化、保存し、求める人に対して提供してきた。利用対象や設置者によって、さまざまな種別の図書館が存在するが、図書館の目的は利用者に資料等を提供することにある。なかでも我が国の中央図書館である国立国会図書館は、国内の出版物の網羅的収集、全国書誌の整備、国民全体への図書館サービスの提供などの役割をになっている。我が国を代表する国立図書館として、新しい情報通信環境のもとにおいて、新しい役割を果たすことが求められている。

今日あらゆる形態の情報の生産、流通、蓄積、処理のすべてのプロセスがアナログからディジタルに移行するディジタル革命の最中にある。ディジタルの情報は加工、複製、伝送、蓄積、表示の形態がアナログとは異なる。これまで表現しえなかった新たな可能性を開くものであると同時に、著作権においては新たな問題を発生させている。図書館においては、コンピュータを図書館業務の効率化の目的で使用してきたが、新たなディジタル技術を利用することで図書館はこれまでと比較してはるかに便利なものとなる。電子図書館は新しい情報技術を使った図書館サービスの拡張であり、電子図書館によって、情報格差の是正、膨大な情報の入手が可能となる。電子図書館は巨大な情報空間の案内役であり、キーワードは「どこでも、いつでも、だれでも」、情報にアクセスできることである。また、公共的な電子図書館の成立は情報のアクセスにおいて、中立性と公平性を実現するものであり、ディジタルの時代において、これまでの印刷物中心の時代と同様に、あるいはそれ以上に、文化を保存し、継承する社会的な機関としての役割を果たすものである。

20世紀後半から急速に発展した情報処理技術、ネットワーク技術はやっと情報、知識、文化の技術基盤を形成できるところまで進んできた。21世紀はこれらの技術基盤の上に本来の「高度情報社会」、つまり、文化、芸術、知識、学問、情報の基盤が形成される時代である。電子図書館は、21世紀に向けた新たな知識・情報の基盤として構築されることになる。

このページの先頭へ

国立国会図書館の実施する電子図書館への提言

国立国会図書館は、「真理がわれらを自由にするという確信に立って、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和に寄与することを使命とする」という国立国会図書館法前文に掲げられた高い使命を担うため、昭和23年に設立された。国立図書館であるが、国権の最高機関である国会に設置され、国会議員の職務の遂行に資するとともに、行政及び司法の各部門に対し、さらに日本国民に対して図書館奉仕を行っている。

図書館活動を行うに当たって基盤となる図書館資料については、政府刊行物は公用及び国際的な資料の交換のために、また民間出版物については「文化財の蓄積及びその利用に資するため」に発行者はかならず最良版の完全なものを国立国会図書館に納めるという、納本制度によって網羅的に収集してきた。これらの出版物は文化財として未来に伝えるとともに、国民に最大限提供することになっている。図書館は歴史的にさまざまな記録媒体に記された資料を収集し提供してきた。印刷物もその一つである。現在アナログ形態の出版物のみならず、ディジタル形態のさまざまな情報が生産され、流通している。これらのディジタル形態の出版物についても保存と利用を図ることが必要である。物理的な「本」の形態ではやむをえなかったであろう「ラスト・リゾート」(最後の拠り所)としての国立国会図書館の役割が、電子図書館を備えることによって、「ファースト・リゾート」(最初の拠り所)としての役割を兼ねることも期待できる。また、国立国会図書館が実現する電子図書館は情報の公開や広汎な情報へのアクセスの提供によって、民主主義と国民の思想の自由に貢献できる。国立国会図書館では、21世紀の情報資源の蓄積拠点として、21世紀初頭に関西館の開館を予定している。関西館は同時に情報発信の拠点、国際社会に開かれた図書館サービスの拠点、図書館協力の拠点としての役割も果たすことになるとしている。また、国立国会図書館は国際子ども図書館のほぼ同時期の開館もめざしている。電子図書館はこれら関西館、国際子ども図書館の重要な柱として、東京本館と一体となって機能するように構築すべきである。

国立国会図書館が実現する電子図書館は、国民に開かれたアクセスの機構であり、地域格差の是正、国民の文化遺産の保存と継承において重要な役割を果たすことが望ましい。現在急速に発展しつつあるインターネット情報においても、インターネットを介して電子図書館サービスを提供することによって、インターネット情報を適切に案内できるようになるばかりか、インターネットに「文化と伝統」の厚みをもたらすものになる。電子図書館サービスによって、学術研究者に対しては研究の効率と生産性の向上への支援、産業社会においては産業の活性化と新しい創造性をもたらすことが期待できる。なお、電子図書館の実現においては、ハンディキャップを持つ人への配慮が必要である。

図書館はこれまでにもさまざまな人々や機関と協力を行ってきているが、電子図書館においてはこれまで以上に協力活動が重要になる。内外の図書館、各種専門情報機関、教育研究機関、社会教育関連機関、情報の生産、発信、提供に係わるさまざまな情報関連機関や個人が、電子図書館にとって協力者になる。国立国会図書館が推進する電子図書館は、これら各種の機関や人々と協力し、総体としての国民の知的ニーズに応えることができるよう、連携、調整を図ることが重要である。

このページの先頭へ

電子図書館の「蔵書」−文化の保存と提供

国立国会図書館は我が国の出版物を網羅的に収集し、保存する役割を担う図書館である。従来の印刷物に加え、マルチメディア情報も取り扱い、電子情報のアーカイブとして保存と提供を図る必要がある。

国立国会図書館が提供する電子図書館の「蔵書」は、電子出版物、印刷出版物の電子化資料、外部機関の提供する電子情報への案内が考えられる。これらは資料を検索するための資料に関する情報(二次情報)と資料そのものの提供と案内に分けられる。なかでも重要なものは資料そのものの提供と案内である。国立国会図書館が収集する電子出版物、印刷物等を電子化して蓄積する電子的なアーカイブ、外部機関へのナビゲーション、インターネット情報資源等が提供可能な蔵書として想定できる。また、出版者の仮想店舗である電子図書館レンタル・スペースのようなサービスも考えられる。
提供に当たっては中立性、公平性に配慮するとともに、資料保存、利用ニーズの観点を重視し、また学術的・文化的価値の高いものを優先すべきである。基本的にはできるだけ広く電子化し提供することが必要であるが、予算、他機関との協力、制度面での整備の状況等を勘案する必要がある。また、利用者が電子図書館を利用するに当たって、的確に必要な情報にアクセスできるよう、使いやすいナビゲーション機能を準備することも大事である。また、国立国会図書館以外の機関が提供するさまざまな情報源についても、国立国会図書館の情報源と同様に利用可能とするよう、外部機関への適切なリンクとナビゲーションを行うことは大変有用である。

さらに、電子図書館においては、利用者にとって興味のある分野について適切に情報を編集し、魅力のあるコレクションを形成することも望まれる。例えば、世界に対して日本を紹介する“JapaneseMemory”の構築や、主題書誌などをテーマに沿って利用できるようにするということも考慮すべきであろう。

このページの先頭へ

電子図書館を実現するための制度

電子図書館が提供する知識や情報の多くは著作権の存在する著作物である。これら著作物については、「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与」することを目的として著作権法が定められている。現行著作権法(以下、「法」と言う)では著作者に広範な権利が与えられているが、文化の発展という究極の目的に照らして、著作物の公正で円滑な利用を図るため著作権が制限される場合についても同時に定めている。図書館等については、法31条で利用者の調査研究、図書館等の資料保存のため必要がある場合については、著作者の許諾を得ずに著作物を複製できることとしている。電子図書館は図書館が収集もしくは電子的に変換した資料をデータベースとして保持し、ネットワークで提供するものであるが、現行法においては、複製権(21条)、公衆送信権等(23条)等が関係する。また、電子形態の複製をすべて法31条で対応させることは困難である。電子図書館の推進に伴って、資料の電子化(データベース化)、図書館内における利用者サービス、ネットワークを通じて行うサービス等で著作権法上の問題が生じうる。

図書館は社会的コミュニケーションにおける知識と情報の蓄積と再利用を保証するプロセスである。電子形態の知識・情報も印刷物同様に人間の思想や感情を表現した文化的所産であり、電子的情報流通時代には、電子情報についても印刷物同様に整備し、アクセスを保証することが必要である。また図書館が果たす国民への平等なアクセス機会の提供は、文化と民主主義の発展にも貢献するものである。そのような観点から、電子情報についての権利者の権利と公正な利用について、広い社会的合意が形成されるべきである。

電子図書館における著作者の権利保護と利用における適切なバランスを検討するに当たって、複製物とオリジナルとの同一性や複製、送信または編集・加工の容易性等のディジタル情報の特性を考慮する必要がある。国際的には、電子図書館をめぐって国際図書館連盟と国際出版連合がそれぞれ見解を表明しているが、電子著作物に関して著作者の権利、図書館の役割と公共性について両者の見解は隔たっている。
電子図書館はこれまで法が想定してきた著作物の利用とは別の、新しい環境下での利用形式であり、従来にない視点からの取組み、ルール作りが求められる。電子図書館は膨大な文献を多数の利用者に迅速に提供するものであるが、複製及びネットワークを介した提供に当たっての許諾事務の膨大さ、また図書館の公共的な側面等を考慮し、電子図書館の推進に当たって、著作者、出版者、図書館界、利用者等関係者による適切なルール作りの場の設定が必要である。

ルール作りのための論点として、所蔵資料の電子化に当たっては所蔵資料の属性、提供方法の差違、提供範囲の差違、対価の徴収、権利処理の方法等を挙げることができる。電子図書館を推進する立場からこれらの論点を整理する。

所蔵資料の属性については、著作権のない著作物、政府刊行物については提供を可能とし、民間出版物については市場原理に留意し、絶版その他市場で入手困難な資料について、電子図書館でアクセス可能となるように関係機関と協議する。また、市販出版物については案内を行うにとどめる。提供方法の差違については、図書館での閲覧、プリントアウト、ダウンロード、ナビゲーションについて論点の整理を行い、著作者の利益に大きな影響を与える可能性が高い提供方法については、契約に基づき実施する。提供範囲の差違については、国立国会図書館館内での利用、館外での利用、国立国会図書館構成施設間での利用、国立国会図書館と公共図書館等との間の利用について論点の整理を行い、国立国会図書館館内での利用、国立国会図書館構成施設間での利用、国立国会図書館と公共図書館等との間の利用については国立国会図書館が電子化した資料を利用可能とするが、市販著作物の館外からの利用については、提供の申し出があるか、契約に基づかない限り行わないか、ナビゲーションにとどめる。また、対価の徴収に関しては資料の電子化については利用者からの対価の徴収は行わず、閲覧・複写については印刷物と同様の扱い、市販出版物のダウンロード、ネットワーク利用については適正な対価の徴収、さらに対価徴収に当たっての関係法令との調整が必要である。また、権利処理の方法については団体への権利の集中化による許諾システムの可能性と権利処理の共同化の方法が挙げられる。

電子図書館はこれまでの法体系で想定してこなかった新しい機構であり、また高度情報社会、ネットワーク社会における情報・知識基盤としての重要性から、国立国会図書館は図書館界全体を視野に入れ、新たなルールづくりのために関係機関と協議する場を設定することが望ましい。

このページの先頭へ

電子図書館システムの技術的課題

電子図書館は豊富な情報資源に対し、誰でもが容易にアクセスできるものである必要がある。そのために、利用者にとって使いやすいという観点が必要である。まず、豊富な情報源に対してアクセスする際の情報源の網羅性と信頼性、検索に当たっての透過性が求められる。さらに、利用者の要求を的確に把握した上で求める情報へ適切に導くナビゲーション、利用者にとって使いやすい利用者インタフェースも必要である。端末の操作、閲覧表示、さらに利用するコンテンツに依存した閲覧ツールの準備も課題となる。さらに、利用者にとっては、電子図書館を自分の書斎として利用する個人の環境構築機能があると便利である。

電子図書館で最も重要な点は求める文献を適切に探し出すことであり、効果的な情報検索機能は不可欠である。現行の検索システムは検索ノイズが多いか、または検索洩れが発生しやすいため、膨大な情報空間の中から適切に求める情報に到達する、効果的な情報検索システムを準備する必要がある。さらに、利用者が求める情報を適切に選択できるように支援するため、文書の構造や利用動向を把握した上での情報の組織化も大切である。今後の高度な検索方式としては、利用者適応型検索、マルチメディア検索、意味検索、概念検索、分散協調エージェント検索等の検索方法についても検討する必要がある。

電子図書館のコンテンツの権利保護をどのように実現するかという問題も電子図書館にとって重要な技術課題である。電子コンテンツのネットワーク流通を可能とするためのセキュリティの確保や不正コピーの防止などの著作権管理や著作権保護について十分に検討する必要がある。現在、著作権保護については、電子透かし技術や電子署名技術が開発されてきており、これらの技術を活用すること、また利用者端末での不正コピーの防止や利用度に応じた課金を可能とする超流通技術など、現在電子商取引の分野で開発されているいくつかの技術を活用することも有効であろう。

また、国の中央図書館としての国立国会図書館が実施する電子図書館は電子情報の永久的な保存について十分な配慮を行う必要がある。また、他の図書館や情報機関と安定的な相互運用を可能とする標準化や相互運用性の確保も重要な課題である。将来に向けて安定的運用を可能とする拡張性のあるアーキテクチャ上でのシステムの構築、コンテンツの長期保存、外部機関との情報の共有や相互運用に役立つメタデータの作成についても、電子図書館の技術的課題として重要である。

報告書では歴史的な流れの中で図書館が担ってきた社会的・文化的役割を概観し、ディジタル社会において電子図書館が果たすべき役割と、それを実現するために必要な制度的、技術的課題を検討したが、国の中央図書館として国立国会図書館が実現すべき電子図書館は、我が国の情報基盤の核として位置づけられるものであり、これからの情報社会の発展に向けた新しい情報基盤となることを強く期待する。

このページの先頭へ