IFLA-PAC各地域センターの動向(「PAC NEWS」IPN No.30 2003年9月より)
PACニュース ICCROM・ICA・IFLAの協力体制
資料保存に関連する他の2つの分野(文化財保存修復と文書館)との協力体制を作るための会議がICCROM(International Centre for the Study of the Preservation and Restoration of Cultural Property:文化財保存修復研究国際センター)で開催された。特に、資料保存の分野における諸課題に共同で取り組んでいく。IFLA/PACと ICCROMとはすでに、JICPA(アフリカ諸国における資料保存のためのICA/IFLA共同委員会)のウェブサイトを自主的に運営するベニン所在のアフリカ文化遺産学校(Ecole du Patrimoine Africain)を通じて連携している。
新版
米国議会図書館のMark Roosa氏はこのほど、氏が1992年に編集した『写真資料の手当て、取扱いおよび保管』を改訂。英語・スペイン語・フランス語の3ヶ国語による冊子版は、PAC国際センターのCorine Koch氏によって、2004年に編集される予定である。
翻訳
『IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則』が日本語・ポルトガル語・アラビア語に翻訳された。詳細については、下記に問合せのこと。
ポルトガル語版: lcabral@bn.pt
日本語版: hanbai@jla.or.jp
アラビア語版: corine.koch@bnf.fr
『IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則』の「写真およびフィルム媒体資料」に焦点を当てた章がイタリア語に翻訳され、オンライン上で閲覧可能である。(http://www.aib.it/lis/fotografia.htm)
ブルーシールドニュース イラクの図書館に関する決議
ベルリンでのIFLA大会で以下の現状確認が行われ、決議が満場一致で採択された。
- ユネスコ使節団が、最近、イラク全域の図書館や文書館の破壊と広範囲にわたる被害を確認したこと。
- IFLAが、情報へのアクセスと表現の自由の擁護者として、市民社会にとって図書館が中心的存在であることを確信しているということ。
- IFLAが、歴史記録や文化遺産の保存の擁護者として、今回の戦争による破壊や被害がイラク国民や人類にとって大きな損失であると、全世界の図書館員の注意を喚起させる重要な役割を果たしてきたこと。
- 2003年IFLA大会での審議を通じて、イラクの図書館専門職の復興や、イラク全土の図書館の蔵書・システムの再構築、そして図書館の建物の復旧のために行われている取組みの複雑さに対する理解が促されたこと。
以上を踏まえて次のとおり決議された。
- IFLAの会員は、ユネスコの「武力紛争の際の文化財の保護のための条約(1954年ハーグ条約)」とその議定書(特に1999年第二議定書)を未だ批准していないすべての国家の政府に、批准するようはたきかけ、文化財の保護強化と文化的戦争犯罪の概念の導入に努めなければならない。
- IFLAは、文化遺産の不正取引を根絶するための適切かつ強固な手段を既に講じていなければ、講じるようにすべての国家にはたらきかけなければならない。
- IFLAは、ブルーシールド国際委員会を調整団体として、協調的で国際的な努力をもって取り組むように会員に対してはたらきかけなければならない。
- IFLAの会員は、各国内におけるブルーシールド国内委員会を設立するようにはたらきかけなければならない。
- IFLAは、イラクの図書館員と図書館が直面する状況についての理解を促進し、歴史研究者にとってのみならず、社会的基盤としての図書館の重要性を認識し、市民社会の再建のために図書館を利用する者にとっても、今回の損失がいかに大きかったかということについて世界全体の関心を高めるよう、交流プログラムを強化しなければならない。
- IFLAは、イラクの図書館の物理的、専門的そして技術的基盤の復興に貢献するようにすべての国家にはたらきかけなければならない。
- IFLAは、イラクの図書館再建のための支援を倍増し、その働きを顕著に見せていかなければならない。さらに、IFLAの機関会員となっている各国の図書館協会にこの決議を報告するものとする。
文化財緊急事態対策基金(Cultural Emergency Response)
オランダのクラウス王子基金(The Prince Claus Fund)はブルーシールド国際委員会と協力して、文化財緊急事態対策基金を立ち上げることになった。この新たな基金は、戦争であれ天災であれ災害により、現代の文化遺産や伝統的な文化遺産が破壊された際の支援を提供するものである。開催セレモニーはオランダのデルフトで2003年9月28日に行われた。
ポーランドのブルーシールド委員会
ポーランドにおいて、委員会が下記のとおり設置された。
連絡先: Mr. Dariusz Drewniacki
Ministry of Culture
Bureau of Defence Matters
00-071 Warsawa
Poland
Tel: (48) 22 8281 696
Fax: (48) 22 8261 592
S.O.Sプラハ
チェコ国立図書館長は、2002年8月の洪水後にフランスのブルーシールド国内委員会が開始した寄付の呼びかけに応じたすべての関係者に対し、心から感謝の意を表した。寄せられたお金は、最初に必要となるものを購入するのに使用された。
出版予定
カラカスのPACセンターでは、「文化遺産保護のためのブルーシールド」と題されたInternational Preservation Issues第4号を翻訳した。
この刊行物は、最初にIFLANET上で利用可能となり、その後冊子版が編集される予定である。PAC 国際センターは、この場を借りて、数年間にわたって本誌International Preservation News(IPN)に掲載された概要をスペイン語に翻訳するという素晴らしい仕事をしてきたSolange Hernandez氏に感謝の意を表する。
MOWニュース ユネスコの「世界の記憶(MOW)」プログラム
「世界の記憶(MOW)」プログラムのユネスコ国際諮問委員会が、2003年8月28日から30日にかけて、ポーランドのグダニスクで会合を開いた。この第6回会議はレフ・ワレサ氏(元大統領)臨席のもと、行われた。会議では、これまで例外項目とされていた記録物もMOWに登録することを、ユネスコ事務局長に対して提案することを決めた。上記の文書には、フランス代表者によって提出された人権宣言や、ベルリンの壁崩壊の遠因となったグダニスクの造船所労働者が起こした抗議運動時に出された「21項目の要求」が含まれる。承認された提言の一覧は、ユネスコのウェブサイト上(www.unesco.org)で閲覧可能である。
CLIRニュース
図書館情報資源振興財団理事会はこのほど、Richard A. Detweiler氏を、8月1日からの暫定委員長に任命したことを発表した。同氏は1992年から2003年6月までハートウィック大学(ニューヨーク州オニオンタ)の学長兼教授(心理学)だった。
社会心理学者として教育を受けた後、1973年にドゥリュー大学の教員に任命され、その後運営部門に異動し、最終的にはITおよび企画部門担当の副学長となった。辞任する現委員長のDeanna Marcum氏は、「Rick Detweiler氏がCLIRの主導的責任者に就任するのは喜ばしいことだ。氏はFrye Leadership Institute*の成功に大きく貢献した。彼の優れたプロジェクトは、情報資源・情報サービスを学術的な事業に結びつける、というCLIRの取り組むべき課題にまさに合致している。」と述べている。
*訳注 Frye Leadership Institute(Fryeリーダーシップ集会)は、2000年から始まった10年間の人材交流プロジェクトで、CLIRはそのスポンサーの一つになっている。図書館員、IT関係者、大学教員など情報専門家が短期間大学などある一箇所に集まって関連分野について様々なセッションを行い、交流するイベント。集会にひきつづき、参加者はそれぞれ1年間の実践プロジェクトを課せられ、参加者同士はメーリングリストでの交流を続ける。第1回は2000年6月4 日から16日に行われ、43人が参加した。
