日本の知り合いから有力者に手紙を出させるよう求めた米国国務省からGHQ外交局への文書

Documento do Departamento de Estado norte-americano solicitando a um cidadão japonês que enviasse uma carta a uma importante personalidade da colônia japonesa

U.S. Department of State document to the GHQ/SCAP Diplomatic Section requesting relatives and friends residing in Japan of influential Japanese immigrants to send letters to them

連合国最高司令官合衆国政治顧問宛の国務長官代理から1946年6月25日付け文書。「ブラジルの日本人」と題する覚書と国務省宛の同年5月21日付けの在サンパウロ総領事至急報告が添付されている。このうち、在サンパウロ総領事至急報告には、日本とブラジルにいる各52人の名簿(ここでは省略)が付され、名簿に掲載されている人への趣旨の連絡と通信の促進をGHQに求めている。
日本ではがきの発送準備ができたのは、9月10日のはがき郵便再開以降であったが、GHQ外交局はこのうちの29通については、通常の船便ではなく、航空便で送る措置をとった。(52通のうち残りの23通は12月22日に在サンパウロのスウェーデン領事館に到着しているが(『パウリスタ新聞』1947年1月1日)、この29通の到着日時は不明)。
(翻訳は当館職員による試訳である。)

1946年6月25日
航空便
第186号
機密
東京 連合国最高司令官合衆国政治顧問宛

国務長官代理は、ブラジルにおける現在の日本人の問題についての覚書及び日本にいる52人の日本人とサンパウロにいる52人の日本人の氏名と住所の名簿を同封する在サンパウロ総領事からの至急報告の写しを同封します。総領事は、同封した名簿に掲載された日本人間の通信が許可されることを求めています。

本省は、日本と他国との間の制限された郵便の早期な再開が予定されており、そのため、現段階では特別な措置は必要ないと認識しております。しかしながら、総領事が記しているブラジルの事態を考慮して、可能ならば日本在住者として掲載された日本人に、ブラジルにいるその友人と親類がその人から便りを受取ることを希望していることを知らせ、かつ、当該通信の伝達を促進すべきであるという提案とともに、上記の氏名を連合国最高司令官にお伝え下されば感謝申し上げます。

同封
1946年6月14日覚書
1946年5月21日サンパウロからの至急報告写し
894.20232/3-2146

 


ブラジルの日本人

ブラジルにはおよそ30万人の日本人がいるが、そのうちの25万人はサンパウロ州にいる。これらの日本人の大半は農業に従事し、少数が工業に活路を見出した。戦前、日本政府は、ブラジルにいくつかの大会社を特に植民目的で維持していた。

最近、サンパウロの日本人のグループが、秘密結社を組織し、サンパウロ州でテロリスト活動を行っている。これらの結社の指導者は、日本は戦争に勝ったと説き、内陸部の日本人小農の無知につけこんでいる。これらの指導者は、これらの日本人を連合国から奪取した島々と彼らによれば現在日本が占領しているカリフォルニアに移住させる目的で日本に連れ帰るため、日本政府が間もなく迎えにくるという口実で、これらの小農から土地を買っている。この作戦を進展させるため、彼らは、日本の敗戦を進んで認めた日本人指導者の何人かを暗殺し、いずれ暗殺すべきその他の人の名簿を作成している。

彼らは、その作戦においてあるゆる種類のプロパガンダを使用し、写真や記者発表の改ざんも辞さなかった。このプロパガンダの影響に打ち勝つのはかなり困難である。これに対抗するために、サンパウロの日本人の何人かの指導者は、総領事に、日本にいる人のためにサンパウロにいるその親類との間で日本の真実の状況を知らせる手紙のやりとりをする許可を得るよう要請した。本省は、在サンパウロ総領事に、その人からの手紙の発信が希望される日本にいる人の氏名を送付するよう要請した。

本省からのこの提案に基づき、総領事は、5月21日至急報告第3998号に同封して、日本にいる日本人とサンパウロの宛名の名簿を発送した。上記の至急報告の同封物に掲載された人物間の手紙のやりとりにつき、通常の郵便による制限のない手紙のやりとりが再び許可されるまで待つよりもむしろ可能な限り早く許可が得られれば、大変に有益である。

BA: JGMeln:1fd
1946年6月14日


第3998号
1946年5月21日
ブラジル サンパウロ
米国総領事

件名 サンパウロにいる親類に配送するために日本から求められる通信

ワシントン
国務長官閣下

拝啓
本官は、何通かの手紙が日本にいる親類からサンパウロにいる日本人に届くよう本省が陸軍省に提案するための準備をしていることを通知した1946年4月30日省無電A-90に言及する光栄に浴します。

このような見込みであることの報告は、サンパウロの日本人植民地の信用のある人に伝達されました。そして、日本の52人の住所の名簿が調製されましたので、それを添付しております。それぞれの氏名について、日本在住者から手紙をもらうことを希望する在サンパウロの人の氏名も示されています。現下の事態の緊急性にかんがみて至急に作成された、この名簿の調製の際には、氏名の半数は保守的と分類される人、半数は過激な又はテロリスト集団に属している人を入れるよう努めました。最後の8人の氏名と住所は、現在警察の拘束下にある人から提供されたものです。

この州における日本人間の不安とテロリズムに満ちた現下の事態を鎮静化させるするために、掲載された人のような人物からの手紙が可能な限り早く入手されることが大変望ましいと考えられます。状況がほんの少しですが改善されたことと、秘密結社が、悪意があり、根拠のない報道を喧伝し、かつ、日本の敗北を信ずるいかなる日本人も死に値すると主張するために、可能な限りあらゆることを行っていことが多くの人により報告されています。日本人委員会は、本報告を送付するに際して次の説明書を作成しました。

「この手紙を特別に許可する主たる目的が、当地在住日本人に日本の現在の実際の状況を納得させることにあることをかんがみますと、手紙は日本にいる親類自身により日本語で手書きで書かれ、かつ、家族のことに加え、日本が戦争に負けたことを明らかにする日本の状況についても言及することが必要です。

返信は、可能な限り上記の目的に利用するため、可能ならば外交郵便袋によりまとめて在サンパウロ米国総領事に送られることが望ましく、各宛名に個別に送られるのでないことが望ましいです。」

日本人委員会は、受け取った手紙の内容を公表することの許可をサンパウロの宛名の人からすでに得ており、そのため、手紙が当総領事館気付けで外交ルートにより発送されることを求めています。

日本人委員会は、本件が最速に処理されることを求めることが重要であることを大いに強調するよう求めています。これらの通信の価値は、かなりの程度、地方の状況を鎮静化するためにいかに迅速に受け取ることが可能かによって評価されるでしょう。
敬具
セシル・M.P. クロス
米国総領事

同封
上記の氏名及び住所の名簿(省略)