自由黨 憲法改正要綱

(参考)

自由党 憲法改正要綱 (一月二十一日発表)

一、天皇

一、統治権の主体は日本国家なり
二、天皇は統治権の総攬者なり
三、天皇は万世一系なり
四、天皇は法律上及政治上の責任なし

二、所謂大権事項

左の各項その他天皇の名に於てする国務は総て国務大臣の輔弼による
一、法律の裁可及公布
二、議会の召集、開会、閉会、停会及衆議院の解散
三、官吏の任免
四、外交
五、栄典の授与
六、恩赦
(註)現行憲法に於る緊急命令、執行命令、独立命令制定の大権官制大権、統帥大権、編制大権、戒厳大権、非常大権は之を廃止す

三、国民の権利

一、思想、言論、信教、学問、芸術の自由は法律を以てするも猥りに之を制限することを得ず
二、営業及勤労の自由は法律を以てするに非ざれば、之を制限することを得ず
三、私有財産及正当なる生活の安定を確保す

四、議会

一、議会は立法の府にして同時に行政を監督する機関とす
二、凡そ法規は議会の立法(法律)に依るを原則とす
三、第一院を衆議院、第二院を参議院とし其の組織は共に法律を以て之を定む
四、参議院は学識経験の活用と政治恒定の機関とす
五、衆議院が第一院として参議院に対する優越性を認むること概ね左の如し
(イ)衆議院の予算先議権の強化
(ロ)参議院が衆議院を通過したる議案を修正若は否決したるときは、之を衆議院の再議に附し、三分の二以上の多数を以て再び之を可決したるときは、参議院の修正若は否決は其の効果を失ふ(之と関聯して衆議院を通過したる議案の参議院に於ける審議期間を制限す)
(ハ)参議院の内閣不信任上奏若は決議を禁止す
六、議会閉会中、各院毎に常置委員会を設け臨時議会を召集する暇なきとき、此委員会をして緊急命令に代る略式立法其の他議会の権限を暫定的に代行せしむ
七、議会は直接に行政各部及国民と交渉することを得

五、国務大臣及内閣

一、国務大臣及内閣に関しては憲法に掲ぐるものを除くの外、法律を以て其の基本的事項を定む
二、国務大臣の首班たる内閣総理大臣の他の国務大臣に対する地位の優越を明確にす
三、国務大臣の議会に対する責任を明確にす
四、内閣の制度を憲法中に規定し内閣に執行命令、独立命令、其の他の命令制定権を認む

六、枢密顧問

枢密顧問の制度は之を廃止す

七、裁判所及会計検査院

一、司法権の独立を強化し、大審院長を天皇に直隷せしむ
二、大審院長の下級裁判所に対する独立の監督権を確立す
三、別に検察庁を設け司法大臣の下に置く
四、行政裁判制度を廃止し之を司法裁判所に移管し、且行政訴訟事項を拡大す
五、会計検査院長を天皇に直隷せしむ
六、大審院長及会計検査院長の任命は議会の議決を経ることを要す

八、憲法の改正

一、憲法改正の発案権は議会にもこれを認む
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