興産社国友則重外三人出品の車転織機

『明治十年内国勧業博覧会出品解説』 10冊 (1878)

解説

元鉄砲鍛冶国友則重を代表とする、興産社の出品。1876年に創業し、専ら織機を製造した。鋳物部分は海軍の大砲用具を生産していた深川越中島新田の増田伝兵衛が製作。
鉄製のハジキによって杼(ひ*)を左右に動かし、いわゆるバッタン(飛杼装置)と同じく、杼の出し入れを自動化。下部にある二本のV字の木が交互に動くことで、綜絖(そうこう*)を上下させ、連動した歯車で筬(おさ*)も自動で前後する。
博覧会中最高の鳳紋賞を受賞したが、その後普及しなかった。

* 杼 緯糸(よこいと)を通す道具
* 綜絖 目に一本ずつ経糸(たていと)を通し、上下することで緯糸の通り道を作るもの
* 筬 緯糸をおしつめ織り目を揃える道具

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