書庫環境
環境管理は、資料の劣化を防いだり、遅らせたりする”予防のための資料保存”対策です。環境管理の一環として、ここでは東京本館、関西館、国際子ども図書館でとられている書庫環境への配慮を紹介します。
東京本館
- 書庫内の温度・湿度を一定に保つ
- 照明の自動点滅
- 防災対策
- 書架配置
- 資料の性質に配慮した環境作り
関西館
国際子ども図書館
書庫内の温度・湿度を一定に保つ
本館には地下5層、地上12層から成る書庫と新館には地下8階に及ぶ地下書庫があります。いずれの書庫も紙資料の保存に適した環境の維持を目指して、温度摂氏22℃、湿度55%前後に設定しています。
特に新館地下書庫は、温度・湿度が設定値からほぼ変化せずに一定値に保たれていること、およびコンクリートや内装材による汚染も殆ど無いことから、収蔵環境は理想的な状態です。これは当書庫が地下30mに位置し、厚い土壁と十分な防水処置と共に、地下光庭の空間が防水、断熱に十分な効果を発揮しているからなのです。なお、「光庭」とは、自然光を地下8階まで採り入れた中庭のことです。この「光庭」は、自然光を採り入れる2階天井のガラス窓で外気から遮断された深い空気層が有効な断熱層として働くため、書庫内の温湿度変化を小さくすることに貢献しているのです。

国立国会図書館新館断面図(地下部分が書庫)
照明の自動点滅(新館書庫)
書架通路天井の熱線センサーが人の体温を感じ取り、侵入すると点灯、退去すると一定時間後に消灯します。これは劣化の原因となる蛍光灯の紫外線を必要以上に資料にさらさない工夫のひとつで、エネルギーの節約にも貢献しています。また、収蔵能力に幅をもたす集密書架では、書架の移動と連動して点滅をしています。
防災対策
火災が発生した場合、本館書庫では二酸化炭素を、新館書庫ではハロンゲン化物を使って消火します。天井に配置されている煙感知機が中央制御室及び防災センターに自動的に通報し、更に、消防署へ連絡するシステムがあります。又、同時に書庫内にいる人に避難命令を伝達する非常放送の設備があります。
また地上で何らかのトラブルがあって、万が一消防注水されても地下に漏水しないように、一階の床にも十分な防水措置が講じられており、書庫内に湿気が入り込むことを極力避ける工夫がなされています。
書架配置
貴重書、準貴重書をのぞき、資料は全てスチール製書架に配架されています。書架の最下段と床の間を10cm〜20cm空けて床からの温度・湿度の変化を直接受けないようにし、さらに、書庫内の通気を一様にするために資料の配置に工夫をしています。
資料の性質に配慮した環境作り
貴重書及び古典籍資料

書庫内書庫(貴重書庫と木製書架)
貴重書及び古典籍資料には独立の書庫内書庫が設けられています。貴重書、準貴重書に指定された資料やそれに相当する資料は、楢の合板を使った木製書架に配置され、書籍に急激な温湿度変化が無いように配慮されています。その他キャビネット・ブックトラックも木製です。蛍光灯は紫外線の発生を通常の 99.7%までカットするものを使用、そして書庫内の空気圧を高めに設定して、塵埃の侵入を防止しています。
資料の排架は横置きが原則で、損傷を最大限に抑える配慮をするほか、和書は帙や桐箱に、洋書は保存箱に収納しています。その他の古典籍資料も、スチール製の棚にベニヤ板を敷いた上に排架し、安定した温湿度になるよう配慮しています。人が出入りすることで書庫内の温度・湿度が変化するので、空気を出来るだけ乱さないことが肝要です。立ち入り出来る職員は古典籍課員に限定され、その際に専用スリッパの着用が義務付けられています。
マイクロ資料

マイクロフィルム(ネガ)保存庫
原資料の保存を優先すべく作られたマイクロフィッシュ、マイクロフィルム。書庫の1区画にはそのネガフィルムを収蔵する保存庫が設けられています。温度摂氏18℃、湿度25%前後で常に保たれ、また、マスター用カラーフィルムは保存庫内に特設した自動防湿保管庫に収められています。なお、マイクロ化が終了した原資料は保存箱に収蔵するなど、原資料の保存にも出来得る限りの努力をしています。
国際子ども図書館 書庫
国際子ども図書館の書庫は、1層から6層まで(2層と3層の間のM3層を含む)の7層構造になっています。少ない床面積で多くの書架を設けるため、すべて集密書架を使用しています。集密書架は手動で、ハンドルを回して通路ができると書架についている蛍光灯が自動的に点灯するようになっています。

書庫内の空調
窓部分は外からは窓の形状をしていますが、内部はふさいであり、内側に内壁を形成し、日射や外気の温度変化が書庫内に伝わりにくい構造となっています。空調は書庫専用で蒸気加湿器を設置、温度に加え湿度も制御できる空調機を使用しています。
消火設備
消火設備は窒素ガス。消火性の向上と人体への悪影響の回避、地球環境を配慮し採用しました。
国立国会図書館-National Diet Library