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第27回納本制度審議会議事録

日時:
平成28年3月23日(水)午前10時30分~11時15分
場所:
国立国会図書館東京本館3階総務課第一会議室
出席者:
中山信弘会長、福井健策会長代理、石﨑孟委員、植村八潮委員、江上節子委員、相賀昌宏委員、斎藤誠委員、永江朗委員、藤井武彦委員、佐々木隆一専門委員、三瓶徹専門委員、樋口清一専門委員
会次第:
  1. 代償金部会における調査審議の経過及び議決の報告
  2. 電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について
  3. 今後の日程について
配布資料:
  • (資料1)第26回納本制度審議会議事録
  • (資料2)納本制度審議会委員・専門委員名簿
  • (資料3)第11回代償金部会における審議の概要について
  • (資料4)第12回代償金部会における審議の概要について
  • (資料5)電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について
  • (資料6)電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業の意義・経緯
  • (資料7)国立国会図書館の想定する実証実験のための技術的枠組
  • (資料8)電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業についての補足説明資料
  • (資料9)国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)(抄)
  • (資料10)納本制度審議会規程(平成9年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料11)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)
  • (資料12)国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程(平成25年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料13)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件(平成25年国立国会図書館告示第1号)
  • (資料14)国立国会図書館法第25条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)
  • (資料15)答申
    国立国会図書館法第二十五条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)第2項第2号に規定する納入の一括代行事務に要する金額の見直しについて
議事録:
(開会)定足数の確認等
会長:
定刻となりましたので、第27回納本制度審議会を開催いたします。委員の皆様にはお忙しいところ御出席くださいまして、ありがとうございます。
本日は、15名の委員中9名の委員に御出席いただいておりますので、定足数は満たされております。また、本日は専門委員のみなさんにも御出席いただいております。
なお、傍聴の方は、メモをとることは差し支えございませんが、自由な審議を行うため、録音及び写真撮影については、御遠慮ください。
それでは初めに、事務局から配布資料の説明をお願いします。
事務局:
〔配布資料について説明。〕
会長:
資料はお手元に全部そろっていますでしょうか。それでは進めて参ります。
会次第にはございませんが、ここで、昨年9月に開かれた、第26回納本制度審議会の議事録の取扱いについて、事務局から説明があります。
事務局:
議事録につきましては、前回出席された委員の皆様方の御確認、御了解を得た上で、議事運営規則第16条の規定により、既に当館ホームページで公開しております。
(会次第1)代償金部会の調査審議の経過及び議決について
会長:
それでは、会次第の1に入ります。代償金部会の審議経過及び議決について、部会長から報告があります。それでは、斎藤部会長、よろしくお願いします。
部会長:
それでは、御報告いたします。
前回の納本制度審議会から今回までの間に、代償金部会が2回開催されました。それぞれの部会の調査審議の経過及び議決について報告いたします。
まず、昨年9月4日に開催された第11回代償金部会の議決について報告いたします。資料3を御覧ください。
第一に、私が互選により部会長に選出されました。
第二に、江上委員を部会長代理に指名いたしました。
第三に、納入代行者である一般社団法人日本出版取次協会に対する代行手数料について、3年ごとの啓蒙・周知活動及び担当者の異動等に対応した適時適切な納入漏れ防止措置を今後も継続して行うことを条件として、納入資料1点につき150円から170円に引き上げることが承認されました。
これは、平成23年7月29日の答申において、組織的・系統的な納入漏れ防止措置を講じた納入代行者について、代償金部会の承認があった時は、代行手数料を170円に改定することが適当であるとされていることに基づくものです。
第11回代償金部会の議決の概要は、以上です。
続いて、今年2月18日に開催された、第12回代償金部会の調査審議の経過について報告いたします。資料4を御覧ください。
この代償金部会では、昨年から今年にかけて、いったん代償金を支払った物が納入対象ではなかったことが判明し、代償金の返金に至った事案が発生したことを受けて、この事案の経緯等について事務局から報告を受け、代償金制度の課題について審議しました。
活発な議論が行われ、代償金制度の要否や上限設定の問題は中長期的課題として今後も慎重に検討を続ける必要があるが、まずは今回の事案と同様の問題が起こらないような対策を講じる必要があるという点については、概ね合意されました。
どのような対策をとるかについては、様々な御意見がありましたので、引き続き検討の必要があると考えます。
第12回代償金部会の経過の概要は、以上です。
なお、この部会で出された主な意見については、事務局から説明させます。
事務局:
〔資料4に基づき説明〕
会長:
ただ今の部会長の報告及び事務局からの説明について、何か御質問や御意見はありますか。
委員:
資料13頁4(2)①の代償金制度の必要性についての3つ目の意見にある、代償金の代わりに出版権の設定登録と紐付けをしてインセンティブとするアイデアについては、私の発言だったと記憶しています。その際は、検討・実現にはかなり時間がかかると申し上げましたが、権利関係の明確化や流通の促進に資する非金銭的インセンティブについては、積極的に検討を続けていくべきではないかと思います。
会長:
ただ今の発言は、納本制度にとどまらず、ナショナルアーカイブとも関係してくる話になると思います。
委員:
今回の代償金の返金に至った事案は、他の国家予算の使われ方と比べて、それほど大きい話ではないように感じました。国立国会図書館のグロスの予算が大きくなればいいと思いました。
会長:
国立国会図書館のグロスの予算が増えれば言うことはないのですが。最近は額の大小に関わらず、不正のないように、襟を正さないといけません。今回の事例は、ネットでも問題になっていました。これを端緒に、より立派な制度ができればいいと思います。
委員:
小売価格の半額を支払うという代償金制度は、財産権補償として定着しています。制度を変えるとなると、法制度的な検討と、諸外国との比較が必要になると思います。まず、今回のような事案が起きないよう、対策をとる必要があります。具体的な論点としては、資料14頁4(2)③④で挙げられています。オンデマンド出版物の頒布をどう捉えるのか、発行すると言っているだけでいいのか、何部発行されているのかを確認した上で、納入してもらうのか、といった論点があります。また、値段がついていないものはかつて代償金部会で審議したこともあったので、再発防止のためにそのようなスキームを使って対応することも検討していくべきではないでしょうか。
委員:
今回の事案については、納本対象ではないことが明らかであったので、判断がしやすかったと思います。今後、もう少し意味のあるような内容で、廉価に作成された作品が、高額の価格をつけて納入される可能性があります。例えば、パブリックドメインの文章をコピーペーストして新たな書籍を作り、高い価格をつけて納入してくるなど、更に判断が難しい事例が起こるかもしれないので、そのような事態も念頭に置くべきでしょう。また、有償オンライン資料の納入が検討されている中で、有償オンライン資料は更に容易に発行できるので、こちらの制度設計にも影響を与えるのではないかと思います。
会長:
国会図書館としては、本の内容の価値判断はしてはいけないということで、今回の事案が起きたと思いますが、今後も難しい判断を迫られることがあると思います。
委員:
先日、放送と通信の融合というドキュメンタリーを見ましたが、情報の流通形態が変化する中で、出版を巡る状況も変わってきています。今後に備え、諸外国の状況について調査する機関を立ち上げてみてはどうでしょうか。
事務局:
諸外国の状況につきましては、今後も調査研究を進めていきたいと思います。
委員:
オンデマンド出版の話が出ましたが、オンデマンド出版物は今後も増えると思います。電子書籍と連携したシステムに移行していくのではないでしょうか。電子書籍として発行しているけれど、紙の本が欲しいという人に、オンデマンドサービスで提供するという形になっていくと思います。単独のオンデマンド出版物は減少していき、電子書籍サービスに組み込まれていくと考えられます。先々は、電子書籍の納入の枠組みの中でオンデマンド出版物を議論する必要が出てくるでしょう。オンデマンド出版として、独立して考える時代はそろそろ終わるのではないかと考えています。
会長:
他に御意見はございますか。よろしいでしょうか。代償金制度の課題については、なお検討を要すべき事項が多いようです。今回いただいた御意見も踏まえ、代償金部会でさらに調査審議していただくこととしたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、代償金部会において、引き続き調査審議をお願いいたします。
(会次第2)電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について
会長:
続いて、会次第の2に移ります。昨年12月から開始された電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について、事務局から説明を聞きたいと思います。
事務局:
〔資料5に基づき説明〕
会長:
ただ今の件については、この審議会の前に開催されたオンライン資料の補償に関する小委員会でも議論されたということです。小委員会での議論の様子を福井小委員長から御紹介いただけますか。
小委員長:
それでは御紹介します。小委員会では、委員・専門員の皆様から、様々な意見をいただきました。前提として、せっかく実証実験を行うので、コンテンツを充実させて、多くの人に利用してもらうことが重要という共通の理解がありました。そのうえで、大きく分けると次の3つの方策が提案されました。
一番目に、コンテンツを増やしていくために、実証実験の認知度を高めることが挙げられました。特に、ニーズが大きいと思われる学術関連のコンテンツを増やしていく必要があります。まだ作家、出版社の方を含めて、実証実験の認知度が低いので、文芸家協会などの著作者団体との共催による、シンポジウムの開催などの仕掛けが必要ではないかという意見がありました。
二番目に、権利者ニーズを把握することが挙げられました。利用者の立場からは、プリントアウトサービスやOPACとの連携など、使い勝手の良さを検討する必要があります。しかし、そのようなサービスは、権利者によって提供できる人もいれば、提供できない人もいるので、権利者ごとのニーズを把握する必要があるのではないでしょうか。利用者だけではなく、権利者にもアンケートをとってはどうかという意見がありました。学芸書と文芸書など、コンテンツの種類が違えば、扱いを変えることも考えるべきではないでしょうか。実証実験を通して、どの種類のコンテンツならどのような利用ができるのか、整理できるとよいと思います。
三番目は、この実証実験はどのようなビジョンを持っているのか、国立国会図書館の役割を踏まえて共有する必要があるということです。
以上が主な意見となります。
会長:
それでは、ただ今の事務局及び福井小委員長からの説明について、何か御質問や御意見はありますか。
委員:
資料25ページのアンケート意見では、「デスクトップPCでの長時間の読書はつらい」という意見がありました。電子資料の利用形態として、調査のための端緒として見ることが多いと思いますが、この方はどのような形態で利用できればいいと考えているのか、読み取れることはありますか。
事務局:
ご指摘のように、大半の方はブラウジングで利用しているのですが、中には一時間以上利用する方もいます。長時間通読している人からは、Eインクのような、目に優しいデバイスで読めるようになるとありがたい、という意見があります。今後、提供するデバイスについても考えていかなければいけないと思います。
会長:
プリントアウトが欲しいということではないのですか。
事務局:
その要望もございます。東京本館の来館利用者の半数近くは、資料を閲覧した上で、必要箇所を複写しています。電子書籍についても、プリントアウトの要望が寄せられています。
会長:
目が疲れるという問題もあると思いますが、学術関係は手元にコピーを置いておかないと、研究しづらいという面もあると思います。
委員:
学術書は画面を見たうえで、必要箇所をプリントアウトして持ち帰るというニーズが多いと思います。一方で、今回の実証実験では文芸、コミックといった読み物的なものが多数提供されているため、長時間の読書はつらいというような意見が出てきたのではないでしょうか。
委員:
アンケートには職業、年齢は書いてありますが、利用目的についてもわかりますか。
事務局:
このアンケートでは利用目的は尋ねていないのでわかりませんが、隔年で来館利用者に行っているアンケートでは、東京本館の利用者の6割は調査研究目的で来館しています。電子書籍の利用者の中にも、調査研究目的で来館された方が相当数いると思われます。アンケートの中には、個別のテーマについて調べるために来館したが、電子書籍には探していたものがなかったので、今後に期待したい、という意見もありました。
会長:
ただ、現在の提供作品は文芸、雑誌、コミックが多いので、調査研究目的で電子書籍を閲覧している利用者は少ないのではないかという気もします。
事務局:
今回の実証実験は、日本電子書籍出版社協会に委託しており、まず最初に、同協会加盟社から作品提供に協力していただいたため、学術専門書が少ない状況となっております。今後、学術専門書の出版社にも御協力をお願いし、学術専門書を増やしていきたいと考えています。
会長:
他に御意見はございますか。よろしいでしょうか。この問題も極めて重要なので、引き続き実証実験事業を進めてください。
(会次第3)今後の日程について
会長:
それでは、会次第の3に入ります。今後の日程についてということですが、事務局から説明してください。
収集書誌部長:
今後の日程につきまして御説明いたします。
代償金部会の調査審議の経過についてのところで御議論いただきましたとおり、代償金制度の課題について、代償金部会で引き続き御検討いただくこととなりました。審議会につきましても、代償金部会での御検討の経過を踏まえて、来年度中の適切な時期に開催したいと考えております。
会長:
ありがとうございました。ただ今の事務局の説明について、何か御質問はありますか。よろしいでしょうか。
予定されている議題や報告は以上で終了いたしましたが、何か御意見や御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、以上をもちまして、第27回納本制度審議会の会次第は全て終了しましたので、これにて散会といたします。
(午前11時15分終了)

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