国立国会図書館資料防災指針
平成22年2月3日策定
1 目的
1-1(目的)
国立国会図書館資料防災指針(以下「資料防災指針」という。)は、図書館に係る災害の中で最も可能性が高いと考えられる火事、地震、水害などの災害から、東京本館、関西館及び国際子ども図書館の3施設が保管する資料の被害を防ぎ、軽減することを目的とする。そのため、資料保存において予防的保存対策を重視する観点から資料の防災を進めるための原則等を取りまとめるものである。
当館においては、東京本館、関西館及び国際子ども図書館の3施設のそれぞれが、火事、地震、その他の災害による被害を軽減することを目的とする消防計画、「国立国会図書館本庁舎消防計画」、「国立国会図書館関西館消防計画」、「国立国会図書館国際子ども図書館消防計画」(以下「消防計画」という。)を有する。この資料防災指針は、これらの3施設の消防計画と合わせて、資料を災害から守るための考え方を示している。これに基づき、資料の防災の知識や経験等を積み重ね、資料の防災の取組を行う。
なお、この方針において言う防災とは、行政において一般的に使用される、災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図る、という意味において用いることとする。
1-2(対象資料)
この資料防災指針は、国立国会図書館が収集し、3施設が保管する図書館資料(以下「資料」という。)を対象とする。形態を有しない電子情報については別途の扱いとする。
2 資料防災の原則
2-1(人命尊重)
災害発生時においては、人命を尊重することを最優先とする。
2-2(予防管理の重視)
災害時に備えた予防管理を重視する。
2-3(優先順位付け)
災害時に保護すべき資料についてあらかじめ優先順位付けを行う。
2-4(被災記録の維持と活用)
資料の被災状況は、記録し維持し、活用する。
2-5(専門性、迅速性の重視)
被災資料の対応は、専門的知識、経験、技術に基づいて行う。同時に、被害を最小にとどめるために、可能な限り迅速に行う。
2-6(3施設間の協力)
資料の防災に関し、東京本館、関西館及び国際子ども図書館の3施設の間で協力する。
2-7(国内外の関係機関・専門家との協力)
資料の防災に関し、国内外の関係機関や専門家と協力する。
3 予防管理
3-1(予防管理の業務)
予防管理として次の業務を行う。
(1)資料保管環境の施設面及び人の出入りに関する安全管理を十全にする。
(2)IPM(Integrated Pest Management:総合的有害生物管理)に立った環境対策を検討する。
(3)災害発生時における優先的保護対象資料を指定し、保管場所を把握する。
(4)被災資料の搬出及び応急処置方法等を検討する。
(5)被災資料の搬出及び応急処置に必要な物品を整備する。
(6)被災資料の救済に必要な施設等を確保する。
(7)図書館資料の被災記録を維持管理する。
(8)図書館資料の被災の予防と災害発生時の対応に関する教育及び訓練を実施する。
3-2(予防管理の体制)
収集書誌部が中心となって各種マニュアル類を整備し、資料所管部局、3施設の施設管理部門と連携・協議しつつ実施する。
4 災害発生後の対応
4-1(資料の保護活動)
災害が発生した場合、各消防計画及び別途整備すべきマニュアルに基づき適切な資料の保護活動を行う。
4-2(資料の被災状況の確認)
資料被害の確認及び記録は、安全確認後に所定の書式を用い、必要な項目について統一的な方法で行う。
4-3(応急処置や復旧時における専門性の重視)
被災資料の応急処置や復旧時の対応は、専門的知識に基づき的確に行うことが不可欠である。そのため、資料保存課は、必要に応じて、専門家及び専門機関に助言を求める。
4-4(迅速な対応の必要性)
資料の被害を最小限に食い止めるために可能な限り迅速に対応する。消火や水害による水損資料は被災から48時間以内にカビが発生する可能性が高いことなどを考慮する必要がある。
4-5(他の施設への資料移送)
災害状況を考慮し、優先的に保護すべき資料を一時的に他の地域に移送する必要がある場合、3施設の間で協議を早急に実施する。
5 協力
5-1(情報共有)
国内外の関係機関及び保存修復の専門家と協力し、資料防災に関する知識、経験、技術を蓄積し共有する。そのため、資料保存課は講演会や研修等の適切な機会をとらえて情報共有を図る。
5-2(情報発信)
IFLA/PACアジア地域センターとして、国立国会図書館の資料防災に関する知識、経験、技術を蓄積し、ホームページ等を通じて、広く国内外に広報、周知する。
