第1部 日本の近代化とフランス

第1章 政治・法律

近代日本の政治制度や法律に関しては、ドイツの影響が大きいと言われるが、フランスの影響も無視することはできない。特に近代化の初期には、フランスから多くのことを学んだ。明治の日本人にとって、フランスの政治思想はあるべき政治の姿を構想するための手がかりであった。また、近代法制の整備過程において、ナポレオン法典をはじめとするフランス法は重要なモデルとされた。フランスの影響は、新興の強国ドイツへの傾斜によって次第に薄くなるとはいえ、その後も絶えることはなかった。
本章においては、まず明治初年におけるフランス政治思想の摂取について概観し、次いで自由民権運動との関係を取り上げる。さらに、民法典制定過程におけるフランス法の影響や、立憲政治の確立期にフランス憲法学が果たした役割などを紹介する。