IFLA-PAC各地域センターの動向(「PAC NEWS」IPN No.31 2003年12月より)
PACニュース 米国議会図書館が写真資料の保存ワークショップを開催
<報告者:Andrew Robb(米国議会図書館主任写真コンサバター)>
米国議会図書館の資料保存部は、2003年9月8日から10日にかけて、「写真と予防的保存:理論・実践・運用」と題されたワークショップを主催した。環境調査と制御、容器材料(包材)と収納、冷凍保管、緊急時の計画・対応・救助・復旧という4つの重要な分野に焦点が当てられた。このワークショップは、アンドリュー・W・メロン財団からの資金援助を受けて行う写真資料の保存と取扱いに関する専門的な連続ワークショップの一つであった。
コンサバター、学芸員、図書館員、文書館員、そして蔵書管理者を含む70名を超える世界中の人々がワークショップに参加した。それぞれの発表者は、保存するに当たっての写真資料特有の脆弱性と保存ニーズを強調したうえで、各機関の実情に合わせて実践していくことの必要性を述べた。また、講義とともに討議、実演、そして、緊急時の資料救助や復旧の卓上演習などに関するグループでの演習も行われた。
ロチェスター技術研究所Image Permanence Institute(IPI)のJames Reilly氏は、写真資料にとっての「通常環境」の危険性について論じ、データ収集・分析・報告の複雑さを強調した上で、様々な調査手段を披露した。Herzog-WheelerのPeter Herzog氏は、様々な種類の建物の暖房・冷房装置やそれらの冷暖房空調(HVAC)システムの機能を裏付ける原則を説明した。両発表者は、予算の問題と折り合いをつけながら、いかにして施設の環境を最大限に向上させるかに焦点を当てていた。
IPIのJean-Louis Bigourdan氏は、容器の材料とデザインや、相対湿度(RH)と温度の平衡に関する容器の効果、書庫内のマクロそしてミクロレベルの様々な環境をどのように調整するかを説明した。
ワシントン・ナショナル・ギャラリーのConstance McCabe氏および米国議会図書館のSarah Wagner氏とAndrew Robb氏は、多様なコレクションのニーズに見合う冷凍庫と冷凍保管室、そして冷凍保管方法の実際について論じた。
カナダ国立文書館のGregory Hill氏、ナショナル・ジオグラフィック協会のRobin Siegel氏とAndrew Robb氏は、緊急時の備えと対応についてのセッションを行い、ケース・スタディや調査研究、多様な災害の構造、様々な冷凍手段について発表した。これらの発表やその他のワークショップ準備関連資料については、米国議会図書館資料保存部のウェブサイト上(http://www.loc.gov/preserv/)からアクセス可能である。
メキシコでの地震ワークショップ(2003年10月16日〜17日)
<報告者:Marie-therese Varlamoff(IFLA-PAC国際センター長)>
IFLAの資料保存(PAC)コア活動は、2002年のグラスゴーにおけるブルーシールド公開討議と2003年のベルリンにおける災害プレセミナーの続編として、ラテンアメリカとカリブ地域における同テーマについての一連のワークショップを開始した。その第一弾として2003年10月16-17日、メキシコシティにおいて、図書館情報資源振興財団(CLIR)の支援の下、PACとメキシコ国立自治大学(UNAM)の共同開催による、地震をテーマとしたワークショップが開催された。
図書館、文書館、博物館や市民団体、消防などの災害救助機関から約100名のメキシコ人が、最近の地震に関するケース・スタディについての4つの講義に出席した。 メキシコ、フランス、ベネズエラ、そして米国からの講師はメキシコを脅かす地震のリスク調査や、既に起こった、あるいは今後起こるであろう被害を緩和する予防的手段の推奨と助言に関する講義を行った。市民団体代表や建築家・地震学者・心理学者である講師の話は聴衆にとって大きな収穫だった。
すべての参加者が、このワークショップは成功裡に終わったという印象を得たので、これが将来のワークショップのひな形になるだろう。次回は2004年5月21-22日にトリニダッド・トバゴで開催される。一般的な自然災害に焦点を当てる予定である。PAC、トリニダッド・トバゴ国立図書館そしてカリブ海地域大学研究図書館協会(Association of Caribbean University, Research and Institutional Libraries)(ACURIL)による共同開催となる。
詳細は、後日、IFLAウェブサイトとInternational Preservation Newsに掲載される予定である。
熱帯地域における記録文書の保存
<報告者:Marie-therese Varlamoff(IFLA-PAC国際センター長)>
熱帯地域における記録文書の保存に関する第2回国際会議が2003年11月17日から21日にかけてキュラソーで開催された。キュラソー国立公文書館とオランダ国立公文書館の共催で、国際文書館評議会が支援し、17か国から139名が参加した。熱帯地域に特有な気候条件に基づく多くの課題が提示されたが、文書館だけでなく図書館にも通じる下記のような内容であったことが興味深い。
- 紙資料の劣化
- 写真資料
- 保存管理
- 低予算でできる建物
- 予防的保存のための協力プログラム
- IPM(総合的害虫防除計画)
- 災害対策
どのテーマも、文書館にも図書館にも関係するようである。このことにより、資料保存の問題は、ほとんどの場合両者に共通するものであることが確認された。
会議の最後に、2003年のIFLA会議での決議事項に対応し、かつ適切に関連する「熱帯地域でのすべての国立文書館のための災害対策計画の策定」を含む7項目が決議された。さらにICCROMや、熱帯気候によって生じる記録文書の劣化問題を特に重視している他の意欲的なパートナーと協力した形での保存ワークショップの開催が望まれる。
翻訳
『IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則』がギリシャ語に翻訳された。
詳細については、下記に問い合わせのこと。
Evagelia Semertzaki
Bank of Greece Library
21 Panepistimiou Ave.
10250 Athens
Greece
Tel: (30) 210 320 2446
E-mail: esemertzaki@bankofgreece.gr
JICPAニュース JICPA(アフリカ地域における資料保存に関するICA・IFLA共同委員会)からのお知らせ
International Preservation News第29号で発表されたとおり、IFLA新聞分科会(IFLA Section on Newspapers)とIFLA-PACは、2001年にIFLA-PACが行った「アフリカにおける新聞および定期刊行物の保護に関するJICPA調査」を、2003年6月に再開することを決定した。
分科会は新たな調査の対象を、アフリカで刊行された新聞に限定し、すでに所蔵されているタイトルと、現在受け入れている新聞について調査することとした。新聞は、そもそも1日限りの利用を想定した短命なもので、通常は、質の悪い大型用紙に質の悪いインクで印刷されるので、長期保存はしにくいものである。したがって、媒体変換をするなどして、所蔵資料を緊急に保護する必要があるが、その場合にもできるだけ事前の高額な補修をしなくてすむ方がよい。そのためにも同分科会は、アフリカの国立または大学図書館や国立文書館におけるアフリカの新聞の所蔵状況を確認し、その保存状態を把握する必要に迫られている。
昨年7月、英語または仏語の簡潔な質問票1枚が、それぞれの機関の担当者100名以上に、電子メールまたはファックスで送信された。また、新聞に関係する数多くの専門家に広めるために、質問票は、IFLANET(http://www.ifla.org/VII/s39/prl/qstn03-e.htm)に掲載され、分科会のNewsletterでも広報された。現在までに新聞分科会は約15通の回答を受け取ったが、今後さらに多くの回答を得るだろうと予測している。お知らせが11月に配布されたが、最終的な回答締切日は、2004年1月31日である。
正確な回答が得られれば、IFLA新聞分科会は、優先的にとるべき対策を決め、必要な資金を算出するために、所蔵タイトル、欠号可能性、設備のニーズ、マイクロ化および/またはデジタル化のニーズをリスト化することができるだろう。アフリカの関係者からの、可能な限り完全な回答が期待される。
